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作品解説◇アンダーライン◇中編

 アンダーライン解説中編です。前後編の2編にするつもりでしたが、思ったよりボリューミーになったのでさらに分割しました……。
 言わずもがなネタバレ120%ですので、よろしくお願いいたします。

4.第三話 Ennui Twins

構成について

 アンダーラインの原型だった幻の創作BL(※10年前に創っていました)に出ていたキャラクターたちが一番出ています。その時から六条院は双子、という設定があったので、第三話で満を持して登場です。一度はやりたかった一卵性双生児の入れ替わりネタです。気がつかれないのがお約束ですが、松本の前ではそんなお約束も通じませんでした笑
 とはいえ、貴族家出身の上官に化けている人間がいる!となった松本の焦りは相当だったと思います。もし、あの場に最初から櫻井がいたとしたら拳銃沙汰にはなっていないので、誰か一人、松本の焦りを緩和できる人がいたらよかっただろうなと。
 話としてはなるべくシンプルにしたつもりですが、本命は執事の男だったというあたり全然シンプルじゃないな……。なお、ここで一回執事・清塚が昔関わっていた研究を出すことで、ラストへの布石を敷いています。ここで清塚の研究内容を聞いた松本は「そんな力があったってロクなことになりませんよ。俺がいい例です」と言っているんですが、最後まで読んでくださった方が読み返した時に、松本の気持ちを想像してグラッときてほしいなと思って仕込みました。初見の時もつじつまは合うんですけどね。最後まで読んでから読み返したときに刺さる仕込みが好きなもので。

南方について

 そんな松本が久しぶりに一緒に仕事をした相手は元上官の南方です。実は彼も10年前の創作BL派生の創作HLに出ていました。当時の設定は、第三部隊の元隊長。彼が殉職したことによって六条院が隊長に繰り上がったというものでした。今回は重たすぎるのでその話はカットして、普通に働いてもらいました。なお松本自身、南方には入隊してからかなりの期間、世話になっているので、父性も感じている気がします。
 【貴賓】地区の警備を一手に引き受けている出来る人です(二条院家の御令嬢が恋人だとかなんとかそんな話もありますが詳細未定のため割愛します)。彼がいなければ松本は今回の護衛任務を引き受けていなかったと思われます。

六条院常仁について

 まず一番のポイントですが、真仁と一人称が違います。細かい仕込みも好きなので、真仁→わたし、常仁→私、という表記にしています。そのため、気づく方は松本より少し後のタイミングで気がつけるかな……?という感じです。
 松本と話すときの口調はかなり砕けたものですが、実際に公務に当たる際には、真仁同様かなりかしこまった話し方をしています。彼自身、家の跡継ぎとなることにあまり抵抗はなく、むしろ双子であるがゆえに不自由な生き方を強いられている弟をなんとか自由にしてやりたいと思っていたため、真仁が家を出ることには反対しませんでした。自分で道を切り開いて、頼もしい部下もできてよかった、と安心して帰ったはずです。
 また、最後に真仁が言及していた幼い日の話ですが、これは創作BLの名残です。もちろん、常仁が八条院を慕っていたのは事実ですし、恋愛感情ももちろん含んでいたと思います。ただ、恋愛としてではなく、同じ立場の人間としてずっと関係を保つ方を選んだため、現在に至ります。これからもずっと友好的な関係を築いたままだろうと思います。

元岡について

 八条院家のお嬢さんだったんですか? と作者である私が一番びっくりしました。当初の設定では全然何も彼女のバックボーンを考えていなかったので、またこれも行き当たりばったり設定なんですが、このおかげで第四話以降すごく進めやすくなりました。ちなみに八条院家は女系なので、当主となる人は女性が多いようですが、当代は元岡の兄である八条院志々雄が継いでいます。
 先月書かせてもらった番外編にチラっと出しましたが、アンダーライン本編が終わった頃から志登とお付き合いを始めてゴールインします。超余談ですが、志登は彼女が八条院家のお嬢さんだったことは知らず、パートナーシップ契約の際の彼女の方の証人の名前(志々雄)を見てひっくり返ったようです。

櫻井について

 今回の一番の被害者。ちなみにお弁当については急遽夕勤に変更になったので、妻に謝り倒して隊舎まで届けてもらいました。櫻井の妻を見た隊員の証言によると「気の強そうな美人」とのことで、おそらく尻に敷かれているのだろうといううわさがまことしやかに囁かれました。というものの、櫻井自身はしっかりと尻に敷かれている状況を苦には思っていませんし、夫婦仲は良好です。「気が強そうに見えるけど、本当は濃やかで優しい人なんだよ」とのことです。

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