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初めて野手を推してみる|中日ドラゴンズ

6月ってワクワクする。プロ野球が開幕して2カ月、貯金と借金が目に見えて結果に現れ始める、悲喜こもごも抱えて始まる交流戦。

一昨年までは、「雨が降る」以外の印象が無かった6月。あっという間に台風一過でヌメっと夏が始まり、暑い暑い…とうな垂れているうちにやがてヒグラシが鳴く。わたしにとって「気付いた時には始まって終わっているただ暑いだけの季節」を変えてくれたのは、プロ野球だった。

昨年のWBCから全てが始まった。WBCの壮行試合で大谷翔平選手とハイタッチ出来なかった、あの青くてコミカルなフワフワした物体、その名はドアラさんを一目見たいと訪れたバンテリンドームで全てが変わった。

そんなドアラさん、昨日まで体調不良で試合欠場。今日は現地観戦だったけど、どうか無理なさらないで…と思っていたが、復活されていました。ドアラさん30周年でバク転したのが、腰にキタのだろうか…(小声)


本日現地で、福永裕基さんの今季1号ホームランを観ました。ドラゴンズファンが待つライトスタンドに放ったホームラン、最高にかっこよかった…。

中日・福永裕基が一回に今季初本塁打 「先制点がどうしてもほしかった」 - サンスポ (sanspo.com)

昨年は入団1年目で開幕一軍、何度かスタメンで出場する姿を現地で観ていたものの、登場曲の「C.h.a.o.s.m.y.t.h.」がめちゃくちゃ良くて、ブフォ…さすがオールドルーキー…と、楽天ミュージックにダウンロードした程度に留まっていたが(深々謝罪)今年は、田中幹也くんの一軍復帰、村松開人くんのパンツ着こなし変更(今年からストッキング上げてて気合が伝わる、スキ)に伴い、「同期の福永くんは?」と開幕から気になっていた。

今年は開幕二軍、同期が一軍でシーズン開幕を迎えるなか、悔しさもあったと思うけど、桜が咲く尾頭橋で、腐らずひたむきに結果を残し続けた。初昇格は4月下旬、開幕から遅れること1か月。彼にとってのサクラサク季節は少し遅れてやってきた。

最初は守備に着くこともなく、与えられたチャンスは代打の1打席のみ。少ないチャンスさえ回ってこない試合だって何度もあった。そんななか、持ち前の選球眼(世間はそれをふくな眼と呼ぶ)を活かしながら、出塁率をバチバチに稼ぎ始める。来る5月6日、ついに1番レフトでスタメンのチャンスが舞い込んだ。

……ん? レフト(=゚ω゚)?

北谷でドロドロのドロになりながら、セカンドの練習してたよね?飲料水のCMオファーが来そうなくらい美味しそうに水飲んでたよ、セカンドで。

ファームでも数えるほどしか着いたことの無いレフト守備、それでも巡ってきたチャンス。2打数1安打1四球、バンテリンドームを縦横無尽に駆け巡り、その日彼は結果を残した。GW最終日、気付いたら自宅のテレビで中継を見ながら泣いていた。

まさに、自分の気持ちに気付いた瞬間だった。名残惜しい連休は終わってしまうが、推し活2024ver 始まりのゴングが鳴ったのだ。(黙れ)

福永裕基さんは2022年ドラフト7位、全球団の中で支配下選手最後の69番目での指名。大卒4年目二度の指名漏れを経験しての指名だった。よくよく彼の経歴を拝見すると、わたしにとって大好物でメシウマ感しかない。

紆余曲折を経て長年の夢を叶えて、1日でも長く夢を見続け与え続けるためにひたむきに努力を続ける。もう大好きです、プロ野球選手になってくれて本当にありがとうございます。

2019年の都市対抗野球。岡野祐一郎さんが東芝のエースとして出場したその大会に、福永裕基さんも日本新薬として出場していた。社会人野球を経験した選手なら有り得る経歴なのかもしれないけど、幾年の時を経て、今度はチームメイトとして再会したふたりの雄姿をもっと見ていたかった。

ベストオブふたりの雄姿は、2023年8月30日ほっともっとフィールドでのウェスタンリーグ タイガース戦、これだけは譲れない。

岡野さんの左手に打球が当たり捕球できず投安打、その時ショートを守っていた福永くん、マウンドでよろけた岡野さんを見て、必死で前進して捕球を試みたんだと思う。芝生と土の境目で豪快に転んだ。

(この動画、日本で一番見てる自信ある)
(2分20秒から見てみて)

忘れもしないあの日、岡野さんが一軍登録抹消後、行方不明になって5日目。彼はタフだから大丈夫と信じてはいたものの、怪我では無いことを切に祈っていた日々、終了のお知らせ。

ピッチャー垣越に代わりまして岡野。キターーーー(゜∀゜)ーーーーー。

その後、福永くんは再昇格したものの、岡野さんは8月25日を最後に一軍のマウンドを去った。

投手と野手は練習メニューも違えば、調整の仕方も異なるので、どのくらい接点があったのか分からないけど、同じように指名漏れを経験しながら諦めずに夢を叶えた二人は、社会人時代をどう懐古するんだろう。


最近、岡野祐一郎さんがユニフォーム姿でマウンドに立つ、昨年の映像を見る機会があった。

それを「現役時代の岡野祐一郎さん」と受け入れて、もう泣くことはないだろうと思っていたけど、彼が腕を振った瞬間、涙を堪え切れなかった。あまりに懐かしくて、同じくらい切なかった。

彼がマウンドを去ってから8カ月、不滅の魔力すぎるだろ、ヴォルデモートかよ。最近、SNSをサーチしても岡野祐一郎さんの情報が全然出てこなくて、きっとどこかで頑張っているんだろう…と思うと同時に、メディアに映るプロ野球選手という職業がどれほど稀有なのか思い知らされる。

気付けばもうすぐシーズン折り返し。どれだけ充実しようとも、ヒグラシが鳴く季節はあっという間にやってくる。

その先に待つドラフト会議。彼はその日のために、今日も未来のプロ野球選手に会いに行く。運命の日は、彼のため、球団のため、そして夢見る全国の野球少年たちのためにやってくる。

「あなたとの出会いで、ひとりでも多くの野球少年の夢が叶いますように」それが現実となる日まで。

冷たい雨が降る時も、突き刺すような日差しが注ぐ時も、秋風が肌を掠める時だって、彼はきっと求められた役割を全うするんだと信じています。

自分以外の存在に一喜一憂できること、それはとても幸せなこと。福永くんの躍進を心から喜べることも、未だに昨年の岡野さんを見るたびに懐かしさで涙が出ることも。

今までの人生で一度も味わったことの無い、この稀有な感情に出会わせてくれてありがとう。


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