プロメテウスのテレプログラム

第二話 熱を奪うもの

荒い息づかいで夜の町の路地裏を走る若い女性
ごろつき3人が追いかけてくる
行き止まりで女性は追い詰められてしまう

女性「そんなっ!!」
ごろつきA「へっへっへ、ここまでだなぁ」
女性「誰か、誰か助けてぇ~!!」

大声で助けを求めるが、車の走る音が騒がしくかき消されてしまう

ごろつきB「無駄だ。ここは町のど真ん中だからな。車の音でお前の声は誰にも届きやしないさ。」
ごろつきA「そういうことだ。おとなしく俺たちに捕まってもらおうか。」

にやつきながら近寄っていくごろつきA
それを遠巻きに見るごろつきC

ごろつきC「(ったくこいつら、ろくなことしないな。一緒にいる俺も俺だが…。)」

Aに上着をつかまれてもがくが、強引に連れて行かれそうになる女性

ごろつきC「(ん?後ろの車の音が聞こえなくなったな。まだそんな時間じゃないはず。)」

振り返るごろつきC
少し遠くからひとりの人影が歩いてくる
なぜか足音が聞こえない

ごろつきC「(不気味なやつだな。後ろの二人があれこれしている間に、俺はあいつの相手をするか。)」

ごろつきC「おい、お前何者だ。」
人影「・・・。」
ごろつきC「なんとかいったらどうだ?」

ごろつきCの瞬きとともに「人影」がパッと消える

ごろつきC「(どこいった!?)」

ごろつきCの真後ろに音もなく現れる「人影」
振り向く間もなく動きを停止させられてしまうごろつきC
ごろつきBが異常に気づく

ごろつきB「なんだお前は!俺の仲間に何しやがった!」
人影「・・・。」

「人影」は黙りながら女性のもとへ向かおうとする

ごろつきB「おい止まれ!それ以上来るなら容赦はしないぞ!」

剣を引き抜き斬りかかるごろつきB
止まらない「人影」
剣が「人影」の手前で減速していき、顔すれすれでピタリと止まる
さらに剣の色がだんだん黒ずんでいく

ごろつきB「なんだこれは?剣が全く動かん。」

剣を放そうとするが両手が剣を握ったまま動かない

ごろつきB「がはっ」

後ろから「人影」によって気絶させられる
ようやくごろつきB、Cがやられていると気づくごろつきA

ごろつきA「おいおい、なんなんだお前は?どこから湧いてきやがった。
今いいところなんだから邪魔すんじゃねぇ!」

突進して殴りかかるごろつきA
冷めた目で見ながら、ごろつきAの動きを完全に停止させる「人影」
その後女性の方へ歩いて行く

女性は服や髪がボロボロで、襲われた恐怖で震えている
羽織っていたマントを投げてかぶせる「人影」

女性「・・・。」
人影「・・・大丈夫か。」

女性は震えるだけで答えが返ってこない

人影「連中は朝まで動けないだろうから、ひとまず安心だ。
車道の向かい側に高い建物があるだろう。」

遠くに見えるホテル風の建物を目で示す
女性に硬貨の入った袋を投げる

人影「あそこに宿と服屋があるからそこで身支度を整えろ。
建物の入口にはガードマンがいる。事情を話せばお前を守ってくれるだろう。」

視線は「人影」の方を向いていないが、震えがだんだんおさまってくる女性

人影「多くは言わない。さあいけ。」

女性が立ち上がって走って行くのを見届ける「人影」
路地裏から車道まで来て振り返る女性
「人影」の姿は消えている

朝日が路地裏に差し込み、ごろつき達が動き始める
愚痴を言いながら帰って行くごろつき達を
「人影」は追跡する


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?