クイーン・シャーロット/愛は決意。
NETFLIXの「クイーン・シャーロット」(ブリジャートン家外伝)が、予想以上に面白かった。
「ブリジャートン家」シリーズは、中世イギリス貴族社会の恋愛模様を現代風にアレンジしたもので、いろんな人種の俳優が主要人物にキャスティングされている奇抜さ、きらびやかな衣装と現代風の音楽、ハーレクインロマンスばりの恋愛模様がエンターテインメントとしてずば抜けていると思う。
そんな「ブリジャートン家」シリーズで、常にすばらしい存在感を出しているのが「シャーロット王妃」という存在だ。首をやられそうな大きな銀髪の鬘と、ウエストをキュッと絞ったボリュームのあるドレスを着た、アフリカ系の女性が女王として君臨する姿は、「ブリジャートン家」シリーズの象徴と言ってもいい。
その「シャーロット王妃」が実在の人物だと知ったのは、「クイーン・シャーロット」を観た後だった。本家で印象が薄かったイギリス国王のジョージ3世のもとにドイツからシャーロットが嫁いできたところから、物語は始まる。
本作ではシャーロット王妃以外に、シリーズの主要人物であるレディ・ダンベリーとブリジャートン家の女主人であるバイオレット・ブリジャートンが登場する。彼女たちの若き頃とシリーズにおける現在を行ったり来たりしながら話は進んでいく。
アフリカ系の女性が嫁いでくることから、人種差別がない設定なのかと思いきやそうではない。そして人種差別よりさらに焦点があてられるのが女性の権利についてだ。中世イギリスでは男性と女性の権利には大きく差があり、それは貴族でも王家でも同じことで、その中で女性たちは知恵と勇気をもって自分を守り、必要なものを手に入れるために戦う。その女性たちの姿が、大きくクローズアップされたのがこの「クイーン・シャーロット」だった。
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作品後半で、”現代”のシャーロット王妃が結婚式を控えた息子と会話するシーンがある。半ば強制的に結婚することになったため、妻になる女性を愛せないかもしれないと嘆く息子に、シャーロット王妃はこう言う。
現代の結婚において、この言葉は時代錯誤なんだと思う。
けれど、ただひとつ。自分自身との関係性においては普遍性をもつ。
自分を愛するということは、すばらしい自分に出会うのを待つことではない。
ただ、愛すると決める。
そうしないと、自分を見失う。
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