映画感想:カッコよさの詰め合わせ『忍者武芸帖 百地三太夫』を観ろ!

 

 ストーリー自体は淡白な、ありふれた仇討ちモノです。ただ、シーンがとてつもなく素晴らしい。父を殺した相手への復讐を誓う主人公。単純ですね。そのストーリー構造の堅牢さゆえに、アクションシーンの視聴に集中できる。

 迷彩服を着た忍者が出てきますから、時代考証なんて野暮なツッコミはなしで観ましょう。飛行機もない戦国時代が舞台なのに、戦闘シーンは平面ではなく、まるで宇宙戦のような空間戦闘です。忍術なので……。木を飛び移っての攻撃や大ジャンプ、特に合体技のシーンは合体ロボ顔負けの合体っぷり。合体せずにそれぞれで戦ったほうが強そうですが……。ロマン枠なので良し!

 それに事あるごと、事のなくても肉体を振り回す主人公。ストーリーと全く関係ない演出にも関わらず、シーンの完成度の高さによるゴリ押しで、本筋を盛り上げる演出として機能しています。あと、ヌンチャクも出てきます。

 かっこいい場面の繰り返しによって、2時間の映画を成立させている。あらゆる矛盾は、肉体美によって回収される。生半可な技量では真似できない代物です。各場面におけるアクションのクオリティの高さ、戦術的勝利の積み重ねによって、ストーリーを完結させています。

 タイトルも良い。『忍者武芸帖 』ですから。目にした瞬間に、どんな物語が始まるのか分かる。「忍者」と「武芸」。この2つを掛け合わせたことで、すべての演出は受け入れられます。しびれる言葉の掛け合いと肉体の輝きから生み出される、その瞬間で生み出すことができる「最高のカッコいい」を楽しめました。

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