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子どもの作品、どのくらいどうやって保存するのか問題

 保育園にお迎えに行くと、年長クラスの子どもたちが、ペットボトルの水に絵の具をいれた色水作りに精を出していた。それをさらに調合し、おそらくキレイな色をめざしているんだろうけれど、残念ながら泥水のような色になっているものが多々。
 そして我が息子いちくんも、例に漏れず泥水を500ミリペットボトル三本分抱えて駆け寄ってきた。うへぇ。
「これ持って帰る!」
「駄目です」

 即答したのには訳がある。うちには既に、数日前に持って帰ってきた泥水が一本存在するのだ。
「ほらっ、ママが好きなミルクティーだよ」
と無邪気に言われたが、本当に間違えそうで洒落にならない。遊んだあとは必ずおもちゃ棚に置くよう厳命した。
 この色水で、彼はスライムを作りたいらしい。が、洗濯のりとかホウ砂とか、他に転用できない物が増えることを渋っている我々が、材料を用意していないため、色水は色水のまま置かれている。
「一つ使ったら、お家に一つ持って帰ってきなさい。お家に置いていいのは一本だけ!」
 片付けの鉄則one in one outを盾に、なんとか家の色水が増えるのを阻止したが、これができていないから我が家は物が増え続けているのだということを忘れてはならない、自戒として。

 いちくんの創作意欲は、岡本太郎の芸術よろしく日々爆発しており、毎日のように廃材で作られた何かが増えていく。

 バームクーヘンの空き箱で作られたパクパクモンスター、ティッシュの箱にサランラップの芯をつなげて、プラパックの操縦席をのせた戦車、ふたをあけると箱の中に茶色の色画用紙をやぶいた麺がギッシリと、折り紙でできた箸が入った「にぃちゃん(3歳妹)のためのお箸練習焼きそばセット」。

 しかし豪邸ではない我が家に置ける量は限られる。
「この引き出しの上に置けるだけとっておこう。あとはポイするよ」
 と言うと、なんとも悲しそうな顔をして「でも、全部大事だから……!」と訴えかけてくる。

 褒めて育てる方針ゆえ、作った直後は「わぁっ、すごいね~!」「ここがこうなってるの? 工夫したね〜」「色使いがいい!」「かっこいいじゃん!」と褒めまくるのにもかかわらず、部屋の汚さが気になってくると「どれか捨てよう」と迫る。自分でも、大いに矛盾しているという自覚は大アリだ。

 たまに「母は私の工作を全部とっておいてくれました」みたいな記事を見かけることがあって、「どうやって!?」と、書かれていないその方法を探し、行間を凝視してしまうことがある。
 めちゃくちゃ広い家だったのか、めちゃくちゃ小さい工作だったのか。

 「母がとっておいてくれた工作」が、息子の自己肯定感を爆上げして、やがて美大進学や芸術家への道につながるかもしれない……。そんなことを考えては、今自分はその芽を潰している!という罪悪感に苛まれる。

 これを書いている今、家の購入を検討している。うまくいけば今よりも子どもスペースが広くなるが、そうやって油断していると、すぐに埋まってしまうのが家なのだ。

 この色水、引っ越し先まで持ってくのかなぁ。今から頭を抱えている。

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