トイレはこちらです

ここのところ寒いせいか、トイレが近くて堪らない。30分ないし15分に1度は尿意に襲われているかもしれない。

ほら、そう言っている間にもう行きたくなってきた。さっき目一杯我慢しながら目的の居酒屋に入って、ビールを一気に飲み干した。途中から漏れそうだったけど、限られた時間の中で酔いたかったわたしは我慢してそのまま次の予定のために電車に乗った。

出がけにトイレに行ってから出たらよかったのに、その日のわたしは焦っていた。だって、彼にやっと会えるから。マッチングアプリで知り合ってしばらくやりとりしていた可愛い年下の男の子。

どんな子かなあ、通話したこともあるけど声の感じはおっとりしている気がする。電車に揺られながら、彼の声を思い出して下半身がじっとりと湿ってきたような気がする。忘れかけていた尿意を思い出す。

もうちょっとだ、きっと駅にはトイレがあるはずだし、彼に会う前に寄ろう。

駅に着くと「トイレはこちらです」の文字を見つけ、駆け込む。時間はまだ大丈夫。2人並んでる、けど、まだ大丈夫・・・ぎゅっと下腹に力を込めて、ぜんぜん関係ないことを考える。

あとひとり・・・もうちょっと、がまん・・・

やっと空いた個室に駆け込む。ワンピースをたくし上げ、一気にストッキングとパンツをおろしてこしかける。

あーーーーまにあったーーーー!!!!最高にスッキリ。もう彼に会わなくていいや。

じりりりりりりr・・・・・・

遠くで電車の発車音が聞こえる。


「あーあ、またやっちゃった・・・・」

目を開けるといつもの天井。体を起こして電車の発車音によく似た目覚まし時計のアラームを消す。


おわり

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