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逃げ出したさきで見つけたもの

人はそれぞれ自分の中にターニングポイントとなる出会いがあるのではないでしょうか。

それは時だったり、場所だったり、人だったり

今回、看護師人生で起こった悩みや葛藤の中たどり着いた、私のターニングポイントとなる思い出の場所について書きたいと思います。

すべてを手放す決意、そして島への旅立ち

看護学校を卒業して、地元の総合病院で5年働いた私はリーダーやプリセプターもひととおり経験しました。看護師あるあるかなとも思いますが、そのくらいの年代は看護師として熱心で意欲的な時期ではないでしょうか。多分にもれず、私もそうだったような気がします。

そのため人間関係の立ち位置もはっきりしており、後輩は守りたいけど上司には意見する。その結果、上司と意見が合わなくなり譲ることもできない。
患者さんのことを自分なりに考え、みんなと意見を共有しケア介入をしていこうとするけれど、医師と意見が合わない。看護という業務以外の委員会や新人指導、それに母の入院も重なりかかえきれない状態となっていました。

そのため母の退院をみとどけた後に看護師をやめるという決断をしました。

病院組織や看護師という仕事に疲弊した私は、すべてをリセットしたい気分となり、行ったこともなかったけれど趣味でやっていたマリンスポーツで有名な離島に旅立ったのです。

看護師という職業のありがたさ

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「もう看護師なんかやりたくない!」
といって離島に旅立った私ですが、離島でも看護師でした

もうやりたくないと思っていても、離島という環境で、生きていくには看護師資格が最も有利でした。

看護師に疲れていた私ですが、この資格さえあれば国内どこにいっても暮らしていけるということに気が付き、「この資格があればなんとかなる。」と感謝したのを覚えています。

カルチャーショック連続な離島医療

やる気を失っていたので、業務をこなすことに集中しようと働いていたわけですが、今から15年前のことなので今までに経験したことがないことが目の前で繰り広げられていました。

吸引瓶はディスポでそのまま中身を破棄があたりまえの時代に、瓶の吸引瓶を洗って使用したり、点滴のミキシングの注射器がガラス注射器であったり。

そして、何より驚いたのは提供される医療の限界でした。

その当時、離島には公的病院もありましたが、私が就職した病院の方が規模が大きく診療科も充実していました。しかし、耳鼻科や泌尿器科など患者の少ない診療科は週に1-2回程度本土からくるのを待つしかない状況でした。

また、治療できる疾患も限りがあり、心筋梗塞を見つけても本土に搬送するしかない状態。その搬送も天候により左右され、風が強ければ自衛隊のヘリコプターも飛べず、頼みの綱の高速船が運航していると聞き救急車で送り出しても、港で欠航がきまり引き返してきたこともあります。

島で唯一の小児科医が常勤でいたのですが、里帰り出産をしていた子供の状態がおかしいと夜間入院をしてきて、翌日ヘリコプターで心臓マッサージをしながら搬送したと聞いたこともあります。

このような経験をし、離島医療の限界や難しさを感じるたびになぜか前とは違い学びたい欲求がでてきました。私の看護師魂が復活したのです。

そうすると、反対にこのままここにいると元の場所に帰ったとき自分は働けないないのではないかという不安に襲われ、2年ほどして地元の病院に戻ったのでした。

私は離島に行くことにより、のんびりした時間とすばらしい自然環境、暖かい人たちにかこまれ癒されました。癒されたからこそ、看護師という自分ともう一度むきあうことができたのだと思います。

あれから15年以上の年月がたちましたが、今でも苦しいときは帰りたいと思えるような大切な場所です。

~この記事を書いたのは~

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mie
看護師歴24年。福岡県出身。
2次救急病院で18年勤務する。離島医療やホスピス、応援ナースなど様々な分野での経験もあり。
その中で、患者はもちろん支える家族やスタッフも心に葛藤や不安を抱えていること、自分が満たされないていないと与えることは出来ないと気がつき心のありかたに興味をもつようになる。
ヒプノセラピスト・レイキマスター・逆視道認定講師など資格を所得し心の学びを深める。
自分の心に従い看護師をしながら新しい働き方を見つけるためチャレンジ中。
趣味は韓国旅行。一か月ほど現地で暮らした経験をもつ、好奇心あふれる行動派ナース。
https://note.com/ysmicky

ナースライフバランスでは、 SNSを活用したオンラインサロン、各種イベント、情報など通して 看護師としてのいろんな働き方やプライベートを充実させるための情報や活動を通して1人でも多くの看護師が「自分らしさを」大切に、 自由で面白いナースライフを過ごせる世の中を目指します。