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看護師の働き方は1つじゃない。中堅看護師がなりたい自分を実現した方法

日々の業務や委員会活動、新人指導と忙しい日々を送っているあなた。自分の目標としていた看護はできていますか?プライベートの時間は充実していますか?私は忙しい業務に追われ、やりたい看護が実現できずに悩むことがありました。看護師として働くなら病院勤務、目指すべきは管理職か専門・認定看護師と輝かしいキャリアアップを考えていた私が、訪問看護への転職や休職と働き方を変えていきました。それには、看護師・働く女性だからこそぶつかる様々な人生の転機があったからです。その壁をどう乗り越えたかについてお伝えします。同じような悩みを抱えている看護師にとって、このお話が人生の選択肢を広げるきっかけになることを期待します。

理想と現実とのギャップに悩む日々

大学を卒業した後は総合病院に就職しました。呼吸器内科・婦人科・小児科の3科混合病棟が私のスタート。対象患者さんは、新生児から高齢者まで幅広く、急性期・慢性期・ターミナル期と多岐に渡りました。日常的な看護ケアはもちろんのこと、高度な機器を取り扱う技術も必要でした。業務中は座ることもできないくらい時間に追われ、定時後にやっと看護記録に取り掛かれるような状態でした。当然、入院患者さんとコミュニケーションが取れる時間はほとんどありませんでした。患者さんに寄り添える看護師を目指していた私は、一人の患者さんにすら向き合えないことに徐々に違和感を覚えるようになりました。「自分の家族が同じように看護されていたらどう思うのだろう。」「やりたい看護ができずにこのまま働き続けていいのだろうか。」不満は次第に大きくなりました。しかし仕事的には、業務にも人間関係にも慣れ、辞める決定的な理由はありませんでした。「でもやっぱり患者さんとゆっくり話せる環境で看護がしたい。」その思いは捨てきれず、プリセプターを終えた頃に退職することを決意しました。



初めて感じた訪問看護でのやりがい

「患者さんとゆっくり向き合える看護ができる」「仕事と家庭、どちらも充実できる」という条件で病院に絞らずに転職活動をしていた時、私の希望条件と合致した訪問看護ステーションに出合いました。看護経験5年目の私が、知識や技術面で訪問看護に飛び込むことに迷いはありました。しかし管理者の「しっかりとサポートする。」という一言に背中を押され、思い切って挑戦してみることにしました。入職当初は、ご自宅に一人で訪問することへの不安と緊張で押しつぶされそうになったり、サービス担当者会議や自動車運転にも悪戦苦闘したりしました。しかし、訪問経験を積むにつれて、患者さんと時間をかけて深く関われることや希望を叶えることができる喜びが勝るようになりました。「家のお風呂に浸かりたい。」と言われれば、汗だくになりながらお風呂に入れる方法を考え介助しました。「好きな体勢で好きなテレビを見たい。」と言われれば、部屋の環境を整えて、一緒にリハビリをしました。決してテレビドラマで見るようなかっこいい看護師ではありませんが、やっと患者さんの役に立てたような気がしました。私が目指した看護はこれだと思えた瞬間でした。偶然出合った訪問看護で、まさか看護師として働くことへのやりがいと楽しさを知ることができるとは思いもよりませんでした。



まさかの不妊治療から行き着いた私の看護人生

訪問看護にやりがいを見出し始めた矢先、いつかは授かるだろうと思っていた子どもができず、不妊専門の病院に通院することになりました。なかなか思うような結果は出ず、焦りが募るばかりでした。治療内容は、徐々に高度になっていき、通院のため急遽仕事を休むことが増えました。幸い、職場の方々は理解のある方が多く、勤務交代にも快く対応して下さいました。しかし終わりの見えない治療と仕事との両立に心身ともに疲弊していきました。「いま大切にしないといけないことは何だろう。」今の環境や金銭面、やりたいことなどを書き出しました。そうすることで心の整理がつき「自分のためにいっそのこと看護師を辞めてしまおう。」と主人にだけ相談しあっさりと看護師を辞めてしまいました。

退職後は治療に専念することができ、気が楽になりました。一方、世の中は新型コロナウイルスが蔓延し、連日、看護師不足の報道がされていました。医療現場の状況は、看護師を辞めてしまった私を精神的に追い詰めましたが、私も誰かの役に立ちたいという思いを蘇らせました。そして、不妊治療と看護師を両立できる方法を模索するきっかけとなりました。

自分のためのお休みは、病院で働くこと、直接手当てをすることだけが看護ではないと気づかせてくれました。今後は治療を続けながら在宅でできる看護師の仕事を続け、いつかひと段落したら臨床にも復帰したいと考えています。

西村 明香(にしむら・あすか)看護師・保健師
大学を卒業後、総合病院で勤務し、呼吸器内科・婦人科・小児科・訪問看護を経験。 現在、不妊治療のため休職中。今後は自分を大切にしながら仕事と治療の両立を目指している。モットーは「私と関わる全ての人、そして私自身も笑って過ごせるような看護をすること」
おむつフィッター3級・二級愛玩動物管理士



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