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ADLとQOL


 リハビリテーション総論でADLとQOLについて発表を行った。発表でとり挙げたADLとQOLについて自分なりにまとめてみた。


まずADLとは、日常生活動作の略で、食事・排泄・着脱衣・入浴・移動・寝起きなど、日常の生活を送るために必要な基本動作すべてをさす。ADLは、患者・障害者・高齢者の身体活動能力や障害の程度をはかるための重要な指標であり、健康指標の代表的な一つである。従来からADLは医療や福祉の場で利用され、現在でも頻繁に用いられているのである。


ADLの指標にはBartel IndexやFIMがリハビリテーションという分野において最も広く使われている。これらはいずれも類似しており、食事や排泄などの動作をどの程度自立してできるかで測定される。たとえば、食事が完全に一人で行える、見まもりが必要である、部分的に介助が必要である、全面的に介助が必要であるといった表現で自立の度合いを示すものである。
これらのことからADLは、生きていくために最低限必要な基本動作についての能力をあらわし、いわばマズローの欲求階層の最下段階の生理的欲求がどの程度自立して行えるかを確認するものとなっている。


 QOLについては、社会生活の能力、そして感性や知性が保たれること、苦しみを緩和すること、そして、その人に生き甲斐を与えることを指すと定義されている。QOLに類似する言葉として、ノーマライゼーションという言葉がある。ノーマライゼーションとは、対象者が普通の生活状態に近づける生活を作り出すことで、障害者などが普通の生活を営むことを当然とする福祉の考え方である。これに対してQOLとは、対象者が生活に関する主観的満足感や安定感、達成感などを健常者も障害者も同じ生活の中で感じること。生活を物理的に捉えるのではなく、個人の精神的な豊かさを重視して把握する医療の考え方であるといえる。


 これらのことから、現代のリハビリテーションでは、ADLからQOLにパラダイムシフトしてきたことがわかる。これからはQOLの指標に注目し、目的を明確にして使いこなす姿勢が重要である。

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