見出し画像

患者さんの死と家族看護

 看護師という職において、避けては通れないのが患者さんの「死」。看取るのが辛くて、看護師を辞めてしまう方も少なくはないです。

 私は、HCUという集中治療室に所属しており、この1年間様々な患者さんの死に携わってきました。

 病院に運ばれてすぐに亡くなってしまった方、脳の疾患で、3−4ヶ月闘病した末に亡くなった方、急変で突然亡くなってしまった方など、原因は様々ですが、見取り、エンゼルケアに入らせてもらう機会が何度かありました。

 当たり前ですが、患者さんの数だけ、家族がいます。

 毎日面会に来られる家族、遠方に住んでおり、なかなか面会に来れない家族、入室されてから1度も面会に来られなかった家族、顔を見るのが辛く、あまり面会に来たくない家族など。家族に合わせた対応、家族看護が必要になってきます。

 他の病院はわからないのですが、私の病院では、患者さんが亡くなった後、しばらく家族さんとの時間を取ってもらい、その後体に入っているデバイス類の除去を行なって、エンゼルケアに移ります。
 希望に沿って、家族に体を拭いてもらったり、メイクを行なってもらったりすることもあります。

 ある家族さんが、エンゼルメイクを患者さんに行なっていた際、「おばあちゃんの口紅どんなんやっけ?」「え??なんか濃くない??」と少し微笑み合いながらされていたことがありました。
 もちろん亡くなった瞬間、看取られた瞬間は皆様悲しみ、涙を流されていました。しかし、エンゼルメイクを行う際、亡くなった家族のことを思い出しながらされていて、患者さんも幸せだろうなと感じました。
 エンゼルケアに入ることが正解だとは思いません。しかし、この家族さんにとっては、それが1つの思い出になったのではないかと私は感じています。

 何度もエンゼルケアに入らせてもらうと、慣れが生じてしまうこともあります。感情移入位してしまうと、自分の心も辛くなってしまうのである程度淡々と行う必要もあります。
 ですが、患者さんと家族さんに敬意を忘れず、最後の瞬間だからこそ、綺麗にしてお見送りしたいなと思っています。

 患者さんと、家族に合わせた最後をお見送りできるように、家族が後悔しないように、闘病生活を支えていきたいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?