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屋号をもつ、というお話

こんにちは!
ヌリタシのヌリ平です。

前回の記事では初めましてと言っておきながら「ヌリタシ」、そして私たち個人の名前について何も説明していませんでしたね。

ヌリタシの名前


「ヌリタシ」は印刷用語の「塗り足し」から取っています。
「ヌリタシ」は本屋という形を見つける前から名前だけ先に決まっていました。
ヌリ平もヌリ美も印刷会社出身だったので、印刷に関わる名前を、ということで「塗り足し」です。

自分で決めておきながら、「塗り足し」の説明ってなかなか難しく後悔することもあります。
印刷物は一般的に印刷工程の後、断裁(仕上げたいサイズにカット)に入ります。
機械とはいえ、何百枚も重ねた紙を一気に断裁するわけですから多少の断裁ズレが生まれてしまうことがあります。
そんな時に必要なのが「塗り足し」なのです。

塗り足しは紙に印刷をするよりも前の段階、デザイン時に付けられるものです。
印刷物のサイズがA4だったら、デザイナーはA4サイズより一回り大きなサイズでデザインします。
この余分に大きく作られたスペース「塗り足し」があることで、その後の断裁の時に多少ズレても見栄えが悪くなく印刷物を仕上げることができるのです。
もし塗り足しがなかったら…
断裁ズレが生じた分だけ紙そのものの白い部分が見えてしまうので印刷物として少し不格好な形となってしまいます。


「塗り足し」は印刷物が仕上がってしまえばあったことすら忘れられてしまうものですが、無いと印刷物がちゃんと出来上がらない。そんな存在なのです。

そして、断裁ズレという誤差を見越してあらかじめ作られる塗り足しって、ミスを受け入れてくれるような寛容さを感じられるので、なんだか安心します。

くどくどしい説明でしたが、塗り足しは印刷物を作るうえで必要なもの、だったらヌリタシはいつか街に必要な存在になれたらなぁという理由で私たちのユニット名に決まりました。


ヌリ平・ヌリ美の名前

そして私たち個人の名前についてです。

私「ヌリ平」の名前に特に深い意味はなく、ヌリタシというユニットで活動している〇平(本名)だからという理由で名づけました。芸名?雅号?リングネーム?だと思ってもらえれば。

私は印刷会社・広告代理店でそれぞれ4年ずつ働き、現在は出版社で働いているのですが、前職の広告代理店時代にヌリタシ活動を始めました。当時会社では副業がNGだったため、本名ではない名前で活動した方が無難だろうと判断しての「ヌリ平」なわけです。一般的に見たら副業ではあるのですが、自分たちの生き方の実験という意味合いが強く、いつかはヌリタシ活動だけで最低限食べていけたらいいよね~、くらいに考えています。

少し脱線しましたが、名前の話です。
現在週に一度店番をしているcojica booksは協働書店として、他の4組の本屋さんと一緒に営業をしているのですが、みなさん素敵なお名前で活動されています。
itoitoの縦さん、横さん
山の上の本棚の風さん、凧さん
等々
それぞれ本屋さんが棚に並べている本の特徴も含めて、ストーリーが伝わってきそうなお名前です。

その方たちに並んでの「ヌリ平」。
ストーリーもおしゃれさもありゃしませんが、「ヌリ平」という名前は今では私にとってものすごく大切な存在なのです。

ヌリ平ではない時の本名の時の私には「真面目すぎる、まずは平均点を狙いにいく」という性質があります。ヌリ平として活動しているときもこういった側面は表に出がちなのですが、本名の時よりはほんの少しだけ積極的になれます。おそらくですが、本名のままで活動していたらもっと面白くないヌリタシになっていたような気がするのです。

イラストレーター・みうらじゅんさんの本名は「三浦 純」なのですが、漢字の「三浦 純」がプロデューサーとなってひらがなの「みうらじゅん」を操っているという話を聞いたことがあります。私もまさにそれだなと。普段の生活では何もやらないか、すべて無難に済ます私でも、「ヌリ平」そして「ヌリタシ」だったら「おもろいことやるしかねぇ」の気持ちが上回る場面が何度もありました。
そして「ヌリ平」という名前のダサさも今となっては重要だったなと。
もしシュッとした名前だったら、格好つけてシュッとしたことばかりしようとして地に足がつかず、自分たちを苦しめていたと思うのです。
以前の初めましての記事でも書いた「実験的」という肩書同様、人の気持ちって言葉だけでいくらでも誤魔化せるのだなとつくづく思います。

本名とは別の名前をもつという身軽さ

こんな感じで私たちは、「ヌリタシ」という名前にものすごく助けられて活動しています。
世の中には本名で活動している素晴らしい方がほとんどかもしれませんが、本名とは違う名前を持つことで一歩を踏み出せることもあるんじゃないか。
いつか、何かをしたいけど、まず何をしたらいいか分からないという方たちと一緒にまずは屋号・芸名を考えるというワークショップをしてみたいな~と最近は妄想しております。

次回あたりはヌリ美が記事を書くかもです。
それでは、また~!!



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