見出し画像

【in my book_#7】 ビートたけし 『バカ論』

またまた読んでしまった、ビートたけし。

これまで、何冊か読んできたが、一貫した感想は「常識的で、繊細で、たまに猟奇的」であるということ。

特に、足立区で生まれ育ったことなど、自分の生い立ちに関するエピソードは共感する点も多い。

狭い中でひしめきあって暮らしているのに、突如、神童のような子どもが爆誕したり、大酒飲みのどーしょーもない旦那を支える妻とか、家族の話とか、昭和らしい微笑ましく懐かしいこともあるが、その当時は必死だったからこそ、今では笑い話になっている印象を受ける。

本の中で「品格」というワードが何度か出てくる。
それは、品とか知性とかセンスとか、お笑い論が語られているからだが、自分がこの本で一番、「品格」を感じたのは、本当にバカな人のことをバカと言わない配慮と、何回もバカと書いていたら嫌になってきたと回想していることだ。

結論を述べると、この本は「バカとは何か?」を語るわけではなく、
「バカだねえ、この子は」
「うちの人は、ほんとにバカで困ったもんだ」
と、母親や奥さんからヤジられる愛情表現についての本だった。

さすが、ビートたけし。
何を書いても「菊次郎とさき」のオマージュになっている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?