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Photo Session 京都編

文・写真 土居大記
絵 町田藻映子
※このnote記事上にある画像・文章の複製・転載はご遠慮くださいませ。

ということで、濡れた地蔵プロジェクトは写真という手法で次の発表方法を模索しています。
Golden week直前の京都で日本画家 町田藻映子の作品を野外撮影してきました。
一泊二日で西へ東へ撮影機材と絵を担いで京都を奔走。

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平日かつウィルスの影響で観光都市京都は静かでした。
京都の美大で日本画を学んだ町田の絵はやはりこの土地に馴染みやすい雰囲気を持っているように思った。

絵画の纏う雰囲気とは何か。それはテクスチャや色、サイズなどではなく何か生々しいこと。撮影していて、そして何百枚とレタッチをする作業の中でその声のような匂いのような核心に迫れたので今回はその実感を記す。それはそのまま作品のコンセプトへと発展していく内容かもしれない。

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おそらくこの行為に真っ先に疑問に思うこと。絵が実在するのになぜ写真に写すのか。二次元を二次元へ。
それは絵画は在る場所や時間が違えば全く違う光り方になる。ということを表現するためだろうと思う。これらの絵画作品は屋外での常設などには耐えないものだから鑑賞する機会がない。通常ギャラリーや美術館での照明や窓からの自然光での鑑賞になる。だがこれらの絵はもっと色々な表情を持っている。特に作者は長い時間その絵と日常を過ごすので色々な表情を知っている。

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私もその絵が特に匂い立つ環境というのがあるということを実感している。その半分は自分も匂い立っている状況なのかもしれないが。

撮影は町田と同行して行った。基本的に私がどこでどう撮るかの舵をとる。なぜ絵を1番理解しているであろう作家本人が撮らないかはまた別の機会に明示したいと思う。作家ならなんとなく察しがつくと思う。
とにかく撮影をしているとそこはかとなく感じること。自分が良いと思うイメージと町田の思うイメージに少しギャップがある。それで摩擦が起こることはないし撮れたものが見えるとお互い納得するのだが、シャッターを切る前のそのギャップが後のレタッチ作業の時強く思い出された。なぜか。

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昼間の光、街灯の光、夕日、ストロボ、雲、風、絵画を写すシチュエーションは全てのショットで変わってくる。撮影時は光や周りの環境にどう配置するか、なんとなくその絵が匂い立つ気配を感じ取りながら進行する。最終的にどの媒体で写真作品とするか決めていないのでなるべく様々な画角で撮る。
二日で900枚ほど撮り160枚ほど選出してレタッチした。これは大きく伸ばすのに向いてる、小さい方がいいなどはわかりやすく選ぶことができる。しかし、色温度や彩度、色相、コントラストの調整になった途端、困った。

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俺はこれがいいと思う。しかしこの絵が1番この絵らしいレタッチはこれなのか。それは多分町田が知っている。さあどうしよう。となった。
最終的にこの写真作品は自分の作家としての表現でもあるからそこに答えはないということで作業を進めたが、結局葛藤は今も残っている。これはとても大きな収穫だった。写真の持つ根源的なテーマを実感できたのかもしれない。

そしてもう一つの気づき。レタッチに対する絵の部分の反応が絵でない部分より敏感であること。それは人工物に対する自分の意識の持っていかれ方と言えるかもしれないが、彩度やコントラスト、明瞭度など敏感すぎるほど変わるので神経を使った。

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さまざまな選択の中から選んだ一瞬の写真。その写真にも色々な可能性が残っていて最終的にどんな形で人に見られ残っていくのか。きっとまだ想像も及んでいな事がある。カラーチャートを使って忠実に再現すればいいという記録写真ではない。

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この記事について
インスタレーションアーティストの土居大記と、絵描き・ダンサーの町田藻映子によるコラボレーション展示の企画『濡れた地蔵』(@海老原商店)。展示は2020年11月終了しましたが次回は写真作品をメインに展示する機会を探しています。作品発表までの間、2人のワークを写真と言葉の綴りでnoteに掲載してゆきます。

この企画のプロフィール記事はこちら➡︎ https://note.com/nurejizouproject/n/n847d5add36c9

プロフィール
土居大記 (Hiroki Doi)
学生時建築を学び、卒業設計を機にアーティストになる。”美しいは生ものである”という考えから制作している。
自然現象を素材としてインスタレーションやパフォーマンスを行っている。
常にまわりで起り続けている小さな変化を抽出して振り付けることが作品の主軸にある。それらの空間では気づくことが連鎖する。即興である。ダンサーとの共同制作も行っており、自身も制作の過程で身体表現のメソッドなどを経験している。
主な表現媒体はインスタレーション、パフォーマンス、写真、詩、製本。
HP https://www.hirokidoi.com/

町田藻映子(Moeko Machida)
京都市立芸術大学大学院修了。「生命とは何か、人間とは何か」を主題に、岩石やそれに関わりの深い生物・人の文化に焦点を当てて絵画制作を行う。かねてより、身体を通した主題へのアプローチを重視し、コンテンポラリーダンスと舞踏を学ぶ。『私が石ころを描き続ける理由』についてはこちらにまとめています。
個展「生きる者たちを想う為」(GALLERY TOMO(京都)2019年)、「名前を知らない死者を想う為」(GALLERY b. TOKYO(東京)2019 年)、「MoekoMachida Solo Show」(Marsiglione Art Gallery(イタリア)2017 年)等を開催。「シェル美術賞展2018」( 東京) 入選。「飛鳥アートヴィレッジ2017」( 奈良県明日香村) 参加。
HP https://www.moekomachida.com
Instagram https://www.instagram.com/moeko_machida/

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©︎ 土居大記・町田藻映子


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インスタレーションアーティストの土居大記と、絵描き・ダンサーの町田藻映子によるコラボレーション展示の企画。開催延期となってしまいましたが、展覧会までの間、2人のワークを写真と言葉の綴りで掲載してゆきます。