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武器を持たない新参botterが収益機会を得ることは出来るか?

「仮想通貨botter Advent Calendar 2022」10日目の記事です。

はじめに

この記事は全体的に初学者目線で書いた内容です。
気軽にアドカレに参加したら周囲のレベルが高すぎて負い目を感じてます。その様な記事を期待されていた方、ホントすみません。

それでも読んで頂けるという方、筆者は技術力や金融知識など諸々拙いため、この記事はアドカレ内のコーヒーブレイクだと思って生暖かい目で見て頂けますと幸いです。私と同じく新規参入した方に取っては少しは参考になる内容があるかもしれません。
新規参入者が途絶えて儲かる強い人しか残らない界隈は縮小均衡しかねませんし、だから1枠くらいは新参者の記事も許していただけたらと…

簡単な自己紹介です

bot開発を本格的に始めたのは2022年2月頃です。
本職はプログラミングや金融関係とは基本無縁でして、使えそうな武器はほとんどありませんでした。唯一、事業経営経験に基づく限り無くささやかな収益機会に対する嗅覚くらいは辛うじて持っていたかもしれません。一応今日までなんとか退場することなく生きており、現在も地道にbot開発を続けています。後述の金額は参入からの収益推移です。2月:2,174円 → 5月:135,331円 → 8月:510,382円 → 11月: 562,124円

技術がない、知識もない、 0からのスタート

一番最初に考えていたのは「トレードやプログラミングに関する体系的な知識を1つずつ身につけていくような正道を歩んでいては時間がいくらあっても足りない」という1点のみであり、とにかく学ばない対象の選択に重きを置いていました。最初1週間くらいはその見極めの為にnoteやQiita、Twitterなどを寝落ちするまで眺めて情報収集、その次の1ヶ月でとりあえず動くものを作り、そこからは戦うフィールドを1つに絞って只管攻略を試みていました。

参入当初に大変お世話になった記事

動くbotを作るという全体像は以下のブログで学ばさせてもらいました。

bot戦略やトレードという世界の理解については特にHohetoさんUKIさんの記事にお世話になりました。概略としてわかりやすく初学者の私にとっては必要十分なものでした。

情報のほとんどが無料で閲覧出来ることについて、ありがたいを通り越して気付かぬ内に養分ムーブしていないかと怪訝に思うレベルでしたが、botterとしての1歩目を踏み出す上での心強い道標となってくれました。大変感謝しております。

弱者に収益機会は残されているのか?

では、本題に入ります。

私が参入した2022年2月以降は、2021年11月のATHから続くBTC価格の下落と取引高の漸減が観測され、「冬の時代」「冬」と言う言葉が散見されるようなタイミングでした。

そのタイミングでの参入が後発なのか否かの議論はさておき、少なくとも最初期の参入ではなく先行者利益を得られる状況とは考えにくい上に、冬の時代と称される状況に於いて裸一貫でbot開発をして得られる収益機会など存在しているのか?と参入を諦めようとした事もあります。

しかし、新規参入するには敷居が高い印象を持っていた一方で、基本的にどの様な業界にも強者が取らない、取る価値が低いから無視される収益機会というのは残されているもので、特定業界に於いてシェア100%の会社がほとんど存在しない様に、誰の目にも止まらない収益機会はまだあるのではないかとも考えておりました。

故に収益機会が残されているか?という問いには確信に近い「YES」という私見を持っておりました。

ただ唯一の問題は、強者が無視した、または誰の目にも止まらない収益機会が仮にあったとして、その収益機会は"現実的に獲得可能かどうか"です。
「誰にも見向きもされないような収益機会」には基本的に相応の理由があります。訳アリということです。

例を上げると (抜け漏れも重複もありますが…) 、

  1. 巨額な資本を必要とするから残っているだけの収益機会

  2. リスクが高すぎて常人は手を出さないだけの収益機会

  3. 技術的難易度が高すぎて残っている収益機会

  4. 拾うのが面倒だから残っている収益機会 (コストリターン、リスクリターン的な意味も含む)

  5. その他何かしらの高い障壁があり残っている収益機会

上記の様に、例えば1や3はそれぞれ資本力、技術力を必要としますので、仮
に収益機会があったとしても私には獲得不可能な収益機会です。2は魔界の住人の方が取っている収益機会のイメージです。私が魔界などに入れば秒もかからず蒸発するでしょう。

上記の例の中で裸一貫の私が狙える収益機会を選択するならば、2の一部(例えばCPリスクに対して他者より寛容になるなど)と4、または可能性は低いですが5の中の何かしらだけです。

私のような弱者が対価やリスクを払わず簡単に美味しい蜜を吸えるわけがないのであります。

開発コストが下がっている後発参入のメリットを活かして、面倒な事をすることにした

現在は多少なりとも知識や技術がついてきましたので、もう少し幅広く収益機会を狙うことが出来ていますが、当時の状況に於いて収益を得るには面倒な事をする他ないと考えていました。

極力有り物を使う

どの産業でも基本的に美味しい鞘は先行するプレイヤーに食い尽くされていきますが、一方で後発組は先行者が開拓したツールやアンチパターン、ベストプラクティスなどを享受しやすくもあります。界隈にも技術に尖った方はたくさん居られ、便利なツールを公開されております。ありがたく利用させて頂きました。以下はその一例です。

何の「面倒さ」を拾いにいくか

「面倒さ」にも幾つか種類がありますが、初手としては上述の開発面での後発参入メリットを享受しやすい面倒さを拾う事にしました。広く浅く収益機会の全数探索を試みたという表現が近そうです。具体的には以下の通りのことをやりました。

  • APIがある取引所は基本的に全網羅 (前述の通りCPリスクには可成寛容になる)

  • 通貨ペアも基本的に全網羅

  • 現物、先物、マージンなどの種別も全網羅

  • ローソク足は1秒〜1日単位まで20種類ほどを利用

  • ルールベースを基本とするロジックを20-30個用意 (backtestと並行して順次追加)

  • ロジック1つに対して指値位置や移動平均間隔などの主要パラメータの組み合わせが数十〜数百通りほど存在

  • 初歩的なMLによるエントリー時のフィルターが数通り

各取引所の約定データからローソク足を自炊し、そこにベースとなるロジックと主要パラメータ等のパターンを全通り試していくというスマートさの欠片もない脳筋的アプローチで、見込みがありそうなロジックとその特性の観察から始めました。今まで食べたパンの枚数さながら、試したbacktestの回数などはもはや覚えていません。

全数探索的backtest。組み合わせだけで言えば100万通り近くあったかもしれません。

また、全期間のMAX DDや累計リターンのみでbacktest結果を評価をせずに、特定区間で特徴的な動きをしているケースについては特徴的な区間を抜粋して調査をするなどもしておりました。朝起きてエラーで止まってて意気消沈することも多々ありましたが、めげずに時間を割き続ける他ありません。

当時はとにかく面倒さに正対することが私に残された唯一の戦場でした。本業が時間的制約の緩い環境だったため会社員にしては多くの時間を投下出来たかと思いますが、睡眠不足などで健康を代償に捧げる事になりました。健康も欲しければ強くなるしか無い。

外部環境の変化によって新たに生まれる収益機会

外部環境の変化により新たなチャンスが生まれるという点は、bot開発に参入した時から未来の可能性の1つとして頭の片隅に置いておいた事です。その1つの例が大手取引所の取引手数料の改変です。

取引手数料の改変で結果が180度変わったロジック

あるロジックのbacktestの結果

上記は当時検証していた内の1つであるBTCUSDT-Perpのロジックのbacktest結果です。手数料の改変日を境に面白いように結果が変わったことを示唆しており、その変化は今日に至るまで継続しているようです。

外部環境の変化を起因とした業界内勢力の隆盛と衰勢のサイクルに似ておりますが、何よりそのサイクルの早さが圧倒的なのが仮想通貨界隈です。
「会社の寿命30年説」などのように通常の産業では数年〜数十年単位のサイクルでしかチャンスは生まれないイメージがあり、新規参入者に残されたチャンスの絶対数が少なく、そもそもチャンスを発見する難易度も高いです。
しかし、botter界隈は数ヶ月、下手すると1週間という単位で世界が様変わりしている可能性があり、今もなお現在進行系で至るところに新たな収益機会が生まれているのかもしれません。

Bybitでマイナス手数料が廃止となった際も、私が検証していたロジックの幾つかに於いてはその前後で異なる結果が出るものがありました。

先行するプレイヤーが居たとしても、既得権益が環境変化により崩れるという点は短期的に見れば新規参入者にとってはチャンスです。環境変化が激しすぎると既存プレイヤーの離脱に繋がることもあると思いますが、稼げる内は人が離れすぎる事もないでしょう。
環境変化はコントロール不可能であり機を待つしかありませんが、環境変化が早いという点は今後も期待したい事の1つです。ただし、事件に起因する環境変化はなるべく勘弁して欲しいものです。

短期間で消える収益機会を拾うことを選択肢から除外しない

怠惰は人間の大敵です。
出来れば私もこの先ずっと収益を得続けてくれるbotが欲しいです。一度作ったらなるべくずっと生きててほしい。そう思う人が多そうなので逆に儚く消える収益機会を拾う人は少なく、意外に拾いやすいのでは?という逆張り思考もしていました。なおその思考の正否はわかりません。

短期的な収益機会はひっそりと生まれ、ひっそりと消えていく事も多いのではないでしょうか。24時間チャートやTwitterを眺めていれば気付けるかもしれませんが、流石に人力では無理なのでプログラムで異常な値動きを検知する事にしました。データの自炊を行う環境は既にあり、それを応用するだけで済んだので比較的簡単に開発できたことは幸いな事でした。参入時に比べて武器が1つ増えた感覚です、数少ない進歩です。

WSOT 2022に参加した時に短期的な収益機会を拾ってみた

短期的な収益機会を拾ってみた一例です。
今年6月のBybitのWSOTに参加し、当時恣意的に価格操作されていたらしいGSTUSDTの髭を取るbotを即興で作ることにしました。私のような初心者でも快くチームに入れて頂いたドースーさんに深く感謝しております。

以下はWSOT参加時の結果です。

Bybit WSOT 2022 最終結果

botの中身はmark priceを利用して乖離を計算し特定位置に指値を置くだけのシンプルなものでしたが、一応プラスの結果での着地となりました。
コツコツ作っていた普段のbotより資金効率が良かったので複雑な心情でしたが、普段は開発しないタイプのbotで短期的な収益を得るという経験が出来ました。

収益機会はトータル数週間ほどで無くなり、その後上場廃止(??)でトレードも出来なくなったというまさに短命のbotでした。
BybitのAPI仕様を詳しく見ておらず1orderあたりの最大発注制限に引っかかっていたためトータルの収益額としては微妙だったのですが、仕様を理解してしっかりロットを積めてたら結構良いPC買えてたなぁと後悔の残る結果でありました。技術力の無さというか、最大発注制限を真に受けて回避するという発想が出なかったあたりに素人感が滲み出ていました。

チャート以外の短期的収益機会の検知について

上述のGSTUSDTの仕手的な乖離についてはたまたまTwitter上で見かけた事がきっかけでしたので、以下の記事を参考に自然言語処理による収益機会検知も試してみました。

基本的に値動きに遅行する検知方法なので用途は限定的でしたが、最速で収益機会を検知したかったわけではなく、歪みが発生した後に数日〜数週間は再現されるような鞘を拾いたかったので、その意味では使えなくもない検知方法となりました。

とにかく最初の一番美味しい鞘は強者のもの。自分は2番目、3番目を拾えれば良いと思っていました。大きな収益機会に正対するには実力が足らなすぎて今でも時折虚しくなるわけですが、それは正対出来る力を身に着けた人の努力と運の賜物なわけなので、四の五の言わずにすべき事をしましょうと自らを律するのみであります。

今後のbot開発について

今後の活動について宣言することで、自身の怠惰に制約を課すという意味でいくつか書き記しておこうと思います。

bot開発を継続する

まず第一に、今後も退場することなくbot開発を継続していきたいと思っています。直近11月にも凄惨な事件があり、自分も間接的に被弾(ヘッジポジが飛んで人生で初めてマージンコールを経験)しました。

仮想通貨界隈は法整備等が未熟な様ですが、個人的には法や規制のない抜身の状態で何が起きるのかを、自身が火傷しながら学べる点を歓迎したい側面もあります。危機管理に於いては実体験を伴わなければ私は本当の意味で学べないタイプです。

金融市場、株式市場の歴史を何倍速もの早さでなぞっているという表現もあるように、新規参入した私にとっては歴史を早送りで体験出来るまたとない機会です。本当に貴重な機会であり、このタイミングで参入出来ていることは運が良いとまで考えています。そして、2度あるかわからない貴重な機会を活かすには退場だけは避けねばなりません。

基本的にbot開発も自己責任だと思うのですが、守られ過ぎると危機に鈍感になりますし、有事の際に思考が止まってしまう恐れがあります。火傷で済むなら上々、凡人の私が焼かれる経験が無いままぬくぬく過ごしてしまったら、いずれ業火に骨まで焼かれて火傷では済まない傷を負っている可能性が高いでしょう。bot開発を継続する、これが私の今後の第一の活動目標です。

蛇足ですが、学問のすゝめに記述された「愚民の上に苛(から)き政府あり」という一節が昔から好きでして、現在でも自身の思考の軸になっています。

機械学習を本格的に学ぶ

現在はルールベースのbotにフィルターを掛ける程度でしか活用できていませんので、特にテーブルデータの機械学習について来年からは本腰を入れて学習したいと考えております。今後長きに渡って個人でトレードを継続するとしたら学習しておきたい領域です。

これまでは収益以外の目的のすべてに目をつぶって来ましたが、今更ながら機械学習には純粋な気持ちで面白さを感じる事が出来ています。月並みですが技術もすごいですし、それを上手に扱っているみなさんもすごいです。収益化の武器にするためにという文脈ではなく、知的好奇心の赴くままに学習を継続していけたらと思います。アドカレに参加されている方の発信も楽しく読ませて頂いております。私などでは何もお返し出来るものがなくてもどかしいですが、いつも情報発信ありがとうございます。

さいごに

改めてになりますが、界隈が引き続き厳しい状況下にあるとしても私はbot開発を続けようと思います。botter界隈、騒ぎになったり荒んだりすることもあるとは思いますが面白い方も多くて好きなんですよね。bot開発と学習を継続する事で自分なりの武器がいずれ見つかると良いなと思います。


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