日記:積み重なった時間

映画『アイカツ! 10th STORY 未来へのSTARWAY』と、ライブ「アイカツ!シリーズ10th ANNIVERSARY アイカツ!ミュージックフェスタFINAL~前夜祭~」を見てきた……!! 以下は両者への言及を含みます。


自分はアイカツ!を2年目くらい(ドリームアカデミーが登場するあたり)から見ていた。アーケードゲームとアニメが並行する形で展開された2012年から、アニメの特徴的なセリフや展開が話題になっており(自分のTwitterの観測範囲において)、アーケードゲームをプレイする大人のファンを指して「アイカツおじさん」と呼ぶことがあったけれど、あれから10年近く経って、自分もちゃんとおじさんになった。

昨年の5月にバンナムフェス2ndを配信と現地で観ていて、その中にアイカツのステージがあった。それまでアニメを見たり楽曲を聴いたりすることはあったけれど、ライブを見たことはなかった。シャニマスにハマった影響でライブも少しずつ行くようになって、他のライブはどんなのものだろう?と思いはじめた時期だった。たくさんのステージを知ることができるフェスは、だからちょうどよかったのだと思う。

そのステージは衝撃だった。楽曲は好きだったので繰り返し聴いていたが、実際のステージで披露されるパフォーマンスは、音源よりも迫力が凄まじかった。ライブにはえてしてそういう側面があるとは思うけれど、アイカツのステージには「現地に足を運びたい!」と思わせる魅力が詰まっていたように思う。このときは配信で見ていたが、いつかアイカツのライブに行きたいと思った。そしてちょうどシリーズ10周年でライブの機会がいくつかあり、CDTVのライブ(Liellaやシャニマスも出演していた)や4ヶ月連続で開催されるライブのひとつに足を運んだ。それがもう最高で、2/18,19に開催されるライブの抽選にも応募したのだった。

しかし自分はずっとアイカツを追い続けてきたわけではない。最初のシリーズである「アイカツ!」は見ていたが、以降のシリーズは気になりつつも追いかけられていなかった。それでもたまにアイカツのことを思い出すことがあって、アニメソングのDJイベントをオンラインで見ていてアイカツの曲を聴いたときには嬉しかった。そのDJイベントを見たのも、友人にたまたま誘われて行ったニコニコ超会議でのDJがとてもよかったからで、それまでの自分はライブにあまり足を運んでいなかったので、そのことがなかったらいまみたいにたくさんライブに通うこともないのだと思う。紆余曲折があって、またアイカツに出会って、ライブに行くようになった。客観的に見れば別に大したことではないのかもしれないけれど、しかし自分の中ではたくさんの偶然の積み重ねの上にいまがある気がして、それがなんとなく嬉しい。



前置きが長くなったけれど、映画『アイカツ! 10th STORY 未来へのSTARWAY』の話をしたい。この映画は2012年から2016年まで放送されていた最初のシリーズ「アイカツ!」の劇場版になる。

主人公の星宮いちごたちはスターライト学園に所属しながらアイドル活動する学生である。そして学生である以上、いつかは卒業のときが訪れる。この映画では、いちごたちの卒業、そしてその後を描いている。

アイカツで描かれるアイドル活動は、ひたむきに努力するアイドルたちの姿を映し出していたが、それでも自分からはやや距離があるような感覚があった。アイドルが頑張るのと同じように自分は頑張れない。当然なのかもしれないが、アイカツで述べられる言葉に勇気を受け取りながらも、しかし自分の生活にどうやって適用させればいいのかがうまくわからないでいた。そういう意味では、スターライト学園で仲間やライバルと切磋琢磨しながら輝いていくという存在に、どこか現実感がなかったのかもしれない。

『アイカツ! 10th STORY 未来へのSTARWAY』では、卒業に際して、いちごの親友である霧矢あおいがロサンゼルスの大学に進学することを決意する。卒業と共に、いちご、あおい、そして紫吹蘭のユニット「Soleil」は活動を休止する。それぞれの道を進み、また集まって成長したステージを見せることを約束して。

卒業から時が流れて、それぞれの活動に邁進するいちごたち。大人になって鍋を囲みに集まったいちごの同期たちに、いちごの弟・らいちが「アイドルの仕事の話はしないんですね」と尋ねる。それに対して藤堂ユリカは、赤ワインによる酩酊の中で「大丈夫なのよ……仕事の話はしなくても」と答える。

いちごたちは、日本にはいないあおいのことも含めて、お互いがちゃんと頑張っていることを知っている。それがわかるから、それぞれ違う道を歩いていても頑張れる。時が流れても、あのときの時間が力をくれる。


そのとき自分は、かつてアイカツを見て力をもらったことを思い出していた。もう遠い記憶になってしまったのかもしれないけれど、自分は間違いなく過去の積み重ねの上に立っている。そして前に進める。誰しも過去と現在、そして未来の中で生きている。時が過ぎていくことをどう受容して前に進んでいくか。それに対する優しくて力強い答えが、大人になったいちごたちの活動に表れていたように思う。

学園の卒業と、その後のいちごたちを描いた本作品。「アイカツ!」を見ていたときから時が経って、それなりに大人になった者。それらの時の流れがぴったりと一致して、そして過去・現在・未来に対する視点を、懐かしんだり郷愁を抱いたりするのではなく、前に進むための力としていく在り方が示されている。だからきっと自分は大丈夫だ。かつてアイカツに力をもらった。そしてまたもらってしまった。それはきっと過去から、現在を生きていくための、そして未来が楽しみになるような、暖かい力だ。


ライブの話全然書けなかった、明日まとめて……!

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