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トレラン大会、途中中断した話

<以下、3953文字の長文になります>

先の日曜日、地元岡山で開催されているトレイルランニングの大会、
Nagi Peaks Tough Trail Challengeにボランティアスタッフとして参加してきました。
トレイルランニングとは、山を走るスポーツです。
私も、公式でのは100マイルランナーではないが(セルフチャレンジでマイル経験あり)、それなりに長距離を主体に大会に出ている変態ランナーです。

昨年、こちらの大会は完走してます。
ですので、今年はスタッフと決めていました。
実行委員長含め、岡山のトレイルランナー仲間が多くスタッフ、ランナーとして参加しています。
こちらの大会は那岐山山系で開催されます。
チャレンジコースは57㎞/累積標高4590m、ミドルコースが32㎞/累積標高2200m。チャレンジコースに関しては、このクラスの大会では結構タフなコースになります。

晴れていたらこのような稜線を見ることが出来ます。

この山、天気が悪いと強烈な風が吹きます。
下界は雨が止んで風がゆるくても、山頂からこの稜線は大荒れになります。
この稜線は標高1200~1100m付近になるのですが、山の形状的に南からの風が猛烈になります。

大会当日、スタッフ集合時間の2時頃はスタート地点がかなりの雨。風はないけど、山は荒れているだろうなという予想が出来ました。
結果からお話すると、チャレンジコースは中断して終了しミドルコースは中止となりました。

スタート直前、チャレンジコースは一部短縮の決定。
一昨年の大会は午後から天気が悪くなる予報が出たため、同じくコース短縮になったのでここは想定内でした。
朝5時、チャレンジコースの選手スタート。

チャレンジコース、スタート前の集合写真。
当日のコース状況。

私はマーシャル業務。
マーシャルとは、選手に何かあった時に対処するために救護セットを持ってコース上を動いているランニングスタッフのこと。
上記マップでいうと、私はA1声が乢スタートし、青色のライン上、その区間の東半分を往復する予定でした。
私が声が乢をスタートして登り始めてしばらくして、無線にて那岐山山頂はスタッフが恐怖を感じるほどの暴風が吹き荒れているという報告が入りました。コースカット決定した時よりもさらに風が酷く、回復するどころではなかった様子でした。
この時点でミドルコースは中止の決定で、運営は選手対応に追われていたようです。そのあとすぐに、チャレンジコースは那岐山山頂手前の新しくできた避難小屋のところで終了。そこから最短ルートのCコースを降りて山の駅まで下山し、そこからバスでスタート地点に帰ることが決定しました。

トップ選手がすでに声が乢に到着して出発した後で、次々と選手が声が乢に到着しているのが無線で分かりました。そこで説明するのかどうかという指示がまだ曖昧な感じで、少し混乱しているのがわかりました。

ここで、なぜ今回中断することになったかの話をします。
大会側が発表してますが、この状況だと低体温症になる可能性が出てきます。もし、暴風区間の稜線に入って倒れても、この山域はエスケープルートがないうえ、この状況では救助ヘリも近づけません。また、暴風雨により転倒して怪我をする可能性があること、最悪滑落する可能性もあること。
そして、山頂付近でコース案内する立哨のスタッフの安全の確保が出来ないこと。それらの要因があります。
大会側は、選手だけでなくスタッフ含め関係者全ての安全を考えないといけません。
これも苦渋の決断だったと思います。

話を戻します。
中断が決まってからも、選手はどんどん山に入ってきます。もともとの指示が山の駅で回収となっているので、声が乢での声掛けの判断が難しい。その後、声が乢でも選手回収のバスが行くことになったので、走力に自信のない人たちはそこで終了となりました。

私は、やり取りを聞きながら、色々と考えてました。
自分の持ち場区間に入るところでは正式アナウンスが出てなかったので、運営に確認と提案をすることにしました。私の区間はまだ木が多く風も強風程度。この程度なら選手もまだ大丈夫。もう一人マーシャルがいるのでそちらにこの区間にも入ってきてもらう。選手もワンウェイで終わりだし、最後尾のスイーパーも2人いる。それよりも、暴風になっている稜線に人を補充した方がいいだろうと運営に提案をして、そのまま私は持ち場より先の稜線に入ることにしました。
途中の滝山を過ぎてから更に風が強い。
ただ、私は一昨年の大会での強風や、春から秋にかけて那岐山中心にトレーニングしていて雨の中も何度も経験しているため、まあ、想定内の風。

那岐山山頂方面は更に荒れてるのが分かる。

稜線に進んでくる選手に、中断の案内と説明をしながら私はコースをピストンする。中には、やる気をなくして歩いていく人、吹っ切れてランナー同士で動画撮ったり写真取り合ったりする人、友達が来るのを待って遊びながら行く人など、それぞれでした。

せっかくなので、ガスが一瞬晴れたりしたときに見える景色を楽しんでとか、下りの時はしっかり走ってくださいとか、ここまで来て中断する選手の気持ちは十二分にわかるので、少しでも楽しんで貰えたらと声掛けは殆どの人にしたかと思います。

塵が飛んでないので、澄んだ景色が途中見れたりしました。

途中まで進んでから折り返し、滝山まで戻ったところで最終ランナーとスイーパーと合流。皆で山の駅まで行き、私の業務は終了しました。

↑ 終了場所の分岐への上りでの風。分岐まで登ったところは、私がここで経験した過去一番位の風の強さでした。前を歩くのは最終ランナーとスタッフ達です。

正直なところ、私もレインを着て活動してましたが身体は結構冷えて、もし大会をそのまま行っていて、チャレンジの選手が全員復路を帰ってきて通り過ぎるまでここで活動するのはちょっと身の危険を感じた次第です。
動ている私がそうなので、立哨は本当に危ない環境だったと思います。

下山したら、案の定下界は風もゆるやか。
下しか見てないミドルの選手は、何で中止なのかもどかしさもあったと思います。中には、天候回復を待って開始・再開をの声もあったといいます。
行政に届けている許可の関係などで、それはできないということだったそうですが、そのいう気持ちもわかります。でも、あの日の天気予報だと経験上稜線の風は収まりません。実際、私が帰宅するときに下から見たときも、まだまだガスの中でした。ガスの動きも早かったので、風が吹き荒れてたと思います。

前日の予報をみて開始前に中止すべきだったとか、決断の遅さを指摘する声もあると思います。当日、受付している夜中に暗い中スタッフが山頂まで上がり、まずコースカットの判断。回復するのを見ていたが、更に悪化するなかで今回の判断に至ったのだろうと私は考えてます。
出来ることなら選手に走ってもらいたいという運営の気持ちもあるし、かといって事故を起こすわけにもいかないしスタッフの安全も確保しなくてはいけない。今回はその思いの板挟みだったのだろうと思います。

個人的に、思うことはあります。
でも、運営が決める中でスタッフは最善を尽くすことしかできません。
ちょっと指示などが甘い気がしたので、提案はさせてもらいました。
私は選手だけでなく、こうやってボラで参加して、ボラでもマーシャルやスイーパーをする立ち位置になっている感じなのでそれなりに経験をしてるのと、私の性格ですが、色々と問題や最悪なことが起きた時のことを常に考えながら動いているので、こうした方がいいと思うときは遠慮なく提案・意見するように決めてます。
選手だけでなく、自身の安全もかかってますから。そこを遠慮していてはこのポジションはできないと個人的には考えています。

今回残念な話を一つ聞いたのは、選手の暴言。
確かに当初曖昧な指示の中で、選手もイライラしていたのだろうと思います。そんな中、声が乢で立哨に立っているスタッフに暴言を吐いた選手がいたということです。
今回の件はボランティアのスタッフに責任はなく、イライラを当てるところを間違えてます。イライラしていたからは言い訳にはなりません。選手としての資質の問題ですね。私は、こういう選手が本当に大嫌いです。
選手の人に言いたいのは、ボランティアスタッフがいるから、あなた達は大会を楽しめるんです。頭では分かっていると思いますが。
スタッフ経験がない人は、ぜひ一度大会にスタッフとして参加してみてください。どれだけスタッフが大変なのか身をもって経験してみてください。みんな選手に楽しんで貰いたいと辛いことも笑顔で乗り越えてるんです。
そうしたら、自身が選手で出た時にスタッフのありがたみをより理解できると思います。そうしたら、そんな暴言を吐くことなんてできません。
イライラしたら、それを走りにぶつけなさい。いつも以上に走りなさい。
言いたいことはそれだけですね。

今回のように途中中断は私も初めての経験でした。
色々とありましたが、スタッフとして良い経験をしたと思います。
そして、何より、事故なく無事に終わったことが良かったなと。
更にレベルアップ出来ました。
この経験・反省を踏まえ、運営会社には次回からの大会に活かしてもらえたらと思います。

那岐山は本当に良い山です。
晴れたら、山頂から360度の景色が楽しめます。稜線も本当最高です。
昨年出た徳島の友人は、一昨年の悪天候と昨年の好天の両方を経験して一言、「あの稜線が見えないと、ただの地獄のようなコースの大会」と最上級の誉め言葉を頂いた大会です。
ミドルコースはチャレンジに比べて気楽に参加出来ます。
今回に懲りず、来年多くの選手が来てくれたらいいなと思いますね。

長文・乱文、失礼しました。



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