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台風被害を受けたキャンプ場でボランティアをしてみて

令和元年台風19号は関東、信越、南東北などの地域で大きな被害をもたらしました。そして、私が暮らしている地域の藤野でも、大雨やそれに伴う土砂災害の影響で大小様々な被害が発生し、今でもいたるところにその爪痕が見られます。

そして、藤野の中でもとくに被害の規模が大きかったのが、「このまさわキャンプ場」です。

私は11月の頭から、3回にわたって土砂掻き出しのボランティアに参加しています。

直接的な被害のなかったところではどうしても時間とともに台風の記憶が薄れてしまうのは仕方のないこと。今回私の経験について記すことで、少しでも台風後の現状について知ってもらえたらと思っています。

藤野の被害について

藤野はどこかというと、JR中央線で終点の高尾駅まで行き、そこから中央本線に乗り換えて二駅のところ。お隣の上野原駅は山梨県で、東京と山梨に挟まれた神奈川県相模原市緑区の一エリアです。

新宿から70分ほどという近さ(?)ながら、とっても自然が豊かな最高の地域です!

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▲うちから5分の風景

ニュースなどで知っている人もいるかもしれませんが、台風19号の影響で中央本線の線路は2箇所土砂で塞がれ、高尾駅からお隣の相模湖駅の区間は約一週間のあいだ運休となりました。

また、中央道の相模湖インター付近でも土砂流出があり、しばらくのあいだ通行止めとなっていたため、東京方面へも山梨方面へも出ることが(不可能ではないものの)かなり難しい状況にありました。

そのほか、やはり土砂災害により複数の住宅が流され、藤野の地域から死者も出ました。

藤野内をめぐる道路はいたるところで土砂崩れがあり、今なお通行止めが解消されない場所があります。


このまさわキャンプ場の被害について

このまさわキャンプ場の被害を知ったときには言葉を失いました。

降り続ける大雨により、山から土砂という土砂が流れてキャンプ場を襲い、増水によって事務所内にあったPCはもちろん、金庫や、リースのコピー機など、ありとあらゆるものが流されてしまったといいます。

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▲キャンプ地へと入る橋が土砂で埋もれ、事務所の中を水が流れる

土砂は場所によっては50cm以上降り積もり、車が埋まったままになっています。土砂が川の流れをせき止め、行き場を失った水はキャンプ地へと流れ込みました。

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▲キャンプ地の中を流れる川

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▲本来川ではないところに川ができている

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▲建物の一階部分がほとんど土砂で埋まる

すべてのコテージが一度水に浸かり、崩壊した建物もあります。

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ボランティアの経緯

藤野には地域通貨のコミュニティがあり、藤野の付近に暮らす500名ほどの人が参加しています。詳しくは割愛しますが、メーリングリストでヘルプを呼びかけたり、要らなくなったものの案内を出したりするとすぐに反応をもらえたりする素敵なコミュニティです。

今回の台風では、その最中から注意喚起や被害状況の共有がスピーディに行われました。(「こっちの地域は停電しています」「ドコドコに避難できますよ」などなど)

その後メーリングリストからスピンアウトして台風被害支援グループがFBメッセンジャーで作られました。そのなかで、どこで誰がどんなふうに困っていて、どんな支援が必要なのかのやりとりが今でも行われています。

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行政の方で十分な支援の体制ができる前から、地元の人たちで避難場所を探したり、必要な物資を届けたり、炊き出しを行ったりといったことがボランタリーに行なわれていったのです。支援金の募集はpolcaなどを通して行なわれ、直接支援を行えないひとも間接的にサポートすることができました。

私は台風直後も仕事だったので、日中なかなか情報にキャッチアップできず、また直接的な支援活動もタイミングが合わずで、もどかしく感じていました。

そんなときに、このまさわキャンプ場の被害状況と短期集中でボランティアを行っていくという話がグループでシェアされ、土日だったら参加できる!と迷うことなく参加を決めました。

実際のボランティア

実は私はこれがはじめてのボランティアでした。

何ももわからなすぎて、とりあえずスコップが必要だと言われたときも、

「スコップって先が尖っている方がいいんですか?四角いほうがいいんですか?」

「欲を言えば両方ある方がいい。現場の状況によって、スコップも使い分ける。」

と聞いて、スコップの種類に初めて目を向けることになったり。。

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▲結局尖っているスコップをとりあえずゲットした

現場に着いてみると、上で書いたような光景が広がっているわけです。あまりにもスケールが大きくて、正直言ってこれを人の手でなんとかしようとしていることにびっくりしました。

河川については公共のものなので勝手に土砂を動かすことも許されないらしく、私たちはキャンプ場を復活させるためにまず、建物や屋根のあるところに入り込んだ土砂を外に出す、というのが主な仕事でした。

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▲河川もひどい状況だが行政の動きを待つしかない

DAY1

11月2日、最初のボランティアに行きました。この日の作業は、事務所の一室(5帖くらい?)から、泥を掻き出すこと。

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この頃はまだ川の増水もおさまっておらず、土砂は水分を含んでいるためとても重くなっていました。また、入り口が壊れてしまっているために、水をせき止めてもせき止めてもどんどん染み出してくる状態で、土砂が一向に軽くならないのが辛かった。

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この日は、午前中は私含め女性3名、午後から男女1名ずつが加わり、5名体制で必死に泥を掻きました。長めの休憩を間にはさみながら、9:30~16:00まで作業して、なんとかこのひと部屋をやり遂げました。

自然はたった一晩で、ものすごい量の土砂を運んできたのに、人間だとこの人数でヘトヘトになるまでやってもこれだけしか進まないのか!と途方に暮れる思いでした。

DAY2

その1週間後の11/9に再び訪れました。この時には川の増水もおさまり、またキャンプ場内へと流れていた川もせき止められて本来の道を流れるようになっていました。

この日のミッションは1つの炊事場から土砂を掻き出すこと。

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なぜここから人力で土砂を出さないといけないの?と思うかもしれませんが、ここも屋根があるため機械が入ることができません。そのため、ひとまず屋根のないところへ、人の手で出す、その土砂をまた機械で移動させる、という順番になります。

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今回の土砂は水を含んでいないものの、見てわかるとおり大きな石がたくさん含まれています。というかほとんど石です。

普通にスコップを入れてもすくうことができないため、鉱山で作業しそうな道具(?)でまず土砂を砕き、スコップで運ぶという作業になります。

力のない私からすると、大きな石は1つを両手で抱えるのが精一杯のため、地道にそれを運び出す必要もありました。

しかし、この日は女性4名に男性2人という充実した体制だったため、前回よりもかなりスムーズに作業を完了することができました。

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炊事場が早めに終わったため、その後はキャンプ場全体に散乱するゴミ拾いを行いました。キャンプ場のものだけでなく、山の上から土砂とともに流されてきた様々なものが散乱している状態でした。

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DAY3

少し間が開いて、11/30に3回目のボランティアに参加しました。この間にかなり前進していて、キャンプ場らしい風景を取戻しつつあるように思いました。

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▲火起こし台のところまで積もっていた土砂も綺麗に取り除かれている

しかし、最後の難関です。

初めてこの場所を見たときには、「まさかこの場所を人の手でやるの?」とマジで思いました。

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▲初日に見た様子

でも、やるんです。

ここまでくると、もう壊しちゃったほうがいいのでは??とか素人考えには思ってしまいますが、完全に建て直しの場合と修繕の場合とでは補助が異なるらしく、また建て直しをするとしても補助の分だけでは到底賄えないということなのです。

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▲大きなダメージを受けている建物

とにかくここもまずは土砂を出すことになりました。

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▲作業始めたときの様子

前回と同じで今回も大きな石がゴロッゴロ含まれている土砂です。

この日は、外からは私と夫のみの参加でした。時間が経つにつれ、ボランティアも集まりづらくなっているように思います。キャンプ場のスタッフさんたちと、4名ほどでこの場所を担当し、写真で見えている1つ目の柱の辺りまでをなんとか綺麗にしました。

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▲途中(ほとんど進んでない)

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▲終了時

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あと少しです!

でもまだ人が必要!

オーナーの話によると、クリスマスをすぎると土は凍ってガチガチになってしまうそうです。来年の営業再開を目指すためにも今年中になんとかしたい!(↑の建物だけでも)

私の推定だと、あと5人×1週間くらい稼働するとこの建物自体はなんとかなるのではと思っています。

言い忘れていましたが、実は私は筋力も体力も皆無で、腰もめちゃくちゃ悪いです。なので、2時間も作業するとほとんど腰が使い物にならなくなり、残りの時間は亀のようなスピードで腰をいたわりながら作業するのが精一杯になってしまいます。


なので、実際自分一人だとほとんど役に立たない。けどそれでも、一人でも多く人がいた方が良い状況だと思っています。人数×時間をかけた分だけ進む世界。

もし身体を動かしたい人、手伝いたいと思ってくださる人がいたらお声がけください!私は年内あと一回しか参加できなさそうですが、よろしければ力を貸してください。


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ちなみに、炊き出しあります。これも地域の中で、ごはんを作れる人が作ってくれて、運べる人が運んできてくれます。あと送迎も必要があれば地域の人がしてくれます。そういった費用も、地域で集まった寄付金のなかから賄われています。

それぞれが自分ができる形で支援をしていて、ほんと素晴らしいと思っています。

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今回の台風で被害があったのは、もちろん私たちの地域だけではありません。私は仕事柄、悲惨な状況に見舞われている農家さんのことなども耳に入ってきます。できることならそっちにも手伝いに行きたい!でも自分の身体は一つしかないし、それぞれ中途半端にやるよりは、まずは自分の身近で助けを必要としているところでコミットしようと自分なりに折り合いをつけました。

いろんなサポートの形があるし、心を寄せるだけでも意味があると思います。それぞれが、可能な気づいた範囲で支援を考えていただくきっかけになれば嬉しいです。

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