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ジュラ山脈にある動物園、パークポレール

ヨーロッパの動物園は仕切りや柵を最小限にして、動物が生き生きと過ごせるように設計されていることが多いように思う。これまでに訪れたヨーロッパの動物園は、ベルン動物園とチューリヒ動物園とパリ動物園。たった三ヶ所ではあるけれど、どの動物園の動物も、ゆったり過ごしているように感じる。少なくとも、大きな熊が狭い檻の中で右往左往しているというような光景はない。大型動物はそれに見合った広大なスペースを、建物を作ってその中に動物を閉じ込めるのではなく、動物に合わせて作っている。遠すぎて動物が見えなくたって、動物がのびのびとしていたら、それだけで訪れた価値がある。主体が人間でなくて動物である、それこそが動物園の本来あるべき姿じゃないかと。

今回訪れたパークポレールは、山そのものだった。ガイドについてみんなでグループになって敷地内を歩き、人に慣れているトナカイに触れたり、バイソンやヤクを遠目で眺めたりした。ちょうど換羽期を迎えたトナカイの、毛が抜け落ちかけて少し間抜けな感じがしていたのが愛らしかった。いつも息子と鼻チュ(毎夜の寝る前の儀式、鼻と鼻でキスをする)をしているからか、トナカイが私の鼻に鼻をコンっと当ててきて、びっくりしたけど嬉しかった。きっとこの時、トナカイと心が通じ合ったんだと思いたい。「犬、犬~」と、息子は楽しみにしていたが、シベリアンハスキーはみんな木陰でぐうぐう昼寝をしていた。そのぐうぐう寝も、リラックスしてるなあという感じでよかったです。


最後に、出入り自由の山羊エリアに足を運んだ。人気がなく、中には子どもが2人しかいなかったけれど、山羊はそこにたくさんいた。息子は近寄ってきた山羊がとても気に入ったみたいで、「一緒に行く?行く?」と聞いてきて、おかしかった。もちろん一緒には帰れないので、山羊さんのお家はここだよ、と納得してもらった。そしてその後もずっと、その山羊にべったりくっついて離れず。山羊は全身で、「迷惑だ…」と言っていたが。
息子は以前と違い、優しく動物を撫でることができて、かつコミュニケーションも取れる。動物に会うといつも、本当に目をきらきら輝かせる。純粋とはこういうことだなと思う。これからもずっと、そのきらきら目を輝かせられる心を持っていてほしい。


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