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ラスベガスで見た夢:ひるね姫とCES

1月の8日からラスベガスに行きCES2018に参加してきました。
CESとは昔から「世界最大の家電市」と言われている超巨大展示会ですが、最近では家電だけでなく車やデバイスのシェアが増えてきています。

お目当ての音声アシスタント領域の雑感は、
・Googleが初めて大きくブースを設置。市街の広告やモノレールのラッピング広告も実施し攻勢に出ていた。昨年のCESがAlexaの話題一色だったのでおそらく対抗目的。
・白物家電やテレビ、デバイスでAmazon AlexaやGoogle Assistantを搭載しているものが大きく増加。ただ搭載するだけではニュースバリューがない状態まで普及していると言える。
といったところでしょうか。

他分野も含めて中国系企業が元気な昨今ではありますが、日本企業も頑張っていて、ニュースになったトヨタのeパレットの他にもYAMAHAの自動運転バイクやSONY等、日本企業の気概もしくはプライドを感じました。

そうして日本メーカー、ものづくりへの意識が高まった中、帰りの飛行機で前から観たかった映画「ひるね姫」をたまたま観ました。
そうしたらもうめちゃめちゃにエモくなってしまいまして。
なぜかと言うと、この物語の舞台が日本の産業であったから。公開当時の宣伝ではファンタジー要素と親子の絆が主にフォーカスされていましたが、これは日本のものづくり産業のドラマです。ぜひ日曜劇場で放送しましょう。

劇中の夢は明確に日本産業の比喩で、そこに従う人、守る人、抗う人たちの織り成す物語。そこに2つの意味の"夢"を重ねて描いて素敵な映画になっております。
ただここで一番大事なのは「ひるね姫」が親子ではなく3世代の物語というところです。
2世代の夢の世界と現実の世界。
子と親とおじいちゃんの世界。
3世界の絡みを重ね、しかもシームレスに繋げることで、物語の深さと描写の美しさを強くしています。物語中違和感のあるVRヘッドマウントディスプレイの登場も、この世界の繋げ方をより強調するために起用されていると考えることができます。
それぞれの世界が重なるシーン(ネタバレ避けるため言及しませんがアレとかアレです)のゾクゾク感で、飛行機内にも関わらず泣いてしまいました。これからANAに乗る人は必ず観ましょう。

しかしこの感動と同時に、この映画を観たことでCESで見た日本企業について1つ懸念が浮かびました。それは「日本企業は会長を目指してしまっていないか?ちゃんとイクミを目指せているか?」という点です。

CESでは名だたる企業が出展しているメインエリア以外に、Sands Expoというところでベンチャー企業が大量に出展しているホールがあります。ある日本企業の方は「有象無象の」と評していたのですが、そんなことはない。どの企業も目指すものをちゃんと示せており、有象無象のよくわからないものとして注意を向けない考え方は危険でしょう。

私が日本の企業で注目したのは、
・QDレーザの網膜投影グラスウェア「RETISSA(R) Display」
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1099580.html
CESは商品するものの展示がメインだからなのか網膜投影ものはほとんどなかったのですが、こちらは今夏発売予定。網膜投影なので裸眼0.1の私が見てもくっきりと見え、投影されている違和感や眩しさも特に感じませんでした

・CEREVOの剣用スマートトイプラットフォーム「BLADEM」
https://www.youtube.com/watch?v=35MFDmp-4Hk
「さまざまな作品に登場する剣をスマート・トイとして再現できるプラットフォーム」ですってよ。これだけでご飯8杯は堅い。しかも第一弾はソードアートオンラインのエリュシデータですよ、キリトくん。スマートトイはとても熱い分野で、CEREVO製品のようなハイスペックのコアな大人向けトイもあれば先日発表されたNintendo Laboのように知育教育領域まで非常に幅広く、どんな技術も活用され得る可能性があります。

この他にも素晴らしいプロダクトはいくつもあり、それぞれが未来を目指して凌ぎを削っていました。確かに売れる・スタンダードとなる可能性(打率)は高くありません。もちろんそこで切り捨てる考えはレガシー企業的ですが、だからと言って「成功してから/芽が育ってから参入しよう」と先延ばしにするのは「ひるね姫」の会長的考え方を脱していません。

目指すべきはイクミさんです。新しい世界のビジョンを描き、それを作り出すこと。ビジョナリーであることこそに最大の価値があると感じました。

その点でも、トヨタとYAMAHAは素晴らしかったと思います。SONYもaiboを出せる強さがあります。

短期的価値に閉じず、ビジョンを描けるか。その芽を潰さず、形にできるか。
「ひるね姫」はガンダムやサマーウォーズのように、深く人々の心に残りそこから未来を目指す人が生まれて来得る名作。これをCES帰りという公開初日に勝るとも劣らないタイミングで観れたことは幸運です。これより良いタイミングはもうないので、なる早でTSUTAYAとかdTVとかに駆け込みましょう。

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