たぶん今日は夏だった
午後から空が晴れた。久しぶりの太陽に出掛けたくなって服を着替えた。
歩いていると左手に知らない上り坂を見つけた。大通りから隠れているように見えた。そそられた。行くしかないだろうと誰かが歌った。自問自答を繰り返す前に角を曲がった。坂は階段状に敷石が敷かれ、緩やかに右へカーブしていた。
一段とばしで上りはじめる。シャワシャワと蝉が賑やかになった。少し息があがる。立ち止まる。一段とばしで再開する。さらに息があがる。上から軽快な足取りでおばちゃんが降りてくる。元気でなにより、と思った