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非ラブライブ!ファンが「天王寺璃奈」の在り方に、感動したって話。


11月7日(土)に放送された、TVアニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第6話。

今ならYouTubeで、無料で見れる。

※追記:
現在、本編の無料公開期間は終了しています。
代わりに、ダンスシーン単品は視聴可能です。

未視聴の方は、まぁ見てみてくれ。


「天王寺璃奈」という最高にユニークで、とってもきゅーとな女の子に、感動させられるに違いないから。


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※念の為だが、「天王寺璃奈」は右上の「スケッチブックで顔を隠している女の子」である。






さて、まず初めに宣言しておこう。


私は「ラブライブ!」シリーズの”しっかりとした”ファンではない。

ファンの定義は難しいが、少なくとも自分ではそう認められていない。



アニメは全シリーズ見たし、映画も見た。
スクールアイドルたちの、顔と名前と特徴はだいたい分かる。

が、でも、そのくらいだ。


「スクフェス」も「スクスタ」もやってないし、グッズや楽曲にお金を落としてもないし、ライブに参加したこともない。

積極的に情報を追いかけているわけでもない。
発表から暫く経って「あ、そうなんだ。」と把握するくらいである。


ので、ここから先の文字列は、しっかり応援しているファンからすれば「的はずれだ!」と感じるかもしれない。

ともすれば失礼な文章になっていることを、最初に謝っておく。

ごめんなさい。




ただ、このくらいの距離感の人間が、それでも「天王寺璃奈」というスクールアイドルの在り方に、どうしようもなく胸打たれたのだ。



にわかの戯言と思ってくれて構わない。

どうか、非ラブライブ!ファンである私が、「天王寺璃奈」のファンとしての第一歩を踏み出すために、この情動を言語化することを許してほしい。




……では。


非ラブライブ!ファンが「天王寺璃奈」の在り方に、感動したって話。を、語らせてくれ。







1,天王寺璃奈との出会い


私が天王寺璃奈を認知したのは、ちょうど1年前になる。

ラブライブ!シリーズの熱心なファンである友人から「スクスタ」について教えてもらっていた時のことだ。


恥ずかしながら、私はここで初めて「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」の存在を知った。

μ's、Aqoursに続く3グループ目のスクールアイドルたち。



で、どんな人たちなの?


当然、尋ねるべき質問は、それしかなかった。


友人はニヤつきながら、スマホで「虹ヶ咲」のキャラ一覧を見せてくれた。





この時の衝撃を、私は今でもよく覚えている。





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※この画像だったかはうろ覚え。





「……へぇ~。やっぱ、可愛いアイドルが多」





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「え……?」




あ


「なんか顔がロボみたいな子いるけど?」






友人はしたり顔で答える。


「その子は天王寺璃奈ちゃんって言って、顔を『璃奈ちゃんボード』で隠してるんだよ~。」





はてな.



待ってくれ。理解が追いつかない。



困惑しながら、私は自分のスマホで「天王寺璃奈」を検索した。



感情を顔に出すのが苦手で、「璃奈ちゃんボード」にカオを手書きしてコミュニケーションをとっている。
スクールアイドルを通してみんなと繋がるのが夢。


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マジで顔を隠している。





……いやいや……。


いやいやいやいやいや。




天王寺璃奈……コイツ……!!!


……おもしろすぎるだろっっ!!!



あの時の私にはもう、天王寺璃奈という存在への興味が、ビリビリと湧き上がっていた。




だって「ラブライブ!」は、スクールアイドルの物語だし、可愛い女の子がいっぱい出てくるコンテンツだ。(もちろん、良さがそれだけじゃないことはにわかの私にも分かる。)


そんな世界の中で「最も重要なパーツである"顔”を隠す」という天王寺璃奈は、凄まじくチャレンジングで、おもしろい!と感じたのだ。


そして、彼女自身も、彼女を応援するファンも、相当ハードな道のりを歩いているな……と、傍観者なりに思った。




その後の友人の語りで、天王寺璃奈の表層を知った。

・ゲームの内外で、まだ一切素顔を見せていない
・但しそれはプレイヤー目線であり、同好会の他のアイドルたちには見せている。
・感情を表情に出すことが苦手。
・顔を隠したいわけではなく、表情の表現手段としてボードを使っている。
・ボードで見せる表情は割と豊か。
・「ファンの応援がいっぱいになったら、素顔を見せる。」と語っている。


なるほど、これはなかなかドラマ性を感じる。おもしろい。

最初に見た瞬間は、「ロボ好き」「ネタキャラ路線」「不思議ちゃん」みたいなキャラ属性かと思ったが、そう単純ではない。


『璃奈ちゃんボード』は、スクールアイドル・天王寺璃奈にとって、欠かせないアイデンティティなのだということが伝わってきた。




じゃあ当然気になるのは、「彼女は、いつ素顔を見せるのか?」である。

いつ、どのタイミングで「ファンの応援でいっぱいになった」と判断するのか?


当時の友人の見立てでは、「アニメの中でとか、でかい人気投票で一位になるとか、なんかそういうタイミングなんじゃないかな~。」という意見だった。
そして、もしかしたらサービス終了まではずっとあのままかもしれないね~、とも付け加えていた。



寒空の帰路につく中、あの日の私はずっと天王寺璃奈のことを考えていた。



天王寺璃奈がボードをはずし、素顔を見せてくれる瞬間」。


それはもう、長年追いかけたファンにとって、凄まじく感動的なものになるのだろうな……などと、勝手にエモに浸った。


「逆に、ボードのまま戦い続けても、唯一無二の個性が光り続けるかもしれん。」などと、無責任なことを考えたりもした。



そして。

私も、天王寺璃奈というユニークできゅーとなスクールアイドルの行く末が気になるな。」と思った。



私は衝動のまま、スクスタをDLした。


ダラダラ始めてみよっかな……。」くらいの温度感で、その日は眠りについたのだった。




2,素顔をさらした天王寺璃奈


しかし、想像していたよりもずっと早く、"その瞬間”は、やってきた。


「虹ヶ咲」を追っている方ならよくご存知だろう。



私が、天王寺璃奈を認知してから数日後、なんと彼女は、『璃奈ちゃんボード』を外した素顔を、ゲーム内で見せてしまったのだ。


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Twitterのトレンドに並ぶ「天王寺璃奈」の文字を見て、何事かと思って開いた私の目に飛び込んできたのは、ひと目で「それ」と分かる彼女の素顔だった。





正直に言うと……私はここで少し……。

いや、かなりガッカリしてしまった



彼女の物語が、唐突にひとまずの終わりを見せたような感覚。

"その瞬間に、自分自身がゲームの中で立ち会えなかったやるせなさ。

他者からの伝聞で、彼女の決意の表情を見てしまった罪悪感。


そんな、残念な気持ちが、私の中にぐるぐると渦巻いたのだ。



「これまで一緒にいなかったヤツが何を言う!」

「ちゃんとプレイもしてないヤツが何を言う!」


そう思ってくれて構わない。

私も、逆の立場ならそう思うかもしれない。



だけれど、「素顔を隠し、表情をボードで表す」天王寺璃奈をおもしろい!と思った気持ちも、「いつかファンの応援でいっぱいになった時にボードを外す」と宣言した天王寺璃奈の"その瞬間”に期待していた気持ちも。


彼女に抱いていた興味深さの一切が、素顔を見た瞬間に音を立てて崩れていった。


少なくとも、ファンでもない距離感の私が、彼女への興味を失うのに十分な事件だったのだ。


私はついぞ、彼女の物語に関わらない、傍観者の立ち位置で終わってしまったと、そう感じた。




その日、私は、スクスタをアンインストールした。






で、その後「虹ヶ咲」の情報はほとんど追っていなかった。

アニメ化が決まったことを知り、「あなたちゃん」の名前を公募で決める、というニュースを横目で見たくらいだった。


この時、例の友人に「なんて名前で応募したの?」と尋ねると、「自分の名前で呼んでほしいからそれにした~!」と答えられて、コイツほんとやべーなと思った。

この友人の名前は採用されていないので、安心してほしい。




3,TVアニメでの天王寺璃奈


そしてこの秋、いよいよTVアニメが始まった。

当然、天王寺璃奈も登場する。


最初はちょっと引け目を感じて、なかなか見ようと思えなかった。

のだが、友人からの「おもしろいよ!(圧)」というアツいオススメもあり、「まぁ今までも見てるし」くらいの気持ちで、なんとなく見始めた。




なるほど……これは丁寧。よくできてる。

第1話「はじまりのトキメキ」を見た私のセリフである。つまらん意地を張ってないでさっさと見れば良いのだ。



今までの「ラブライブ!」シリーズとの違いがよく伝わってくる。

「あなたちゃん」こと「高咲侑」の存在もそうだし、「ラブライブなんて出なくて良い!」というのも象徴的なセリフだろう。

1話で上原歩夢が「私の夢を、一緒に見てくれる?」と語り、「アイドルになりたい人間が、アイドルではない側の人間を誘う」という構図も、とても新鮮だった。




さて、肝心の天王寺璃奈は……。




なんと普通に素顔だった。1話から。



や、まぁ設定的には正しいのだろうが……。

ゲームの時点で、メンバーの前では素顔だったみたいだし。

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……うん、なんかこう。


結局、こういう売り出し方になってしまうのか、と言いますか。


天王寺璃奈も「無表情でも、素顔の方がかわいい!」みたいな、そんなよくある個性に落とし込まれてしまうのではないか。


そんな疑念と悲しみを、私は抱えていた。



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書店で、G'sマガジンの表紙を見て、ため息を吐く。


彼女のアイデンティティたる『璃奈ちゃんボード』は、どこへいってしまったのだろうか。

なんとなく、そんなもやもやした気持ちだった。(何様であろうか。)




でも、それでも。

この質の良いアニメなら、きっと……という淡い期待を抱きながら、見続けていた。






結果は、ご存知の通り。



そんな心配は杞憂だったと、アニメ6話でわからされる。






4,そして6話、「りなりー回」


満を持しての第6話。

ついに来たか、この時が。




そもそも第5話ラスト、編集された動画のエマ・ヴェルデの笑顔を見ながら、何か思うことがある様子の天王寺璃奈。

そして予告パートでの「次回、笑顔のカタチ(⸝⸝>▿<⸝⸝)」の声が「ボードを付けたくぐもりの声」だった時点で、私は「おや……?」となっていた。



そうしてやってきた第6話。



結論から言おう。「素晴らしかった」と。




この6話の良さは、もうさんざん"ファン”によって語り尽くされた後だと思うけど。

それでも少し、私の言葉で話させてほしい。






のっけから、自身の無表情さを変えたい、人と繋がりたい、と思う天王寺璃奈の描写が続く。

しかし、その一歩が踏み出せない。変われない。


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窓に映る自分の顔に、指で表情を作るこの演出

見ていて、とても胸を打たれる。しかしきちんと、後の伏線にもなっている。


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宮下愛さんにチケットを差し出すときもこの表情……というか、表情がホントに無い

この表情の変わらなさは徹底されていて、周りのスクールアイドルたちがコロコロと表情を変えるので、さらに異質さが際立つ。


しかし天王寺璃奈は、この無表情さへのコンプレックスを乗り越え、憧れたスクールアイドルとして輝くために、果敢に「ソロライブ」に挑戦する。

新生「虹ヶ咲」誕生後初の、「ソロライブ」へのチャレンジという大役を、彼女が担うのである。


「今回は、できないからやらないは、無しだから。」


グッと来る。




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だが、どれだけ努力しても窓に映るのは、忌避していた自分の無表情。


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変われたと思ったのに、変われてなかった。


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この辛くて悲しいはずの瞬間にも、彼女の表情がほとんど変わらないのがまた切ない。




そして引きこもってしまう天王寺璃奈。

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どこぞのスネークのようなギャグっぽい見た目。

だが、カーテンまで閉め切り、「あらゆる表情を映すもの」から自分を遮断したいという気持ちが見て取れる。笑えない。



そんな彼女の元にやってくるのは、スクールアイドル同好会の仲間たち。


気持ちを教えてくれてありがとうと語り、

璃奈ちゃんのライブが見たいと伝え、

できないことがあっても良い、他にできることがたくさんあると話し、

段ボールごと抱きしめ

ダメなところも武器に変えるのが、一人前のアイドルだと励ます。



そして優木せつ菜の「こういうお話ができたの初めてですね。」という発言で、天王寺璃奈自身が、「無表情でさえなければ、人と繋がれること」に気付き、自らカーテンを開く……。

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この、天王寺璃奈が今の自分を認め、今できることは何かを考えつくまでのプロセスがとても丁寧だった。


変わりたいという意志は尊重して、誰もがそれを応援する。

今はまだできなくても、できることでカバーすれば良い。

できない彼女自身をそのまま認めて抱きしめてやる。


そして、誰かに気持ちを話せたことが、天王寺璃奈にとっての「繋がり」であり、「感情の表現」になる。


最後には、見る度に暗い気持ちにさせられていた窓に映る自分」を見て、「"あの”解決方法」に辿り着く……。





なるほど……これは丁寧。よくできてる。


1話を見終えた時と同じセリフ。

だが、私はあの時よりももっとずっと、このアニメに、天王寺璃奈に強い興味を引かれていた。



ここから天王寺璃奈は、私にどんなライブを見せてくれるのか。

私はそれを見て、どう感じるのか。


もう不安は無い。

あるのは、期待だけだった。







5,「天王寺璃奈」と『璃奈ちゃんボード』のライブ


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曲が鳴り出す前に、「床に映った"表情”」を見て、微笑む天王寺璃奈。

「窓に映った"無表情”」を見て、自分は変われないと思った彼女が選んだのは『璃奈ちゃんボード』で、自分の気持ちを表現すること



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そして、天王寺璃奈は歌い、踊りだす。




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このソロライブは、本当にすごかった。



だって、ボードをつけた状態で、より多彩な表情を魅せて、よりかわいく見えたのだ。

ライブが始まり、歌い出した後に「かわいい!」というコメントが、つぶやきが飛び交ったのを見て、それを実感した。


記号的な表情を映す『璃奈ちゃんボード』で、生身の表情を超えるかわいさの表現が見られるとは、思っていなかった。



天王寺璃奈というスクールアイドルの、真の魅力にやっと気づけた気がする。



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古今東西の覆面キャラは、大抵「隠したいこと」があるから、それを被っているものだったと思う。


彼女にとって"それ”は、「なにかを隠すもの」ではなく「より豊かに表現するもの」として、

顔を隠すもの」ではなく、「もう一つの顔を見せるもの」として、

そんな欠かせないアイデンティティとして、『璃奈ちゃんボード』を考えついたのだ。


私が、初めて彼女を見た時に感じた驚きと、おもしろさが、このステージにはあった。



彼女は変わらず、そして変わった。


そんな「天王寺璃奈」の在り方に、私は心から、感動した。







そして、ここだ。

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『璃奈ちゃんボード』の下で、天王寺璃奈が見せる表情。


彼女は自分でも気付かないうちに、とても豊かな表情ができているのかもしれない。

でも、それは私の想像でしかなく。

ボードの下の表情は、誰にも、天王寺璃奈自身ですら分からない。


いつかそれが分かるのは、彼女が多くのファンと繋がり、『璃奈ちゃんボード』をはずしてライブに臨む時だ。


彼女にとって「素顔」とは、『璃奈ちゃんボード』をつけていない顔ではなく心のまま、ありのままの気持ちをさらけ出している時の顔、なのかもしれない。



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あの時、彼女のビジュアルを初めて見た時以上の「興味」が、全身に湧き立つのを感じた。




私はこの時、「天王寺璃奈のファン」になったのだ。





6,むすびに


以上、非ラブライブ!ファンの、とりとめない吐き出しでした。

勝手に天王寺璃奈に興味を持ち、勝手に失って、勝手に取り戻しただけの、身勝手な自分語りである。


ここまでお付き合いいただいた方、ありがとうございます。



アニメも折返し。今後の展開が楽しみだ。

目下のところ気になっているのは、「アニメ版あなたちゃん」こと、「高咲侑」の動向である。

「アイドルを選ばなかった女の子」としてのドラマを描いてくれることを、ほんのり期待している。



ちなみに、天王寺璃奈の誕生日も、11月13日(金)と目前に迫っている。

おめでとう!!!



とりあえず、彼女はどんなものが好きなのか、スクスタはどう進めていけば良いのか。

友人に雑に訊いてみることにしよう。



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非ラブライブ!ファンでありながら、天王寺璃奈のファンである人間として。


まずは少しずつ、彼女のことを知っていこうと思う。


もう一度抱いたこの興味を、絶やさぬように。

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