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やっぱり藤井-豊島将棋はおもしろい!

2024年4月10日、11日、第82期名人戦七番勝負の第1局がホテル椿山荘東京で指されました。

名人初防衛を目指す藤井聡太名人に挑戦するのは、豊島将之九段。

これまでにも何度もタイトルを争う舞台で戦ってきたお二人の対局は、ファンの期待を上回る大熱戦でした。


豊島九段が2手目に△3四歩と突いてから力戦調の将棋となり、未知の局面のねじりあいが果てしなく続きます。

お互い、持ち時間のうち8時間前後を費やしても、形勢はまだ互角。
ひたすら難解な将棋です。


一進一退の攻防から、やがて豊島九段が少しずつリードを広げるも、△4四香の一手で互角に戻り、解説の佐藤康光九段も驚く▲3七桂から一気に流れを引き寄せます。

そして、豊島九段の一手を機に、藤井名人80%-豊島九段20%辺りを示していた将棋AIが一気に藤井勝ち99%となりました。

豊島九段が悪手を指したわけではないにもかかわらず。


程なく投了を告げた豊島九段。

主催者インタビューが始まるまでの数分間、誰も言葉を発しません。
重く、強い余韻がその場を満たしているようでした。

一夜明け、「豊島九段のミスで逆転」のような報道が見られますが、私はそうは思いません。


近年、藤井名人は、「おもしろい将棋を指したい」と話されます。

難しい局面をとことん考えたいと。

お二人の名局と言えば、藤井三冠(当時)が豊島竜王(当時)に挑戦した、第34期竜王戦七番勝負の第4局(2021年)が思い起こされます。

両者が長考に長考を重ね、それでも「もっと考えたかった」と言う究極の一局です。

昨年2023年の第71期王座戦挑戦者決定戦も、形勢が入れ替わり続ける、手に汗握る将棋でした。

ここに挙げた2局はいずれも将棋大賞の名局賞を受賞しています。

2024年度が始まったばかりですが、本局も、きっとその候補に上がることでしょう。


やっぱり藤井-豊島将棋はおもしろい!

声高らかに、そう言いたいと思います。



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