詩:まえぶれ

窓はじっとり汗ばみ
空はくたびれている
丸い草の食われた穴が
命の穴が
すぅっと枯れてきた
すぅっと 空が枯れてくる

窓はじっとり汗ばみ
空はすっかり枯れている
涙は昇らず
灰ばかり
灰ばかりが昇っていく
部屋のあかりも霞んでいる

気が付けば
隣の国は戦中
ずぅっと昔から戦中
来年は新しい戦前になると、そんな年になると、テレビで誰かが言ってたと、
さっきチラリと聞いた
私は来年、戦前なのか、
口喧嘩もしたくない私が

熱狂が殻を破って芽を出している
静かな年の瀬に、そんな、
そんな息吹を思わねばならんのか

窓はじっとり汗ばみ
中が見えないんです
昇る灰に囲まれて
空が萎んでいくのに
窓に貼り付く露が邪魔で
部屋の灯りが見えないんです

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