バカ日記『プリッと病院の雪詰まり』

2022.10.26(水) 天気 多分晴れ

『プリッと病院の雪詰まり』

グッバイ
と聞こえ
顔を上げた
西の訛りがあったから。
西といっても日本の土の真ん中よりの

いやほんまプリップリですねえ
と言う
眼鏡をかけた短髪は
額に少し汗をかいていた
ああ、エビの話か
安堵
うまい、か
グッバイが聞こえるはずがない、ここでは
小さいから
15人程度の
小さい病院だから(エビチリもしばらく
食べてない

待合室は
淡々としている
淡々と
スマホ、本、ゲーム、虚空
を各々
淡々と見ている
各々の待合室でテレビ、の虚空

ただ
各々はおのおのしているが
各々をつなぐ暗い地下水脈では
プリップリですねえの
その瞬間
エビが、はねたんだろうな
殻付きではない
むき身で
プリッ
視界のすみのほうで
むき身のエビが
はねただろう
おのおのしてるところすみませんねと
プリッ
地下水脈のはじっこで
見えるか見えないかのギリギリのラインを
プリッ

いた
私のはじっこにも
プリッ

地下水脈で今
はねた!
むき身です
むき身です
感動的な仕上がりです
プリッ
むき身です

また
グッバイと聞こえた
おそらくエビを頬張りながら
うまい、と

プリッ
調子はいかがですか?
ええ、割と安定してると思います
頭の中で
何度かシミュレーションをした(しゅみれー
しょん?しむれーそん?しむらうしろ?
グッバイと聞こえた

プリッ
意欲も出てきましたか?
プリッ
そうですね、長時間、というか、持
続はしないですけど、それなりに意欲、は
出て、きたと思います、ハイ、そうですね、ハイ

ある人の頭の中では

がつけられた
むき身

タルタルソースが添えてあるだろう

はサクッ
としていて、うまい、安堵

私の地下水脈にも
むき身に衣(どこか慣用句びて?
が少し
流れこんでくる

が天ぷら?
はじめは塩でお召し上がりください
しゃらくさいから

を、むいてむき身

プリッ
食欲はどうですか?
プリッ
そうですね、いや、あの、いや、
だめだ私が
むき身になるのはいけない
むき身になっても
ろくなことはない

ある人の頭の中では
むき身に衣(むき身に衣が付いたもの。また
その様子。)

タルタルではないソース
キャベツが添えられ
はテーブルの上や床に捨てられ気が向いたら
床からすくって食べるんだろう、
皿の上にキャベツだったかもしれないカピカ
ピは昨日の客のものかもしれないカピカピ

ろくなことはない

患者らをつなぐ地下水脈では
エビが元気に
はねたんだろう
プリッ

むき身で
暗色の水
と同じ色の
暗色の鎧
を着たエビも今や鮮烈な紅白紋様
そして丁寧にむき身

待合室では
スマホ、本、ゲーム、虚空
を各々が
淡々と見ている
おのおのとした
地下水脈の淡水部のはじ
ではエビ
がはねるが
各々は
ギリギリのところで淡々としている

淡々のたんて
淡水は川?沼?
じゃあエビとちゃうやんザリガニやん(側溝、
釣り糸についたニョロニョロ、のそれはむき身?あ、西の訛り

でしたら
本来は
エビ(海の

にふさわしいのは
深々としているが正しいです
各々しんしんと
待合室
しんしんととは
雪が降る様子を表すオノマトペです(受付の
乱透明のカーテン、テレビのガラス窓から
見える待合室
の、
しんしんと雪が降る様子

プリッ
意欲も出てきましたか?
いわゆるパブロフのエビ(しむらしおん、は
西の訛り、日本の外の
プリッ
あの、ですねまあ、そうですね、ある程、
度は、あ、ハイ
しかし出さん。
むき身はいかん。
むき身になっても
ろくなことはない

むき身になっても
そこからは心療内科の領域ではないので
知らぬ存ぜぬの
むき身損です、よ
ただただ少し傷付き
半日すり潰すのだ

少し傷付けば
料理長は
見習いのむき身人を叱咤し
しょうがねえな、すっておけという
すったむき身は
すり身
すり身なら多少は公共だろうか?モザイクは
すり身

待合室のしんしんに
ときどき
空気清浄機の音、清潔の音
ときどき
体温は、正常です
タイオンハ、セイジョデス
セイジョ
聖女?
は男性でしたが、それは問題ではない

聖女は
プリッ
としない
したいかもしれぬがしない
ゆえに聖女なのだと
歯を食いしばり
自分に言い聞かせ
何度も聞かされ何度も聞こえている
そうだろう
この聖女の母が
まさしく理想の聖女だったろう

"あんた、むき身やんか、鎧を着なさいそれ、
あるやんその暗色のそれ、今日は冷えるゆう
てたで、ひやまさん、外、だから着てきや、
鎧、(略)"『聖女の嗜み身だしなみ』より

聖女の朝は早い(ナレーターは田口トモロヲに要請すること)
聖女の理想は今日も高い
遠く離れた母を思い…

"なんや恥ずいことあるかいな、となりのにい
やんかて喜んで着てはるやん、鎧、お母ちゃ
んもな、あたらしの買おかな、思てん、虎柄
の、ブラックタイガー!いうてな、おもろい
やろ、暗色の(略)"『続 聖女の嗜み身だし
なみ』

(再現ドラマ、母聖女にフジヤマカンビ、鎧
の重さ30kgに耐えられること、体作りから
要請

昼は
小さいエビの入った
カップラーメンを食べました
カブトムシの幼虫のような
小さいエビの入った
カップラーメンを食べました(嘘です本当は
きつねうどんを食べました
この程度のエビでは残念ながら
プリッ
とはしないようです(当然です、油揚げです
からサクッともしません、お湯入れました
し、入れましたっけ?)

ここは
エビがはねる内科です

昼は
きつねうどんを食べました
けつねうろん、聖Wの母訛り
待合室では
しんしんと
雪が積もる
しんしんと
頭まで積もる
エビはそれで
プリッ
と活きを保つんだろう
患者の額はだから白くて0℃です
体温は正常(セイジョ)です
暗色の鎧は
空気清浄機の清潔です
正常です

へえこれがうわさの待合室でっか
イヤお見ッ事
うっっま!
イヤほんま新鮮で、ん、プリップリですわ(西
の訛り
おや、この眼鏡、グッバイと言わなかった
額に少し汗をかいていた

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