詩:熱中症(気をつけて)

昼があおく
いちばん遠くなるところに
そんなところに
行くことがあった
照りと返しの
群生地(こここそが砂丘だった…)
肌や、壁や
自動車や、革靴が
かすかに浮いて
少しずつ
浮いて剥がれてしているような
それは鉱物でもあるような
繊維でもあるような
それが剥がれたことを
知ったそばから忘れているような
細かいほこり粒が
行く手をふさいでいるのだ
今日のような
あおくてあつい日に
道を
いろいろな速度や色が
一斉にふさいでゆく
いろいろな重さや時間が
ひかりでも種でもあり
喪失のなかへ
喪失をはめ替えていくような
(砂、を撚って糸を作るのかい?)
たとえば
そんなところから
帰ることがあった
いやらしく柔らかい氷の枕と
はめ替えるだけの
昼のあおさが


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いやあ、毎日暑いですから皆さま熱中症にはくれぐれもお気をつけ下さい。

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