詩:スーパー

スーパー
が海になっている
それは
マーケットなのか、ただの"超"なのか
分からないままのスーパーで
私はその海に来てしまった

漁網はあらゆる海鮮をつかみ
地面に引き上げる
選別されない海鮮が、陳列されないまま
さあ、さあ、そこのぼんやりしているあなた
そこのあなた
さあ、見ろ、買え、と言う

見ると
人参や牛乳、ティッシュやひしゃげたプラスチック、も網から飛び出してくる
さあ、さあ、そこのあなた
どれが良い物ですか、
という私の問いは、中空に漂ったまま藻屑になっていた

極彩の多いこと、目は細かい棘に疲れた
毒は、当たるも八卦、当たらぬはつまらぬ、
ですよ、あなた、そこのあなた
目利き屋の看板、に合掌した人々が集まっている
こちらに海を作ろう、と塩と水を調合している者がいる

私は今日もスーパーで
寂しく小さな魚になって、いくつか卵を産んでいる

そこのあなた、さあ
毒にならねば血は起きぬ、ですよ
みずから毒にならねば、その降参し切った血は起きぬ
さあ、そこの私、そこのぼんやりとした私、
私はたんじゅんに縋りますか、どうしますか

白旗を掲げスーパーに向かう
正月模様の店のなか
白い舞茸が、たくさんの旗を振っているようで
少しだけ嬉しかった

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