詩:その明るみを待つ

ぼくらのなかにも
一億人のぼくらがいるだろう
一億才のぼくらもいるだろう
そんなばかな
でも
そんなばかな
ほんの少しの思いつきで
ぼくらの幾億の砂を芽吹くかもしれない
そしてぼくらは
知らない言葉と身振りと歌で
幾億の晩を明かすかもしれない

大きな岩が欠け
ひと粒の砂がほどけるときの
幾億の小さな明るみの前では
ぼくらは突然かなしくもなる
突然忘れっぽくもなる
幾億と合わせた声をうれしくもなる
だから忘れてもいい
その明るみはいつでもぼくらを
待っていてくれるだろうから

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