五行詩 五篇

「どうぶつ」
しんせんなどうぶつが
一番せつない窓をなでている
正直さをまだなくせないでいる
しんせんなどうぶつのせつない
夢のような窓に指をあてがう

「焼けつく」
焼きついたミミズをはがす
まっ濃いそのかげは
さかさむきにも僕を焼きつけていた
殻ごとふみ潰すことはできる
すぼらし、の通り道にいた

「いし」
川辺につみあげたきれいな石
あなたの好きなあなたを
乗っ取りかえす小さな石だ
川のかおいろは鱗みたいで鎖みたいで
騙されてもいいほどきれいな光だ

「レタス」
雨の根っこあたりには
ミンチになった子どもたちが
歯ァだけでふざけている
ちぎるあおむし這うレタス
レタスレタスレタスああ、葉!

「あっさく」
圧搾ローラーにまきこまれ
たいらになった文字化け屋敷
うらめしいようななまぬるいような
駅前のさびしい駐輪場のうえに
過々充電今にもさけそうな雲


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