『エルム街の悪夢』②_100日後にZINEをつくる、16日目
『エルム街の悪夢』後半。
後半はナンシーの母に多くスポットが当たる。
(ちなみに、自宅において警察官の父親は常に不在。父として娘想いであるが、妻からは夫として信頼されている様子はない。)
フレディの正体は?
娘が悪夢を怖がり眠れなくなることに心を痛めて、徐々にタバコと酒が手放せなくなっていく母。
フレディの正体がフレッド・クルーガーであると知り、クルーガーについて娘に話す。
「クルーガーは、近所の子供を20人殺した殺人鬼よ」
「捕まったけれど、予期せぬ結末に」
「でも捜査令状に署名するのを忘れて彼は釈放」
えぇぇぇえええぇぇ?そんなんアリですか!
せめて「警察官を殺して逃亡」とかにすればよかったのでは?
その後、近所の人たちみんなでクルーガーをボイラー室ごと焼いたことを告白する母。夫が警察官なのに、軽い感じで殺人を告白する。
悪を前にした正義は強い。
丸7日間眠っていないナンシーは、ついにフレディと対決することを決意する。
緊迫した空気の中、フレディからの電話をとるナンシー。
「お前のボーイフレンドだ」
とつぜん受話器の下がフレディのあごに変身し、ナンシーの唇をぺろぺろぺろぺろ・・・
またやりやがったな!!
その後、ナンシーとの約束を守れず眠りこけたグレンはベッドの中に引きずり込まれ死亡。
ベッドの穴から血が噴き出す恐怖シーンのはずなのに、その血の量が3トンくらいあって、なんかもう血がどうのとか残酷とかじゃなく、水道管大爆発みたいで、感情が恐怖に追いつかない。
そしてやっぱり男子はフレディに追いかけてもらえない。
グレンの死亡を知って、戦う決意を固めるナンシー。
ホームアローンばりに自宅に罠を仕掛ける。
ドアをあけたら振り落ちるハンマーとか、爆発ランプとか、胸躍る品々。
小脇に酒瓶をかかえ、娘を応援し、励ます母。
さすがアメリカ、自立支援スキルが高い。
最後の戦いでナンシー大活躍
布団に入り目をつむるナンシー。
おなじみのシンセサイザーのピョンピョン音が鳴りだす中、クルーガーが子供を殺すために使っていたボイラー室へ迷い込むナンシー。
ティナの十字架やグレンのヘッドホンなど、殺された友人の持ち物を発見し怒りがこみあがる。
奴があらわれる!
ナンシーの部屋におびきよせられ、コーヒーポットを頭に叩きつけられて痛がるフレディ。
その隙にドアノブを外からワイヤーで巻き付け閉じ込めるナンシー。
ロッド殺害の時に使った、留置所の柵を通り抜けるスキルをすっかり忘れてドアノブをガチャガチャするうっかりさん!
がんばってドアをこじ開けたら、仕掛け発動でハンマーパンチを腹に喰らって階段落下するフレディ。
ゴロゴロ転がって痛そう。
怒った彼は「八つ裂きだぞ」と宣言。
罠に足がひっかかり「ピョイン」という効果音と共にワイヤーが抜ける!ランプ爆弾爆発!バンザイの形で倒れるフレディ!
とどめにガソリン?酒?をかけて火をつけるナンシー。
火だるまになった瞬間に2倍くらい太るフレディ。
怪物だって防火服大事!
彼はマシュマロマンみたくなってしまったので、ドア開けて押されただけでまた階段を転がり落ちる。
娘は父に助けを求め、ふたりで母の部屋へ行くと火だるまフレディがマネキン風の母を襲っている。上からシーツで包み、消火する父。
シーツをめくると、焦げた母が手を振りながらベッドへ沈んでいくのだった。
「ママ!ママ!!」と叫ぶ娘と無言の父。
「私は大丈夫だから1階へ行って」と言われ部屋を出る父。
そして現れるスリムになったフレディにナンシーは言う。
ナンシーの背に襲いかかろうとするも、宇宙っぽい効果音と共にプラズマ風になり消えていくフレディ。
ドアを開けると天気のいい朝で、死んだはずの友人たちが車で迎えに来る。
オープンカーの屋根が勝手に閉じる。赤と緑のストライプの屋根。
窓も閉まっていく中で「ママ!」と叫ぶも、にこにこ娘に手を振る母。
見送る母の背後のドアの小窓を突き破った鉤爪は、母を悪夢に引きずり込む。
END
いちばん怖いのはだれだ
こどもの頃の記憶は本当にあてにならないって、映画を観て実感。
だってこの映画で怖いのは、フレディじゃない。
妻に対して感情の無い父。
殺人鬼の鉤爪を地下室に隠し持ってた母。
隣人の娘をイカレてると嫌うグレンの父。
娘の悪夢より切れたパジャマに怒ったティナの母。
司法が裁かなければ自分たちで処刑する近所の人々。
エルム街の大人たちはみんなどこか奇妙。
「エルム街」そのものが悪夢の街なんじゃないか。
「欲望、恐怖、悲しみ、復讐、正義」こそがフレディという怪物を作り出したエルム街の正体だ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?