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遠回りするわたし_100日後にZINEをつくる、38日目

— お母様のように遠回りせずにすむように、今頑張ったほうがいいですよ

長女の塾の面談にて、塾長の発言に思わず笑う。
そうか、頭のいい方々の目に"40目前で大学に在籍しているわたし"は『遠回りしてる人』として映るのか。


やりたいこととすべきことの折り合いをつけるのはむずかしい

中2の娘は学校生活を謳歌したり、読んだり書いたり観たりしたい気持ちと、自分の思い描く高校生活を送るために希望校へ進学したい気持ちの狭間で揺れるという、とても学生らしい生活を送っている。
「今好きなことをするか、未来のために努力するか」は多くの人が抱えるジレンマ。

個人的には10代の頃に夢中になったものは人生の背骨になると思っているので、それが趣味でも勉強でも部活でもなんでもいいし、そこに上下はない。
生活を気にせず何かに打ち込めるのは学生の特権だ。

しかし、今好きなことだけを謳歌しながら望む未来も手に入れたいとなると、どこかで何かしらの折り合いをつけなければいけない。

希望する高校へ進学したいのなら、定期テストのための勉強ではなくて、受験に向けて自宅で学習する習慣をつくらなければいけないし、「自分で学ぶ力」がなければどこへ進学しても意味がない。

わたしは親として、彼女が「学び方を学ぶ」ために塾へ費用を払っている。

塾に成績をあげてほしくて費用を払っているんじゃない

手腕のある塾を選んだので、言われるがままに時間とお金をつぎ込めば確かに彼女の望む進学が可能だろう。
しかし彼女の手をひっぱり上げたり、下からお尻を押し上げる気は毛頭ない。

環境をお膳立てしてもらって、それを自分の実力と勘違いするような人間にだけは育ってほしくない。

そんなわけで、塾の面談では「子どもの成績を上げることを目的としている塾」と「子どもの偏差値を上げてもらう気はないわたし」の奇妙な対立ムーヴが発生する。

面談の流れで、毎日自宅で勉強する時間を作りましょうという塾長からの提案に乗り気でない娘。

現在通信大学在学中のわたしが「わたしからすれば家事も仕事も気にせずに毎日勉強できる時間を確保できるなんてうらやましいよ」と言ったことを受けての冒頭の言葉。

きつねとたぬきの化かし合い

「あ、お母様に対して遠回りという言い方はよくなかったですね」

「いえいえ、実際学生の頃に勉強しておけばよかったと思ってますよ」

おほほほほ
あはははは

「娘さんの自主的な学習習慣を身につけてほしいというお母様の意見はごもっともだと思いますので、本来は冬期講習を受けないという選択はお断りしているのですが、今回は特別に<講習免除>の対応をとらせていただきますね。」

「そうだったんですね?お気遣いありがとうございます。お金を払わないと学べない子になるのであれば、私はいつ辞めても構わないと思っていますので。」

おほほほほ
あはははは


面談後、娘が言う。

リアルで「きつねとたぬきの化かし合い」を見たよ。
2人とも笑いながらバチバチやってて怖いし!
もうママは塾の面談にこないで!

根に持たされることこそ屈辱


『遠回りしてる』

たしかにその通り。
同級生が受験勉強に励んでいた日々に今の自分で戻れるなら、よろこんで学業に励む模範的な学生として過ごす。

でもさ、なんで頭のいい人は自分が正しい道のり歩んできたと思えるんだろう。
「地元のトップ校に進学しました」というあなたが、車で山頂にたどり着いて上からの眺めを楽しんでいる間に、わたしはちぎれそうなロープ1本、からだに巻きつけて今も必死に登ってる。

わたしは車の快適さをしらないけど、
あなたは山の怖さをしらない。

山のダニは宝石だった


一夜明けてnoteに記録するため娘に尋ねる。

「昨日のさ、塾長の『遠回りしてる人』発言、正確になんて言ってたっけ?」

「もしかして、根に持ってんの?」

「・・・根に持つ/持たないじゃなくてさ、あれは大人として完全に失礼な物言いだよね。」

「ふーん、根に持ってんの?」

・・・根に持つ?

うーむ、「根に持ってるよ」とも「根に持ってないよ」とも言いたくない、この気持ちはどこからやってきたんだろう。
とモヤモヤしながら今日も、落ちないことだけで精一杯の山を登る。

しかしまあ、さすがは意地張ってロッククライミングを選んだわたしのムスメ、腹立たしいことこの上ない。

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