推し同僚ぴが辞めた日。① これまでの経緯

大好きな同僚ぴが、ついに辞めた。
まっしろだ。

彼とは、在宅勤務の頃、出逢った。
一緒に働き始めてからも暫く、「実物」に会ったことはなかった。
はじめて実物に出逢ったときの感想
「えっ 顔がいい」。

そこから全てが狂い始めた。

在宅の間はまだ良かった。
たまに、zoomで雑談する程度だった。
そこまでが、ただの同僚として見られた最後だったと思う。

流行り病収束の時勢、「出社セヨ」の命。
毎日顔を合わせることとなり、わたしの僅かばかりの理性が消し飛ぶのに時間はそうかからなかった。

顔がいい。顔がいい。
毎日みても、顔がいい。
 

その上、彼の理知的で論理的な会話は、わたしの周りにない世界で。
顔がいい生き物が、楽しそうに話しかけてくれるのが嬉しくて、完全に舞い上がっていた。

わたしは彼を、崇め奉り、陶酔し、
心から「推し」た。

同僚への態度ではないのは重々承知である。
このあたりで既に相当狂っている。

しかし早晩、この関係は崩壊した。
些細なことを発端に、大喧嘩に至る。
殆どすべてのコミュニケーションを断たれた。

修復も赦されず、拒否と拒絶の日々。
それでも、毎日顔を合わせる。
突然の態度の変化に、持病が爆発する。

嫌われたくない。嫌いにならないで。
好きじゃなくていいから、無視しないで。

過度の「執着」「愛着」は、病気だ。

縋るようにそのことを学び、自省した。
その手の文献を読み漁った。
読めば読むほど解った気になり、
どうしていいか、なにも解らなかった。

何度も言うが、「同僚」である。
仕事をしていく上で、双方の態度に問題がありすぎる。周りも気を遣う。贖罪の念から、過度の業務量を科す。

しかし、彼がツレない態度をとればとる程、
わたしの病気は悪化してゆく。

メンタルは不安定を極め、
突然パニックを起こすことも増え、
業務に支障をきたす頻度は爆上りしていた。

この状況に耐えられない。
人格崩壊を免れない。
もう、がまんするのやめよう。

そう思った矢先。

「その日」はやってきた。

続く

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