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暑い季節に出会ったのは

【短編】 電車小説
「暑い季節に出会ったのは」

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目の奥がじんわり熱く

身体は石のように重い

座席に腰かけ微動だにしない。

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夜勤明け、帰りの電車ではいつもだ

車窓の向こう側には

ブルースカイと真っ白なもくも雲

きいろ赤ピンク緑の夏色たちが日差しを浴びて

ぴかぴか輝き

ユラユラ左右自由に揺らめいているのに、、

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(もうそんな季節なのか、キンっキンに冷えたキリンレモンが飲みたいな。)

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俺ときたらなんて有様だ

まるで何年間も放置されたあげく

手入れも掃除もされてないよくある男性モニュメント
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色で言うとグレー黒

そしてところどころにコケ緑、、

泣きたくなるぜ。

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カッ、カッ、カッ、カツ。

足音に目を向けると、、

真っ黒なパンツスーツ

身長は170センチ

黒髪ショートカット

透き通った色白ブルースキン
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その場は一瞬にして

夏からスノーホワイト

車両にいるこびとたちの顔が

一斉に白雪姫の方へと向く。

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彼女はというと周りの視線など気にせず

スマフォ→路線図→時計→路線図→スマフォ

の順に何度も首を動かし

マスク越しでもわかるほどのはじける笑顔。

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世間を襲うウイルスで

採用が遅れてしまった

会社の面接にでも向かうのかな

それにしても、、

この雰囲気、、

間違いなく一発合格だ。

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きっと彼女の心は

窓の外に見た

夏色のようにぴかぴかと輝いてる。

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やっと迎える熱い季節に向けて

飛び出す噴水の水しぶきのように

涼しげでキラキラと光を放っている。

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自分もそうでありたいと

この一瞬で羨んだ

内面が外側に滲み出るとはこういうことなんだ。

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また勉強させられた

暑い季節に出会った白雪姫に感謝だ。

                   END

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西野亮廣さんのvoicy記事👇

https://voicy.jp/channel/941/79733

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