魔法少年
【短編】"電車小説" 「魔法少年」
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「昨日関東地方は梅雨入りしました。」
テレビが言ってた。
点けているだけで見ていないから
テレビが勝手に言ってた。
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はっきり言って雨は嫌いだ
大人になってからは特に
朝から着る服に気を使う
洗濯物の予定が狂う
髪型セットも無駄だし
なにより濡れる
傘は風があると役に立たない
電車では片手が塞がり邪魔だ
雨ばっかりの梅雨なんていいことはひとつもないよなぁ
昨日も朝から気持ちはそうだったんだ。
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夜勤に向かう途中
階段近く、前から2両目くらい
いつも通りササーっと乗り込んだ
濡れた傘ってほんとに邪魔だな
一枚ずつキレイに畳んでいた。
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出会ったのは
不思議な男の子だった
黄色い帽子にランドセルを背負って
顔と同じくらいありそうな黄色い長靴と
かわいらしい水玉模様のビニール傘。
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雨への対策はばっちり。
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いや、ちがうな?
帽子は黄色というよりオレンジだし
全身ずぶ濡れだ。
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雨の日、小学校の正門の横はおっきな水たまりができていた
高台にある小学校は森の横に位置してて自然がいっぱいだった
水たまりに雨が打ちつけると一斉にはじけて
それが同時に数百、数千、数万箇所で
ダイヤモンドのようにきらめき輝く
それを見るのが大好きで雨の日が待ち遠しかった
傘もささずにみんなで笑いながら帰ったっけ。
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また雨の日が好きになりそうだ
少年に魔法をかけられた。
END
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西野亮廣さんのvoicy記事👇
https://voicy.jp/channel/941/79733
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