不思議な夢
【短編】"電車小説" 「不思議な夢」
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ピチョン
ポチョン
ぽつん
ひねりの足らない蛇口からの一滴が
ステンレスへと落ちる音に似ていて
小学校の廊下を思い出させる
止みかけた雨の音色は心地よくて好きだ。
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いつもは不快でしかないバイクや車の走り抜ける雑音でさえも
一枚敷いた雨水のおかげで路面の上を転がるゴムタイヤの音を素敵な色にしてしまう
雨の朝はいつもこんなことを思う。
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しかし不思議な夢だった
シャーリンという身なりの整った若者
髪の毛を後ろでひとつ結びにしていた
キリッとした目元は少し自分に似ていたか。
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唇の上にひとつ、顎の近くにひとつそして頬にひとつ小さなホクロがあった
彩り豊かな花たちに囲まれたこの美人さんは
レイラといったか。
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シャーリンとレイラ
私に向かって必死になにかを伝えようとしている
何を言っているのかはわからなかった
ただ、ふたりの必死さと
そしてなにより温かさだけが伝わってきた
なにが伝えたかったんだろう
雨の音でよく聞こえなかったな。
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私は電車の運転士
通勤電車でボーッと車窓を眺めながら
不思議だけど温かい
そんな夢を思い出していた。
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もう到着か
雨も止みかけている
なんだか今日はいつもよりも温かい気持ちで
ハンドルを握れそうな気がする。
END
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西野亮廣さんのvoicy記事👇
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