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演劇コミュニケーターになろうと思った日

「ギリシア時代、劇場は病院でもあった」というエピソードが好きだ。

以前、蜷川幸雄さんと大竹しのぶさんのトークショーを聞きに行った時に聞いた話だ。(NINAGAWA 千の目 蜷川幸雄×大竹しのぶ

ギリシア時代の病院では、患者さんの症状に合わせて「あなたはこの演劇を観なさい」と演劇を処方をしていたというのだ。

私は、中学のころから演劇部で観劇が好きなのはもちろんのこと、劇団に所属したり、小劇場の舞台に出たりと、演じること、演劇を創ることがとても”好き”だった。

このトークショーを聞いたとき、ただ”好き”だけで演劇をやるのはもったいないとぞ思った。思い返せば観劇を通して見つけた感情や追体験が、その後の人生のあるシーンで処方箋になってはいなかったか?

そう思ったとき、私にとって演劇は”もっと多くの人に触れてほしいもの”に変わった。特に安価な料金で多種多様な作品が上演されている小劇場という世界は処方箋という役割を果たすのに最適なのではないか。

私は舞台に立つ。それは、少なくともそうすることで「初めてお芝居を観てみた」という人を増やすことができるからだ。

そしてまた、私は舞台に立つ。「友達が出てるから観に行く」が理由であっても複数の作品に触れてもらうことができるからだ。

一方で、友達だけが観客では困る。実際、小劇場のお客様は役者の友達、役者同士の持ちつ持たれつなお客様の割合が多い。自律的に発展していきにくいビジネスモデルになっているな…と思う。今風に言うと持続可能でないのだ。結果として、様々な場面でひずみが生じていると感じることが少なくない。

「持続可能な小劇場システムを作りたい」これが私の最終的にやりたいことだ。そのためにできることは何だろう?そんなことを考えている時に出会ったのが自由大学の発展途上人学だった。やりたいと思っていることを企画にしてみようという講座でそれぞれの受講生が全4回のクラスの中で試行錯誤をしていた。

講座の中で試行錯誤した結果、私が得た気づきはこうだ。

・小劇場のシステムの根本を変えるというのは些かハードルが高すぎ?
・ローカルで身の丈に合ったクオリティーこそが小劇場の良さなのでは?
・ローカルを支えるにはコミュニティの力が必要なのではないか?
・小劇場を支えるコミュニティには何が必要なのか?

そう考えるとまず初めにやることが見えてきた。

私は、小劇場とそこに関わりそうな全ての人をコミュニティ感覚でゆるくつなげて、それを広げていこう!

例えば!
自分が関わる公演が上演に至るまでの全ての課程をドキュメンタリーとして発信してみる。ただ公演の案内をもらうよりも制作過程を見守るコミュニティのメンバーとしてその作品への関心が増すのではないか?

例えば!
日常のありふれたシーンでの悩みが、演劇作品でどのように解決されるかを紹介する。ありふれた日常への共感というコミュニティ感が演劇への興味につながるのではないか?

役者として、観客として、すべての人に演劇を!演劇と人を繋げる!そんな演劇コミュニケーターとしてこのnoteを書いていきたいと思う。

Special Thanks to 発展途上人学@自由大学 / Yoichiro Kakuta

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