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映画サザエさんシリーズ紹介 1-4作目(1956-58年)

東宝、宝塚映画版サザエさんシリーズの紹介をしていきます。

同時代の東宝特撮映画のキャストも多く出演している為、そちらのファンにも向けた解説になっている点をご容赦ください。

 対応する原作については三作目までは詳細に記述しているが、四作目以降についてはある程度の解説である点もご容赦いただきたい。


1956年12月12日公開
「サザエさん」

監督 青柳信雄 脚本 笠原良三 制作 東宝
製作は東宝。
磯野サザエ(江利チエミ)はおてんばでジャズが大好きな若い娘。
ある秋の日、サザエは友人の紹介で出版社に勤めるものの、失敗で僅か一日でクビになる。それを救ったのが偶然出会ったフグ田マスオ(小泉博)だった。彼の紹介で探偵社に勤めるが、依頼されたのが自宅に住み込んでいる親戚のノリスケ(仲代達矢)の素行調査であった。彼はサザエの親友のミチ子(青山京子)と恋愛していたため、サザエの計らいで二人は結ばれ、無事に結婚を終える。そんな様子を見ていたら、サザエも恋愛に憧れ、マスオをクリスマスパーティーに誘うのだが。
1作目。当時の他の映画と同じようにモノクロ映画。
ストーリーを見ての通り、サザエの甥の西野ノリスケとサザエの親友のミチ子がサザエの後押しもあって本作で結ばれる(ただ本作では磯野ノリスケと呼ばれている)。
 歌手でも知られる江利チエミをキャスティングしているので、歌謡映画っぽいのは意図したものであるが、原作のサザエさんの雰囲気にも近く、江利のサザエを原作者の長谷川町子が気に入っていたらしいというのも頷ける。
他には、うるさい母さん、抜けてる父さん、幼いワカメなどキャラ描写も原作に近く、原作をそのまま映画にしたかのような雰囲気は見ものである。
 ちなみにこの当時(少なくとも6年前の1950年時点では)波平と舟の名は設定されておらず、この映画でも役名は父、母である。
また、恋愛映画的な側面もあり、マスオ、ノリスケの両人はかなりのイケメンである。マスオ役の小泉博はまあマスオの雰囲気もあるが、ノリスケの仲代達矢は最早別人である。
また、カツオとワカメに、小畑やすし、松島トモ子の二人がキャスティングされているが、二年前の映画「たん子たん吉珍道中」三部作の狸のたん吉、たん子兄妹を演じており、それを意識したキャスティングである。
キャスティングである。タン子の時に同じくらいの背丈だったふたりは、二年で小畑が成長しカツオ、ワカメを演じられるくらいの身長差になっている。
他には、青山京子が演じるオリジナルキャラのサザエの親友ミチ子は最初期の原作のレギュラーキャラのイカ子に相当するようで、なんとノリスケと結婚してしまう、当のサザエはまだ未婚なのだが。
とりあえず、イカ子いやミチ子はしばらくレギュラーとして登場する。
また、喜劇映画なので、アチャコや次作からのレギュラー由利徹など喜劇俳優が多く、江利チエミと同じ吉本のアチャコもこのシリーズに出続けるが、本作では小説家神田大六役である。
他に、昭和の喜劇王と呼ばれた柳家金語楼に至っては原作の耳が遠くない老人をもとにした、お見合いの名人の山中老人役で今作以後ほぼ全作に出演、原作の来客に出すお菓子ネタを度々演じる羽目になっている。
とにかく、原作とは細かい設定の相違はあるが、雰囲気は今のアニメ版よりも遥かに原作寄りであるといえる。
それから、東宝特撮映画のレギュラー俳優も多く出演しており、「モスラ」、「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ東京SOS」、「超星神グランセイザー」の中條博士、「マタンゴ」の作田、「ゴジラ」(84)の南博士、他でおなじみの小泉博がフグ田マスオ役で全シリーズ通して出演している。
小泉は更に後に江利チエミのテレビドラマデビュー作となる「咲子さんちょっと」で江利の夫役をサザエさんシリーズに続けて演じたり、また1966年の舞台のサザエさんで再びマスオ役を演じている、また同じ長谷川原作のドラマ「マー姉ちゃん」に岩村役でセミレギュラーで出演しており、本当にサザエさんに縁深い。
他には白川由美がおよしちゃん役、沢村いき雄がおでん屋役で出ている。
 
この後レギュラーになるダーク・ダックスは冒頭の妄想と御用聞きとしてラストに登場。
ビビディ・バビディ・ブーはサザエの出版社出社場面に使われている。この後のシリーズでも希望に満ちた始まりの場面でこの歌は歌われる。他の江利チエミのもち歌は、アンナ、デ▪キエロ▪ディヒステ、ラストにはジングル▪ベルが歌われる。
また、この映画のみ、主題歌がレコードとしてリリースされたが、映画では江利とダークダックスが歌っているが、レコードは別人による(そもそも全く同じ歌ではない様子)ものだが、B面のワカメちゃんはワカメ役の松島トモ子によるオリジナルバージョンである。
あと不思議なのは、サザエが焼き芋食べるときの鼻歌が二作後の「サザエさんの青春」の主題歌の節なのだが…。


使用原作 
数字は朝日新聞社版単行本の巻数とページ数です。
栄養食 ①P2
鶏 ②P112
ホットケーキ ②P100
カツオ火鉢 ③P132
算数喧嘩 ④P50
鳥小屋ノリスケ ①P142
採用通知 ②P16
おてんば ⑧P60
マスオの会社 ②P18
サイレン弁当 ②P19
タンスからサザエ ①P122
山中老人 ③P6
大木探偵事務所 別冊①「私立探偵入門」
みち子とノリスケ ⑫P127
サザエに縁談 ①P19
ノリスケの結婚 別冊①「けっこん式」
新婚ノリスケ ⑫P139
みち子の見舞い ①P77 

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