赤色の生態。
起きたら16時だった。
レッスンの時間はとっくに終わっていた。
二週連続で作曲のレッスンに行けなかった。
最近様子がおかしい。
バイトで記憶が無いミスが増えた。
1分前の事も思い出せない。
生きているのに死んでいる様な感覚。
やりたい音楽が見つからない。
弾きたいギターも見つからない。
僕は飽き性で見た目も定まらない。
好きな服も定まらない。
食べたい物も定まらない。
労働も定まらない。
友人も定まらない。
好きな人も定まらない。
僕には何も無い。
こんな僕といつも一緒にいるのは鬱だけだった。
障害だけだった。
死にたいという気持ちだけだった。
苦しいという気持ちだけだった。
消えたいという気持ちだけだった。
悔しいという気持ちだけだった。
息をする毎僕の精神はどんどん壊れていく。
どんな事をしてみても自分を好きになれる事はなかった。
そればかりかどんどん自分自身が嫌いになる一方だった。
僕を輝かせたステージも立たなくなったら武器に変わった。
執着に変わった。
呪縛に変わった。
呪いに変わった。
もう普通には戻れない。
元々普通では無かった。
元々異常だった。
ただそれだけだった。
腕から飛び出す赤色が綺麗だった。
荒んだ眼に飛び込む艶のある赤。
僕はこの色が好きだった。
人間がなぜ赤の血なのかずっと謎だった。
もしかしたら人間が誕生する前に他にも僕の様な体験をした生物がいたのかもしれない。
子供の頃によく集めていたビー玉の様に綺麗でちょっと精神が冷静になる。
時間が経つと絵の具が固まったみたいだった。
子供の頃の汚い絵の具のパレットが頭に思い浮かんだ。
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