見出し画像

既製品とハンドメイド~縫工房Silkのことも少々~

「ハンドメイド」というと、趣味の範囲で、多少出来上がりが素人っぽくて安価で売る、サークルで、もしくはボランティアで・・・バザーにだすコースターとかティッシュケースとか、というようなイメージなのがちょっと昔。

今、ハンドメイドってすごい市場ですよね。ネット販売が気軽にできる、というのがおおきく後押しています。

みなさん、写真も上手。「映え」ますね。買いたい気持ちになる。商品の出来栄えもすごい。わたしは自信をなくしてばかりです。むかしと全然違うんです。本当にすごい。

見て。わたしの、「商品殺し」と言われた「驚異的に映えない写真」。

画像1

残念です。


ところで。

「手作りのものに愛情はあるのか」

「手作りのものと愛情を直結しないでほしい」

「幼稚園や保育園の入園グッズを家の人が縫ってあげるという風潮はおかしい」

という意見も多々。実際、2月3月はその手の依頼も多く入ってきます。


入園グッズに関しては、「その人が必要なものを可能な手段で手に入れる」でいいのではないかと私は思っています。

「可能」がポイントです。「縫う」が「買う」に勝てば縫うし、「買う」が勝てば買う。どちらでもいい。家の中で発生する縫い物の最終地点は、いかに自己満足するかです。縫って自己満足、買って少しアレンジを加えるのも、自己満足。名前だけ書いて「やったぞ!」というのも自己満足。ついでにこどもが満足すりゃラッキーです。

自分のその時の最良の方法をとればいい。

買うにしても作るにしても「あ!用意しなきゃ」という気持ちから始まるわけで、そこでもう「わが子のために」という愛情が発生しているわけです。


ただし!それはおいといて。

「手作りのものに愛情がある」という点においては、わたしは一押ししておきたい。

縫工房Silkで洋裁を学ばれる方は、基本的に「縫い物初心者」さんが多いです。仕事が忙しくて入園グッズはすべて買って用意した、とか。母親に頼んだ、とか。そういう人が自分の時間を持ちたくて改めて、工房へいらっしゃいます。

さて。あるお母さん。

こどもが中学生になって、大きくなりました。中学生になってもいろいろなものが必要です。給食袋も。いままで、あまりにも仕事が忙しく、全て購入し、中学生になった今も、保育園で使っていたものを持たせていたそうです。

でもこのたび、なんとなく初めて娘のためにナフキンを作ってみたそう。「縫製上手」というノリで四隅を留めただけなんだそうです。でも、それを嬉しそうに持っている娘さんの写真が送られてきました。それだけでも私としては嬉しかったのですが、娘さんは学校で友達に「これ、かわいいね」と言われて、「うん。お母さんが作ってくれたの」と言ったそうです。

初めて、言ったんだそうです。

初めて、言えたんだそうです。

「お母さんが作ってくれたんだ、って友達に言ったんだよ」という娘さんからの報告を受けたお母さんの気持ち。わかりますか?その話をさらにわたしにしてくれた時の彼女(お母さん)の顔は、本当に「お母さん」の顔をしていて、今迄のことのちょっぴりの後悔と大きな喜びで満ち溢れていました。

わたし、涙がでました。

そして、お母さん。お尻に火が付きました。何十年も眠っていたミシンを引っ張り出して、我が家に来てくれたのです。

「今度は巾着袋を作りたい。娘にそういうふうに言われて、本当にうれしかったから。」

わたしは、こういう人の気持ちに、全力で応えたい。

すべてをほおりだして、応えたい。


例えば「既製品のような出来栄えの心のこもったハンドメイド商品」であっても、このお母さんの作った一枚のナフキンには、その存在というのは足元にも及ばないのです。

その一瞬の気持ち。二人の間に生じた「愛」はハンドメイドの作品がもたらしたもの。

これが、本来の「てづくりもの」という品の役割です。


ネットで販売する方々は、ぜひ既製品のようなハンドメイドを目指してください。じゃないと、消費者の眼はひどく肥えていますから、買ってくれませんよね。

でも。自分のために、家族のために作るものに、既製品のようなハンドメイドを目指す必要はありません。逆に、その意識が縫い物から自分を遠ざけていきますから。

好みの、使いやすい形を、丈夫につくることが先決。形、色、柄、こまかい部分の作り(ひもの長さとか、マチの大きさのような部分)は、身近な人だからこそ、こまかく何度も聞けるんです。

そういう細かな注文に応えらえないなと思ったら、縫工房Silkへお越しください。全てをほおりなげて、一緒に考えます。

わたしは、そういう方が多といっしょに小さな自己満足を積み上げていきたいのですよ。

縫い物にはまったら、どんどん練習して、いずれは既製品のようなハンドメイド作品が作れるようになるでしょう。このマスク騒ぎで、腕があがったハンドメイド職人さんは山ほどいると思います。ある程度までは腕があがります。練習すればね。


もちろん、インターネットで「愛情たっぷり手作りマスク」とか「心のこもった手作りマスク」とかいう言葉がついた商品が出ていても、それはあながちうそではありません。

ハンドメイド作家さんて、心の大きな人が多いように思います。あらゆる人のことを想定して、「これを大事に使ってくださるどなたさまかへ」という気持ちで作っていると思います。

それも一つの「愛」です。ハンドメイドさんと購入者の間に、心のつながりが生まれることも多々あるのが、それを証明しています。


「愛」とは交換して初めて成り立つもの。

はっ!!!!

わたし、今、名言出しました。メモしてくださいよ。


縫工房Silkでのオーダーでは、既製品のようなものを作り上げることは目的ではありません。この世のすきまに発生する、こまった縫い物に対応します。

既製品が体に合わない・・・という方の対応もいたします。

わたしのところに来られる方って、たぶん「Silkもりまさの」という人間を、どこか一点でも気に入ってくださっている。だから何度も、縫工房Silkを利用しようと思ってくださっているのだと、そこだけは自負しています。


縫工房Silkのオーダー内容を少し・・

メゾソプラノ歌手・久利生悦子様。シンプルなドレスにデコレーションを。

画像2

A様。胸から上の部分を、特に腕の周りをまるで肌のように覆ってほしい。ネックレスも付けやすいようなネックラインで。というオーダー。

画像4

エプロン。たかがエプロン。されどエプロン。ポッケの位置、数、紐の形状、柄。好みは人の数だけあります。ぴったり好みのエプロンって、実はなかなかないですよね。ぴったりのエプロンは、日常の生活にちょっとしたエッセンスをもたらしてくれます。親子でお揃いのものを。そして少しだけSilkのこだわりを載せることもあります。親子で心の中でつながっていてほしいという思い。後に何となくこのエプロンを思い出して、お母さんとのつながりをふと感じてくれたら。こっそりと加えてあります。
画像4

ちなみに明日は「小学生のための洋裁教室」です。その模様は明日お知らせします。こちらも、たぶん他にはないタイプの講座だと思います。

これが、「縫工房Silk」です。

全て、オーダーで承ります。メールなどのやりとり、対面でのやりとりでプランを立てていきます。

基本的にやっていることは全てアナログ方式です。

おはなしは全て伺います。どうしたいのか正直に全ておはなしください。

そして、世の中に一つしかないものになります。

なので、同じ手順の物が一つもありません。

つまり、時間がかかります。

でも、心と愛は籠っております。


信じるか信じないかは、あなた次第です。

縫工房Silk もりまさの


気に入っていただけたなら、サポートしていただけると嬉しいです。日々、心を込めて、雑談やおはなしなどいろいろお届けいたします。