名前のない関係性になった話。
大学へ入学した年の夏に初めて彼氏ができた。
2個上のサークルの先輩だった。
彼の好きだったところは、語感と顔と雰囲気。
付き合ってから、1年半で彼の就職の関係で遠距離になり、
その後、約半年ほとんど連絡が取れず、別れることもなく関係を続けていた。いわゆる蒸発状態だったと思う。
そして、2年目に私から別れを切り出した。
別れを告げたLINEに返信は無かった。
その代わり、数か月後に「誕生日おめでとう」と返信があった。
それ以来、お互いの誕生日にLINEを送りあうという関係になった。
それ以外で特に連絡を取り合っていたわけでもなかった。
私が社会人になって初めてのGWに、彼が帰省していると知った。
友人の後押しもあり、一緒に飲みませんか?と伝えるため、夜に電話を掛けてみた。
2年ぶりくらいの会話だった。
4年前に電話で思いを伝えたときくらい緊張していたと思う。
飲み会当日、駅のエスカレーターを降りた先に、見覚えのあるバッグを持った彼がいた。
そこから先はあまり覚えていない。
とりあえず、まともに顔が見れなかったことが心残りだ。
周りから見た私たちはの雰囲気は、まるで恋人同士だったと思う。
酔いのせいであまり覚えていないが、手もつないでいた気がする。
幸せな時間だった。
帰り道にサカナクションの「忘れられないの」を聴いて一人で泣いた。
それから、連絡を取るようになった。
付き合っていたころよりも頻繁だった。
通話をしながらゲームをしたりもした。
友達みたいで、恋人みたいで、仲のいい先輩後輩みたいだった。
そんな関係が半年続いて、年末に彼が帰省すると知った。
今度は緊張せずに、仲のいい先輩に言うみたいに、「飲み行きましょうよ!」と伝えた。
12月30日。
私の家の近くの居酒屋で飲んだ。
今回もあまり顔が見れなかったし、酔いであんまり覚えていない。
何とか、この日で関係が戻ったらいいなと思っていた。
今までのやり取りもあって、なんだか戻りそうな気がしていた。
でも、実際に会って話すと、彼の心は戻ってこないんだろうなと思って悲しくなった。
酔いもピークだった私は、別れ際に何かのストッパーが外れて、今まで思っていたことの8割くらいを泣きながら彼に伝えていた。
いっそ嫌いになってくれとか、なんで毎年誕生日祝うんだよ、そんなことを言っていた気がする。
泣きながらしょぼしょぼになっている私に、
「俺よりいい人を見つけて復讐しに来てね」(意訳)
と言ってきたあいつに誰か鉄槌を下してください。
その1週間後、彼から突然LINEが来た。
「家庭環境と人生設計的に一緒には居れないから、もう付き合うことはできない。それでも良ければ友人になってほしい」というものだった。
承諾した。
客観的にみると完全に私が振り回されているし、えぐれて、失っているものも多い気がするけど、そこを差し引いても、人間として彼のことが好きだ。
それからまた、ぼちぼち連絡を取り合っている。
先日酔っぱらって掛けてきた電話では、訥々と私への思いを語っていたし、お前もお前で未練たらたらだなと微笑んでしまった。
どこまで行っても似た者同士の私たちが一緒になる未来はあるのか。
一緒でなくてもいいから、とりあえず、前みたいに消えたりしないでほしい。
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