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政竜全集プロジェクト①完売しました

おかげさまで2022年の夏コミにあわせて頒布した、政竜全集プロジェクト①『必殺仕事人V 政&竜 全セリフ集』が完売しました。

今回たくさん刷りましたが、その甲斐あってすべてなくなり、ほっとしております。
また、政竜=女性ファンが多いイメージがありますが、多くの男性ファンの皆様にもお手にとっていただけたことも嬉しく思います!

改めて、この本に掲載した「はじめに」を引用します。

はじめに――Nui(引用)

 この本は、TVドラマ「必殺仕事人Ⅴ」の花屋の政、および組紐屋の竜のすべてのセリフと、各話ごとのみどころをイラスト化した資料集です。
 主にセリフやあらすじ、データはDuckrが担当し、イラストやコメントなどをNuiが担当しています。

「必殺」50周年

 2022年は「必殺」シリーズが放送を開始してから50年になります。
 本来であればすべてのシリーズを網羅した記念冊子を作ることができればよかったのでしょうが、私たちふたりの力では現実的に難しく、またデータや知識を網羅するにはかなりの時間が必要です。
 そこで、兼ねてより制作を望んでいた、最愛の「政竜コンビ」を中心とした資料性のある研究本を、この必殺50周年の年に思いきって着手することになりました。
 コミックマーケットも100回目記念ということで、歴史に残るイベントにこの本を出せることを嬉しく思います。

政竜コンビの魅力

 彼らが揃って登場したシリーズは2本であり、ほかにはTVスペシャルが1本、劇場版が2本、舞台を入れるのであれば2本。1984~86年のたった2年間という短い時間ではあるものの、当時の「仕事人ブーム」を牽引する存在になり、女性を中心に爆発的人気を獲得しました。
 登場作品本数は少ないように思えますが、数少ない必殺シリーズの劇場版に2本も出演している事実は重要です。
 シリーズ人気という時代的背景も手伝ったはずですが、このふたりの存在感、インパクトが、お茶の間人気をさらに盛り上げ、劇場版が2作品も公開されるという結果に繋がったといっても過言ではないでしょう。
 中村主水の藤田まことさんが、竜の京本政樹さんに語った有名なエピソードがあります。政竜コンビが登場してから、撮影所見学には女性や子どもが増えたとか。そして令和になったいまも、十代を含めた新たなファンを獲得するなど、根強い人気を維持しています。復活を望む声も少なくありません。

 一方で、その容姿の端麗さのためと、初期「必殺」の強い社会批評性とハードな作風がバラエティ路線へと変更された時期に登場したためか、彼らの人気の理由が外見美のみだと思われることもあるようです。
 しかし「必殺仕事人Ⅴ」から「必殺」シリーズにのめり込んだ視聴者も多く、徹底した悲劇性、照明、カメラワーク、音楽と、他の時代劇とは違う独自の作風は、従来のシリーズと比べる必要もなく、それそのものの価値が十分に担保されています。

 なぜ彼らは愛され、またはアイドル的人気を批判されるのか? 美しいことは罪なのか?
 造形美、それが突き抜ければ、独立した価値があり、その威力の重さは計り知れません。
 そうでなければ、数々の美術作品は否定されることになります。政竜コンビの圧倒的なスタイルの良さ、顔の造形の良さは、誰もが認めざるを得ないものでしょう。

 しかし彼らの魅力の本質は、その絶対的な美しさを持ちながら、物語を有していることであり、彼らの中に精神があることです。
 ところどころ設定の矛盾も見受けられ、ブロマンス的な関係性において突っ込みどころも満載でありますが、それらは間違いなく魅力のひとつです。
 番組寿命を延ばすべく視聴率優先であった後期「必殺」のキャラクターですが、カルト的人気を誇る初期作品とはまた別のベクトルで、政竜コンビは普遍性を持っていたのでしょう。

 今回の本は、政と竜、ふたりの魅力をもういちど原作から振り返ることを目的とし、さらに、エピソードを簡単に振り返ることのできる資料になるよう考えました。これはサブタイトルが内容と一致しないことが多く、どれがどの話であったかを思い出しにくいことが理由です。

 とはいえ、政&竜のみに特化しており、ふたりと会話するシーン以外において、他のキャラクター、主人公の中村主水さえも取り上げていません。
 また、補足コメントや「政竜の見どころ」などは、あえて主観的感想を入れています。堂々と偏愛の形を維持することは、この本が個人のものであり、同人誌である以上、重要なことです。公平さや客観性を求められがちな一般誌や、諸先輩方による従来の素晴らしい研究本との差別化でもあります。

「政竜全集プロジェクト」

 このプロジェクトを「政竜全集プロジェクト」と名付け、第一弾はTVシリーズ「必殺仕事人Ⅴ」をフィーチャーします。
 将来的には「TVスペシャル・劇場版」、そして「必殺仕事人Ⅴ 激闘編」と続いてゆく予定です。

 このプロジェクトが、女性のみならず、男性のファンの方にも、再度、政竜コンビの魅力を振り返るきっかけになり、また普段「必殺」シリーズを人生の中心に置いていない方々にも、彼らを通して「必殺」との出会い・再会のきっかけになれば嬉しく思います。

 そして私個人としては、「かつて、これほどまでに愛された仕事人はいるだろうか?」というポジションを、彼らに贈ることができれば、これ以上の喜びはありません。

「必殺」の制作に関わったすべての方、そして政竜コンビを演じた、村上弘明さんと京本政樹さんに、感謝と愛をこめて。

2022年7月12日、
37年目の「花屋の政 雷雨の中で闘う」の日に

Nui

※Nuiの「はじめに」はアニメーション監督、佐藤懐一さんに下読みをしていただき、追記しました。

「政竜全集プロジェクト」第一弾所感――Duckr

~はじめての娯楽時代劇~

 この本は、数年前からNui氏が温めていた台詞集のアイディアを、「必殺50周年の今、やるしかねえ」と、何とか形にするべくもがいた末にできあがりました。Nui氏が地道に書き溜めていたものの、あまりの作業量に中断していたデータを見て興味を持ち、プロジェクトに加えてもらいました。

 実のところ、このプロジェクトに携わり始めた当初は、必殺シリーズに対してはあの「パラパー♪」という曲の元ネタであること、そして暗殺者の話であるという程度の知識しかありませんでした。一方で、Nui氏の布教活動(笑)により、「面白そうだな」という印象は醸成されていました。

 それまで娯楽時代劇というジャンルにはほとんど縁がなかったのですが、ひとたび『必殺仕事人Ⅴ』を観始めると、キャラクターたちの個性や独特の画面づくり、そして殺しシーンのインパクトに魅了されました。特撮が散りばめられた、やたらカッコいい、けれどよくよく考えると笑ってしまうような殺し技が満載で、そこがダークなユーモアにもなっている。ストーリーは良くも悪くも紋切り型ではありますが、三十年以上前の作品にもかかわらず、新しい気持ちで楽しめる要素にあふれていました。今回スポットを当てた政・竜はもちろん、他のキャラクターや一回きりで殺されるモブにも妙な愛着が湧いたりします。

 私自身が「必殺」初心者であり、シリーズを観始めたばかりではありますが、だからこそ「今から観始めても遅くない!」ということをお伝えしたいです。ここを読んでくださっている方の中に、もしシリーズ未見の方がいらっしゃったら、臆さず作品に飛びこんでいっていただけたらと思います。

 この本は、政と竜の台詞だけでなく、主要キャラクター紹介やあらすじなどを追加し(ネタバレには注意)、『必殺仕事人Ⅴ』を鑑賞する上でのガイドブック的な機能も持たせたいと考えながら作りました。基本的に一話完結のストーリーなので、この本をざっと読んで興味を持った話から観てみるというのもアリかもしれません。
 往年の必殺ファンの方にも、政・竜にしぼった視点からストーリーを見渡し、台詞をテキストで見返すことが、新たな視点で作品を楽しむきっかけとなれば嬉しいです。

 台詞集の制作にあたっては、作品の鑑賞は楽しい時間でしたが、正直、壁に突き当たることは幾度もありました。例えば、政が殺しに使う花の種類の同定で悩んだり、など。データ本としてはぜひ網羅したい要素なので、図鑑やネット、花に詳しいNui氏の母上(華道の師範代)の知見等を参考に書いていますが、公式の設定資料がベースではなく、また本編映像が不鮮明な部分もあり、誤りを含んでいる可能性はあります。また、台詞の聞き取りづらいシーンもありました。そうした曖昧な点、拙い点が散見されるとは思いますが、どうか温かい目で見守っていただけたら幸いです。

 令和の今、必殺シリーズに出会えたこと、そしてこの企画に関わり、まずは一冊の本にできたことに感謝します。……とはいえ、プロジェクトはまだ始まったばかりです。打ち切りにならないように、先を見据えながら走っていきたいと思います。個人的には田中様とおじさんコンテンツもいずれ作りたいですし(他でやれよ)、頑張ります。
 では、また次の本でお会いできる日を楽しみに……。

2022年7月       Duckr


次回は「大利根ウエスタン月夜」!

政竜全集プロジェクト②は、2022年12月末の冬コミに頒布予定です。
ただちょっと①と構成や色々を変えないとならず、スケジュール的に心配な点がいくつかあります。
なるべく頒布できるようにと思っていますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

テーマはテレビスペシャル。「主水、第七騎兵隊と闘う~大利根ウエスタン月夜~」です。

グッドコントロール(板東英二)を描けるかもしれないという楽しみがあります(笑)。……


ではまた!


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