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電波ソング百物語(電波ソング100曲MIXコメンタリー) 11~20

20200625 2010s Otaku Rock Mix (オタクでも生きるためにロックしたいMIX)」をmixcloudにうpしました。2010年代のオタクロックミュージックから「生きる」をテーマに選曲したMIXです。宜しければお聴き下さい。それでは「20190418 さよなら平成、よろしく電波。電波ソング100曲MIX。」コメンタリー今回もやって行きます。

11.狂乱戦記~日常の神サマ~ / 乱埼凶華(藤村歩)

 「狂乱家族日記」ED。各メインキャラにキャラソンがあり放送ごとにシャッフルで流れていた内の一曲。ギターがリフを鳴らすトラックの上でひたすら早口台詞を捲し立てる高カロリーな歌唱が最高。本編でも傲岸不遜かつ堂々たる喋り倒しで相手を圧倒する人物である乱埼凶華を如何なく表現したキャラクターソングであり、独特で軽快なワードセンスはまたも畑亜貴によるもの。「狂乱家族日記」はOPをMOSAIC.WAVが担当し、各キャラソンC/Wのリミックスを柏森進、小池雅也、ARM、D.watt、神前暁といった錚々たるメンバーが担当しているのも電波ソング史的に重要ポイントです。

12.ぴてぃぱてぃサバイバード / ゲスかわガールズ

 「さばげぶっ!」ED。また畑亜貴。メインキャラがほぼ台詞な感じで掛け合いをしていくタイプの曲。楽曲自体もきっちり演技の入った愉快な掛け合いと耳に残るサビのフレーズが良き電波なのですが、特筆すべきはED映像。絶妙にへちょい作画のメインキャラ達が謎のうすぼんやりした明かりの中で軽快にくるくる踊りまわる光景がやたらシュールでドラッギー。キマってんな……と思いながら毎週見てました。因みにOPは大橋彩香さんのソロデビュー曲でした。

13.ファッとして桃源郷 / 新庄かなえ(三森すずこ)

 「てーきゅう」何期目かのOP。同作主題歌は電波ソングの宝庫なのですが、MIX内での声優被り避け等の理由により三森すずこさん歌唱のこちらをセレクト。中華っぽい音階や楽器の音色を散りばめ、歌われるは貧乳の悲哀と奮起。こちらも早口系電波ソングですが、小節いっぱいに喋り倒す「狂乱戦記」に対しこちらはフレーズのキメでリズムと単語をきっちりハメてくるタイプ。早口電波にも様々なタイプがあります。やかま進藤然り。あれ音源の入手難度高すぎませんか……と思ってググったら駿河屋に「夏」「冬」両方あったので今買いました

14.プレパレード / 逢坂大河 (釘宮理恵), 櫛枝実乃梨 (堀江由衣), 川嶋亜美 (喜多村英梨)

「とらドラ!」前半シーズンOP。テクノポップ感溢れるサウンドに乗せて強力なメインキャスト3名が歌う恋の歌。四字熟語を多用したサビの早口フレーズが耳に残り、全体の雰囲気としては爽やかな電波ソングといった印象を受けます。つい最近ではVtuberによるコンピレーション"IMAGINATION Vol.1"でもカバーされており、ゼロ年代アニソンのエバーグリーンな名曲とも言えましょう。アニメも名作でした。そういうふうにできている。

15.はっぴぃ にゅう にゃあ / 芹沢文乃 (伊藤かな恵), 梅ノ森千世 (井口裕香), 霧谷希 (竹達彩奈)

「迷い猫オーバーラン!」OP。アニメもナンセンスギャグB級ラブコメで好きでした。この曲の聴き所は何と言ってもゆるゆるな歌唱トラック。絶妙に力の抜けたチョウシニノッチャダメーやら、現代アニソンでは必須のガッツリした音程補正の不使用やらが喚起するのはインディペンデントでDIYな楽曲が大きな位置を占めていた時代の古き良き「電波ソング」ではないでしょうか。謎に高速ブレイクビーツ風なリズムトラックをなぜ使おうと思ったのかは何年経っても分かりません。一年の始まりには必ず聴く一曲。最高。

16.やきもちカプリス★ / ルー(CV:悠木碧) & ノワ(CV:花澤香菜)

「やきもち狂想曲」主題歌……ですがこのアニメ本当に内容全く知らないんですよね……。当時お二人のどちらかがラジオで話題に出してて曲を知ったような記憶がありますが定かではありません。それはそれ。悠木碧&花澤香菜というバチボコに強力な組み合わせのデュエット、最高にKAWAIIな萌え声キャラ歌唱と台詞、にゃーにゃにゃーにゃにゃー、わんわん!、掛け声、ヤバい。これぞ洗脳される電波ソング。

17.?でわっしょい / ゆの (阿澄佳奈), 宮子 (水橋かおり), ヒロ (後藤邑子), 沙英 (新谷良子)

「ひだまりスケッチ×365」OP。ひだまりOPはどれも良電波なのでどれにするか迷いましたがMIXの流れに合う曲ということで最終決定。ひだまりスケッチシリーズはオタク個人史上大事な作品です。ゼロ年代初頭当時、北海道はそもそも深夜アニメ放送が少ない上に地元の道東はテレ東系の電波が届かずオタク不遇の土地だったのですが、そこにBSデジタル放送が開始。当時のBS-i(現在のBS-TBS)にてひだまりスケッチ、Kanon、苺ましまろ、まほろまてぃっく、サムライチャンプルー等の視聴が可能となりアニメ文明開化が起きたのです。私のオタク人生はそこから明確に開始しました。

18.いちごコンプリート / 伊藤千佳 (千葉紗子) & 松岡美羽 (折笠富美子) & 桜木茉莉 (川澄綾子) & アナ・コッポラ (能登麻美子)

「苺ましまろ」OP。電波ソングとひたすら可愛い萌え系楽曲との区切りとは何か、というのは難しい所ですがとにかく可愛さしか無く聴くと脳が多幸感でキマる曲。上記アニメ文明開化で触れた作品の一つであり、萌え日常系アニメへのファーストコンタクトでした。「かわいいは正義」というキャッチフレーズがすべて。アニメで「かわいい」を表現し切る事の難しさは今でこそ痛感するのですが、マッドハウスによる高品質な映像とシュールでのんびりした雰囲気を適切なテンションで表現する声の演技が光る「苺ましまろ」は萌え日常系アニメへの最良の入門編であり古典と言えるでしょう。あとED曲も名曲です。

19.恋愛サーキュレーション / 千石撫子 (花澤香菜)

「化物語」なでこスネイク編OP。アニソン全般を見回してもアンセム中のアンセムと言って差し支えない一曲。アンセム過ぎて今やあまりに聴き慣れてしまいましたが、花澤香菜さんの声質を最大限に活かした耳と脳をとろけさせるようなラップはアニソンの概念すら更新したのではないでしょうか。私の個人的電波ソング定義である"強烈な個性と強烈な違和感によって聴いた者の価値観を書き換えてしまう楽曲"にも完全一致する最高の電波ソングです。

20.Neko Mimi Mode / Dimitri From Paris

「月詠 〜MOON PHASE〜」OP。ハウスミュージック界隈のガチ大物Dimitri From Parisによるラウンジ感のあるボッサチューンになぜか斎藤千和さんによる「ネコミミモード」の連呼が乗っかる、本当に意味不明で一生耳に残り続ける破壊的に斬新な楽曲。萌え声ボーカル、単語/フレーズのリフレイン、掛け声、早口、セリフ挿入などを含む電波ソングの「形式」は(個々にズレを含みながら)電波のメインストリームとしての洗練を続けていますが、形式を破壊するものとしての電波ソングはこの曲を聴けば一発で理解出来る。ディミトリさんのアルバム"Cruising Attitude"には「わたしはメルモ」「僕らのマジンガーZ」のカバー・リミックスが収録されておりオタク兼クラブミュージック好きとしてはこの辺も注目です。

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