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橘 伊津姫
2015年1月19日 12:46
大学生の時に仲良くなった友人・大城の話。小6の時、友人達と「卒業記念肝試し」を計画した。場所は海岸沿いの高台に建つ1軒の廃屋。だがその家は、不法侵入を防ぐために窓にも玄関にも頑丈に板が打ち付けられ、どこからも中に入れないようになっていた。小学生の彼らには板を引き剥がす力がある訳もなく、早々に「肝試し」を諦めて、海に面した庭で持参した花火をする事に。花火を片手に騒ぎ回っていた大城は庭の
2015年1月14日 01:26
久し振りに高校時代の友人と飲みに行った帰り。思い出話に花が咲き、店を出た時には自宅方面への終電はとっくに出てしまっている時刻だった。「うちに泊まりに来ればいい」と友人の一人が声をかけてくれたが、最近結婚したばかりだと知っていたので、流石にそれは辞退させてもらった。新婚の亭主が飲んで遅くなるだけでも、奥さんからしたら腹立たしい事だろう。その上、見も知らぬ酔客を伴って帰るなど……。独身の自分でさえ、
2015年1月14日 01:15
私の勤めている病院に、1人の女性が運び込まれてきた。年の頃は70歳位。呼吸は浅く、額に脂汗を浮かべ、全身が小刻みに痙攣していた。苦しいのだろう、両手で胸を掻きむしるように抑えている。「おふくろ! しっかりしろよ、病院に着いたぞ! おふくろ!」 息子らしき男性がストレッチャーに寄り添いながら声をかけている。その後ろから心配そうに眉根を寄せた中年の女性。「処置を行いますので、ご家族の方はこちら