Amazonベンダー企業向け分析ツール「Monolith」の開発
現在ブルーグースでは、Amazonと取引しているベンダー企業向けの分析ツール「Monolith(モノリス)」を開発しています。
AmazonのECビジネス(ベンダーとセラー)
Monolithの説明をさせていただく前に、Amazonに関する補足的な情報を書かせていただきます。AmazonのメインビジネスがECなのは周知の通りかと思いますが、そのECビジネスにはリテールビジネスとプラットフォーム貸しのビジネスの大きく2つが共存・競合している状況です。
リテールビジネスは主にメーカーや卸売業者(ベンダー)がAmazonに直接商品を卸しているのに対し、プラットフォーム貸しのビジネスでは、主に販売店(セラー)などがAmazonを利用して自分で商品を販売しています。
そして、ベンダーにはベンダーセントラル、セラーにはセラーセントラルというAmazonと取引するための管理ツールが存在しています。
セラーセントラルは誰でも登録でき、登録後すぐに商品を登録して販売できるのに対し、ベンダーセントラルは基本的に招待制となっており、簡単にアカウントを開設することはできません。
重要な情報が取得しにくいベンダーセントラル
そんなベンダーセントラルは、商品登録や広告出稿、PO管理やその他Amazonでの様々なマーケティング施策などを実施できる便利なツールなのですが、ビジネスの主体はAmazonとなるため、商品ページの閲覧数や、売れ筋ランキングの順位、LBB(Lost Buy Boxの略でカート落ちの状態)の状況など、Amazonで売上を伸ばすための重要な指標のデータが提供されていません(セラー向けには一部提供されている情報があります)。
そのため、ベンダーはAmazonで売上を伸ばしたくても限られた情報の中で手探りでマーケティング施策を行わなければならず、特にECマーケティングのナレッジが少ないメーカーなどは、うまくビジネスを伸ばすことがしにくい状況です。
もちろんAmazonの担当者から直接データをもらえたり、指南を受けたりできる場合もあるのですが、それにはある程度大きな売上があったり、Amazonと特別な契約を結んでいたりする場合に限ります。
弊社としてもAmazonのベンダー向けのコンサルティングサービスを提供している以上、クライアントのAmazonでの販売状況が分からないと詳細な分析をしたうえでの対策を考えることが難しくなります。
そこで、ベンダーがAmazonで売上を伸ばすために重要ないくつかのデータを取得できるツール「Monolith」の開発に着手いたしました。
ベンダー企業の欲しい情報を取得
昨年の6月にベータ版をローンチさせ、その際はAmazonでの販売価格の推移とLBBの状況くらいしかデータを取得できなかったのですが、先日アップデートすることができ、さらに在庫の有無とランキング情報も取得できるようになりました。
Amazonの販売価格が取得できる、というとリテールビジネスに詳しくないかたは「?」となるかもしれませんが、これは実は非常に重要な情報です。
先述の通りリテールビジネスの主体はAmazonなので、商品の販売価格はAmazonが決定します。
もちろん、独占禁止法によりメーカーが販売店の販売価格に直接介入することはできませんが、それでも自社商品がAmazonでいくらで販売さらているかはメーカーとしては気になるところです。
その販売価格のデータは、ベンダーセントラルでは取得しづらいので、独自に取得しているメーカーが多数いらっしゃいます。
また、Amazonの商品ページで一番大きなカートボックスを取得できていないと、大抵のユーザーは目立つカートボタンをクリックするので、販売機会を別のセラーに奪われることになるため避けたいところです。
また、今回のアップデートで取得できるようになった在庫の有無も売上に直結するデータです。
Amazonから発注してもらえない限りベンダーは自社商品をAmazonで在庫有りの状態にすることができませんので、Amazonで在庫無しの商品に対しては何らかの対策を打ちたいところです。
ランキングデータは自社商品の売れ行きがどの程度なのかを判断するための重要な指標となるため、こちらもできれば毎日確認したい情報です。
これらの情報を取得できるだけでも、次に何をすればいいのかが明確になり、Amazonでのビジネスを主体性を持って進められるようになります。
言語解析AIの搭載
また、年内にはMonolithに言語解析AIを搭載させ、商品ページが適切な状況か否かを判別できるようになる予定です。
この機能が搭載されることで、自社商品がAmazonで健全な状態なのかどうかを見える化することができ、どの商品のどの部分をどのように改善すればいいかが一瞬で判断できるようになります。
日本国内の多くのメーカー・ディストリビューター企業がベンダーとしてAmazonとお取引をされていると思いますが、よく「リソースもナレッジもない」というお話を耳にします。
Monolithで自社商品の課題を発見でき、その対策も明確になっていれば、これまで分析と対策考案に費やされていた時間はまるまる浮くことになります。
Monolithは、日本中のメーカー・ディストリビューター企業で奮闘されているすべてのAmazonご担当者様の、働き方改革に寄与できるようなツールであると思っています。
そんなMonolithは近日中にベータ版を解除し本ローンチとなる予定ですので、ご興味のあるかたはぜひベータ版(無料)をご利用いただけたらうれしいです。
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