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「オーディオブック ことでんスリーナイン」でバーチャルな旅に出よう。

SNSでよく出てくる「思い出」
◯年前の今日、何をしていたか?がわかり、思い出すことが出来て、忘れっぽいわたしは助かっています。

それによると2年前の9月半ばは、高松にいました。

2015年に高松市内から琴平間を走る高松琴平電気鉄道「ことでん」のレトロ車両を走る舞台として行われた【ローカル鉄道演劇『ことでんスリーナイン』】


そのまさに舞台として使用した20形23号をはじめとするレトロ車両の引退が決まり、シアターキューブリックの作演出家・緑川さんや劇団制作であり俳優の奥山さんとともに、ことでん社長や広報担当の皆様と、打ち合わせをしに行っていました。

20形23号は大正生まれの木造車両。
公演当時、あまりの走行音の大きさに、役者たち、そして「いろんな風」として生声生ギターで演奏していたオオゼキタクさんも、演出意図を汲みながらも声を通すということがとても大変だったよう。

私は2015年当時はまだシアターキューブリックともオオゼキタクさんともまだ接点がなく(!)
ローカル鉄道演劇を2018年の『銚電スリーナイン〜Return to the Roots〜』で初めて体感したばかりで、以降劇団のお手伝いが増えてきた位の時期だったのですが、なんとかこの2015年以来の再演公演を車両の引退までに実現させたいという皆んなの想いを強く感じていました。

しかし、それから数ヶ月後に、世の中を新型コロナウイルスが覆い尽くし始めました。

私たちは東京に住んでいます。
ことでんの皆さんとしても、この公演をレトロ車両の引退の餞にと、ギリギリまで検討してくださったものの、離れた高松に劇団員や俳優たちを大勢連れて向かうというのは、色んな条件が整ってようやく実現できること。
環境的にも世相的にも金銭的にも、全く目処が立たない中踏み切れる状態ではありませんでした。

泣く泣く公演を諦め、限られた予算と時間の中で、レトロ車両とともに何ができるか?
そこで思い立って提案したのが
「ローカル鉄道演劇をオーディオブックにしよう」
ということでした。

遠方に住む俳優には、ラジオディレクター斉藤りかさんから機材を貸し出してもらい、zoomで繋いでのリモート稽古。遠方の俳優の声は、貸出機材でそれぞれの声だけを録音して、最終的に編集で繋げる、同時に演じる空気感を大切にしながらのレコーディングをすることにしました。
その上で、都内近郊の俳優は集まり、遠方の俳優のリモートと合わせて収録。
それぞれの音源をまた編集で繋ぎ、前もって貸切運行で録音させていただいた20形23号の吊り掛け駆動方式の走行音もしっかりと物語の進行と当時演じていたタイミングと区間を再現。
かくして23号引退から約半年後、「オーディオブック ことでんスリーナイン」は配信リリースをすることができました。
耳からの情報がイメージ力をグッと広げて、まるで讃岐平野を走り抜けることでんに乗っているような気分になります。

オーディオブックはApple Musicのサブスクでも聞けますし、Amazonオーディブルでも聞くことができます。

リアルなローカル鉄道演劇とオーディオブック版の違いは、
リアルでは電車の停車、発車の時刻にお芝居がタイミングを合わせていく(でもわざとらしくなく見せる)のですが、
オーディオブック版ではその運行ダイヤを気にせず間合いを見てお芝居に走行音を合わせていくことができること、そして走行音のボリュームやバランスの調整ができるため、オオゼキタクさんのうたが、より情感たっぷりに走行音と相まって広がります。

そしてこのオーディオブックの音を元に、走行前面展望と車内、車外の風景を組み合わせて作ったDVDは、まさに『見るオーディオブック』

電車がお好きな方には
オーディオブックには20形23号の貴重な走行音のみのトラックが聞けますし、
DVDには20形23号の前面展望だけをひたすら眺めていられる映像や、23号+120号+500号+300号のレトロ4両編成の走行する姿の映像も特典トラックとして収録されていますよ。

どれも、今はもう見たり聞いたりすることができない貴重な記録でもあります。

まだもう少し、晴れ晴れと心置きなく旅に出かけられる環境になるまで時間がかかりそうな昨今。
どうか、耳から始まる旅でお楽しみくださいね。

あ、ヘッダー写真はペンギンじゃなくイルカのオブジェ。
本物(?)はことでんの駅員イルカの「ことちゃん」(青い方)と、その妻「ことみちゃん」(ピンク)
高松特別ゆめ大使にもなっています。

そうそう、残り2両のレトロの引退も迫っています。
300号と120号がお別れイベントが無事できますように。。

その時にはレトロのお別れと、ことちゃん、ことみちゃんに会いに、私も高松に行きたいなぁ。

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