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大学教授の教える護身塾

約10年前から趣味として始めていた格闘技について、これも趣味として教え始めました。将来的には自分の子供たちに教えたいということや、自分の技術が衰えないようにという意味合いもあります。学業や仕事に備える基礎体力として、万が一の際に生命や財産を守るためなど格闘技は基礎教養や生涯教育として捉えています。

私が格闘技を始めたのは2012年より。キックボクシングジムに行き始めました。戦績は凡庸で、ボクシングは初試合で負けて0勝1敗。ブラジリアン柔術は確か10戦以上経験があって青帯ですが、ちゃんと勝てた記憶は半分未満です。このような私が格闘技を教えようと思った理由は上記のモチベーションもありますが、「強い者が教えるよりも弱い者が教えた方が分かりやすいのでは?」という仮説もあります。

話は逸れますが、大学教授という職業も似たような部分があると考えています。きっと、塾講師などの先生が大学の内容を教えた方が、分かりやすい内容も少なくないハズです。私の専門性が高い内容を伝えるよりも、専門外で学生時代に苦手だった部分を何とか説明している方が評判が良くテストの点も高いことがしばしばあります。

以下、内容は未完成ですが、日々格闘技指導をしている際の覚え書きや、参考資料として作成を始めました。目標としては、まだ自分自身も達成していない、総合格闘技の試合に出てもらい勝利してもらうことを想定しています。


力技も技

これは、ブラジリアン柔術の師から良く聞いた言葉です。私は様々なスポーツをしている中で筋トレをしたことがなかったのですが、ボクシングの初試合に備えて50歳を前にしてベンチプレスなどを始めました。当然のことながら、筋力や筋持久力を強化できることは大変便利です。
私が教えている方々には、肉体労働をしてもらってアルバイト代を出しています。日々に筋トレの要素を意識して取り入れることで、まずは筋力や筋持久力をつけることが、様々な身体の動きを習得するための第一歩と考えています。

格闘家(化)生活

毎日トレーニングをすると上達は当然に早いですが、学業や仕事の両立を考えると週1~2回程度の練習が限度かと思います。自己研鑽の1つとして格闘技を考えると、他のスポーツをするクロストレーニングや資格取得の学習などもバランス良く進める方がお勧めです。
上記とも重複しますが、起床時に寝技の動きをしてみたり鏡を見たらシャドーしたりすることで、週1回学んだことの定着が格段に変わると思います。日々の生活に格闘技を取り入れることで練習量を補うことを私も日々実践しています。
特に何もしていない移動中や寝る前などイメージトレーニングするだけでも、次の対面の練習の効果がアップすることと思います。Youtubeを見る習慣のある方は、とても勉強になる格闘技動画が多くあるので一度検索してみてください。格闘技の漫画は多くありますが、総合格闘技を題材にしているオールラウンダー廻がお勧めです。

格闘技の準備

上記のような日常的にトレーニングをする習慣や心構えがあることが望ましいですが、もちろん必須ではありません。運動ができる服装であれば、まずは練習が始められます。
打撃練習から始める場合、グローブとミットが必要になります。双方、Amazonで3,000円未満で販売されています。蹴りを受けるためにキックミットが必要です。スパーリングをする際には、グローブは14オンス、ヘッドギア、レッグガード(脛当て)も必要になります。場所は、ボクシングの場合は青空のした駐車場にて、またリビングのような場所でも可能でした。
グラップリング(道着を使わない組技競技)であれば、上記のような装備は不要です。ですが、多少のスペース(4畳半程度より?)とマットなど衝撃を和らげる床が必要です。当方の場合、床がコンクリートなので、2cmのマットを二重に敷いています。Tシャツはお腹が出たりするので、コンプレッションやスパッツなど肌に密着する服装がお勧めです。

女性こそ格闘技をオススメ

まだ1回だけですが、女性にも格闘技を教え始めました。以下にある通りワンツーやキックから始めましたが、初心者であれば男女差をほとんど感じません(男性でも初心者はあまり力強いパンチやキックが打てないことが多いです)。格闘技を続けていると筋力や持久力、何より年齢による頭打ちを感じますが、一通りの技術を覚えるまでは女性でも成長を楽しむことができると思います。1年くらい続けて入れば、一般的な男性も軽くあしらうことができるかもしれません(私はあしらわれていました…)。女性こそ、護身術として役立つ機会が多く、練習する価値は高いと思いました。

まずはワンツーから

これは試行錯誤中で結論は出ていませんが、相対的に動きが単純なワンツー(左右の拳を真っ直ぐに出すボクシング等の動作)から始めていることが多いです。小学校低学年の娘も、まずはワンツーの動作であれば様になったような瞬間があります(非力なので掌底風になりがちですが…)。
大学生であれば、30分も伝えれば、しっかりと手応えのあるワンツーになることが多いです。私の場合は1年以上かかりましたが、脇が空いてしまわない、正面を向いてしまわないといった基本が出来るようには、上述の通り反復が重要です。
週に1回程度コンスタントに来てもらえる場合はフック、アッパーなど一通りのパンチやコンビネーション(3~4発の連続パンチをする動作)を比較的早く習得できる人が多いです。

経験したスポーツに合わせて

サッカー経験者が意外に多く(昔で言う少年野球的?)、予想通り良い蹴りをします。蹴る動作を繰り返していることや独特な軌道(下から上がってくることで足を掴みにくい)という利点もあり、キックを中心とした組み立てをお勧めすることが多いです。
野球やバレーボールなど肩を回す動作の多いスポーツの経験者はオーバーハンドのストレート、卓球やテニスなど腰を回す動作もあるラケット競技経験者はフック系のパンチが得意だったりするのではと思います。

組技に対するディフェンス

Youtube等で格闘技が好きになっている人も多い印象ですが、どちらかと言えば、打撃が好きな印象があります(以前は私も?)。アマチュアではヘッドギアなどの防具などにより打撃でKOすることは難しく、絞め技や関節技で勝つ方が相対的に早いような気がしています。ですが、好きなスタイルを貫くのも、楽しく続けるコツでもあるように思います。
打撃を主体としたいのであれば、組技はディフェンスに徹するという方法もあります。まずは何より組まれない距離を取ることですが、手足を出す限り必ず捕まります。足を掴まれたりした場合の対処も、同じく距離を取ることです。単純には、肩などを押して離れることです。普段から距離を取っていれば、しっかりとクラッチを組まれないことも多く、これだけで組みにくくなります。
しっかりと組まれて離れることができない場合、丁寧に距離を作る必要があります。様々な方法がありますが、「脇差(わきさし、相手の脇に手を入れること)」を勧めています。組みたくない(打撃に徹したい)というポリシーに反するかもしれませんが、この場合は脇を差し、しっかりと相手を押して有利な態勢を作ることで自然と離れるタイミングもつかめます。

組技はツーオンワンから?

これは上記以上に迷いますが、私がブラジリアン柔術を学んだ際に初めて教えてもらったツーオンワン(相手の1つの手を両手で抱え込む)から伝えてみています。これは、胸ぐらを掴まれている時や激昂して手を振り回している相手、刃物を持っている相手にも通用するのではと思いますが、1つの手に対して両手(+全身)で対処することで相手を制御できる可能性があります。イメージとしては、子供が両手で親御さんの手を引っ張っているように、倍以上の体重差があっても効果があったりします。
相手が女性など体格や筋力の差があっても、技術の差があれば、あっさりと制御されてテイクダウン(倒されてしまう)やバックを取られて(背後に回らて)しまいました。打撃のみに興味がある人も、組技を受けてみるとその有用性が理解できると思います。

蹴りを良く使う人に引き込みをお勧め

相手の一部(手など)を掴んで座る動作を引き込みと呼びます。蹴りを多様すると、総合格闘技では(キックボクシングなどでは反則ですが)足を掴まれてしまいます。足を掴まれることを気にして思い切り蹴れなくならないように、掴まれた後の動作として引き込みが有用です。
足を掴まれた際に、相手の首や手を掴み、倒された際には両足で相手をしっかり捕まえます(クローズガード)。倒される前に自分から積極的に飛びついてクローズガードを組むこともできます(ブラジリアン柔術の白帯では反則、青帯より、総合格闘技ではアマチュアでもOK)。初心者には、このクローズガードの体制は不利にも見えるようですが、腕十字や三角絞めなど様々な技を使える有利な体制です。

組技経験者にも引き込みをお勧め?

柔道などの組技経験者には、打撃は逆にディフェンス主体で(組むためには打撃のプレッシャーが有効ではありますが)早めに組む方が有利に進めやすいようにも思います。テイクダウンをすることは容易ではないと感じており、その際にも引き込みが有効と考えています。
道着がないので相手を掴むことは容易ではありません。近付くために打撃のブロックに慣れていることは必須です。可能であればパリング(orパーリング、相手のパンチを手で受けるディフェンス)が出来ると組みやすくなります。
組む方法も様々ありますが、まずは脇差が近道かと考えています。とにかく有効打を避けて(自分もフック系のパンチなどで相手をなるべくディフェンスさせて)距離を詰め、体の一部に手が引っ掛かれば、脇の下まで手を上げると、その上げられた手はパンチが出せなくなり、膝以外の蹴りも出しにくくなります。次に首に手を引っ掛けて、自分から倒れ込むといった流れです。

早目にスパーリングが良いかも

小学校時代のサッカーは、ドリブルの基本を教わらないままに試合をしても面白かったように思います。同様に、まずはスパーリングしてみることが良いかもしれません。もちろん、怪我をしないように初めはマススパーリング(打撃を当てない)やシチュエーションスパーリング(条件とゴールを決めて組技をするなど)などが候補です。
初心者には意味の分からない動作や指摘も、スパーリングをしてみることで言われた意味が実感できることも増えてくるのはと想定しています。

打撃経験者には組技のディフェンスより

空手、少林寺、テコンドー、ボクシング、キックボクシングなどの打撃系格闘技を小さい頃に習った経験のある人も少なくありません。体育の授業と違って試合で勝つことを想定して実践的な基礎を叩き込んでもらっていることが多いように思います。経験年数が1~2年くらいでも、数年間のブランクがあっても、結構強いという印象があります。
そういった方が組技系や総合格闘技に進むためには、打撃を生かして組技はディフェンスを覚えていく方向性で現在は進めています。慣れていないと、あっさりと足を抱えられて転がされてしまう(タックルされてしまう)ので、それを防御する方法を少し知っておくだけで対処しやすくなり打撃に集中できるようになるように思います。

組技のディフェンスは「ガード」に注意

タックルのディフェンスを続けていても、寝技の展開になることは避けられません。その際、バックやマウントを取られることが不利であることは分かると思いますので、まずは何とか必死に逃げてみてください。
知らずに不利な体勢になっていることがあります。これは前述のクローズガードがその1つです。胴体を両足で掴まれていると、身動きが取れなくなるだけでなく、下手に動くと絞め技や極め技の餌食になってしまいます。自分の足1本だけでも相手の足に引っかかっていると厄介です(ハーフガード等)。このように「ガードポジション」と言われる体勢からの寝技の攻撃をさけるため、自分が上の状態でも危険であることを察知して、その状況から逃れることをお勧めしています。

オフェンスの練習はシチュエーションスパーより

打撃を中心に組み立て、組技はディフェンスを中心にお伝えすることが多いですが、シチュエーションスパーリングによりオフェンス(攻撃)から入って動作に慣れる方法も始めました。具体的には、マウントポジション(馬乗りになる)から始めてもらって、何か技を極めようとしてもらうといった具合です。慣れていなければ意外とマウントを維持することが難しく、経験者相手には簡単に不利な体制になることも経験することができます。何より、組技でも攻めに入るという習慣作りに役に立っているように思います。

格闘技のゴール設定

冒頭でお伝えした通り、基礎教養・生涯教育として日々鍛錬を続けて習慣になっていくことがゴールの1つです。私の指導ではトップアスリートに育てることは難しいので、試合に出るレベルに近付く頃には他の指導者やジムを紹介することになると思います。
もう1つのゴールとしては、自分の弱さを知ることではないかと考えています。学問でも同様ですが、上を目指すほど、さらに上がいることを思い知らされます。この「無知の知」のような概念も、自分自身の肉体でも把握することの重要性を、私の「護身塾」では伝えていきたいと考えています。

守られるのは人としての尊厳

冒頭に「万が一の際に生命や財産を守る」と書きましたが、そのような機会は滅多にありません。私の場合は約10年で一度だけ、敷地に侵入した不審者を警察に突き出す際に役に立ったくらいです。それよりも頻度が高いと思われるのは人としての尊厳を守られる機会が多いと感じます。
私のような研究者での商談でも、凄まれたり、反社会的勢力を匂わされたりと実力行使をしようとする方々がいました。そのような場合でも萎縮することなく、毅然と対応することができました。日常で威圧的な態度の人に遭遇することくらいであれば、多くの方も経験しているのではないかと思います。特にパワハラで苦しんでいた20代の頃に格闘技の技術や経験があると、我慢したりストレスを抱えたりせずに済んだのではと悔しく思い返します。自分らしく生きるためにも格闘技をお勧めしたいと思っています。


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