グループディスカッション(GD)対策発展編

1.はじめに

 2個前の記事で、グループディスカッション(GD)基礎の基礎と題し、GDでの心持ちについて話してきました。ここでは、発展編と題し、実際、どういったGDの種類があるのか、どういった議論がなされるのかなど詳しく話していきます。

 GDに必要なこととして思っていることを口に出すことが根底にあります。これをしないと何も始まらないのは確かです。ただ、何を話せばよいのかなど不安があるかと思います。それを少しでも解消できればと思います。

2.GDの類型(どのようなテーマがあるのか)

 GDには主に、3種類あると考えています。まずは、どういう議論の流れになるかイメージしていってください。大まかな型が分かっているか分かっていないかで発言しやすくなると思います(発言するかどうかは一歩踏み出す勇気を持てるか次第ですが)。あわよくば主導権を握れて自分が話しやすい空気を構築できるかと思います。それでは見ていきます。

●自由討論型
 まず、「自由討論型」です。これは、かなり抽象度の高いテーマを基に、討論したうえで発表するものです(発表がない場合も。議論で出た内容を発表するのが通常です)。

 例えば、「良い会社とは?」「会社に求められる能力3つ」「ここにお店をだすとしたら何を売るか?」といったものです。


 議論としては、「定義づけ・前提条件付加(会社とはどういう会社なのかなど)→意見だし→精査と論理を構築し結論を出す→発表」という流れで進んでいきます。

 この種類のテーマが出た時は前提条件を決めることが重要です。特に制限がなければ、定義を勝手においても良いと思います。短くて15分しか議論がない場合があります。焦点を決めなかった場合、30分あったとしてもこのような抽象的なテーマだとしっくり皆がくる案をまとめることが難しいです。また、説得性に欠けることが多いです(それぞれ焦点が一致していない場合が多いので、話(質問)がかみ合わない(よくわからない)ことが多いです)。

 また、議論が拡散しやすいのがこの型です。発表を聞く人以外にもメンバー間でも考えていることはバラバラです。まずは、前提を決めてどの側面で話を進めていくか決め、短時間で結論を出せる環境を構築しましょう。また、議論中は、論点は頭に残したうえで、常にズレてないか意識しよう。

●課題解決型
 次に、課題解決型です。これは、「売り上げを2倍にしてください」など主に企業課題に関するものが多いです。資料を渡されてそこから課題を見つけるという比較的ヘビーなものもあります。


 議論の流れは、「(資料読み込み)→定義づけ・方針の確定→深堀り→解決策だし→議論と結論だし→発表」になると思います。

 この型でも、定義づけ・方針は明確にするようにしましょう。議論がまとまらなくなる可能性もあります。利益の創出一つをとっても、純粋な売り上げ向上による収益の向上やコスト削減、特別利益の創出など多くのアプローチがあります。また、コスト削減といっても、人件費なのか、材料費なのか、設備に関連する費用なのか、はたまた事業自体をなくすといった様々な選択肢があります。全てを吟味し結論を出すことが理想ですがとても時間的余裕がありません。何に焦点を当てるかまず最初に共通認識を持つことから始めましょう。


 このテーマのGDは、ロジックツリーや各種製品戦略を立てる際のフレームワークを使えれば円滑に議論が進められるかもしれません。ただし、GDでは突飛なアイデアを欲しているわけではないので、いかに知らない人と議論し、ベタでも論理的な結論を出すということがうまくできるかが勝負になると思います(一部、アイデアを求めているところもありました)。

 また、フレームワークだけ出して満足するだけでは周りの信頼が下がります。本質は、あくまで中身です。訳も分からずフレームワークを使うのは墓穴を掘るだけなのでやめておきましょう。他の人がつかうことがあるので理解しておくことをおすすめはします(3Cやら4Pやら5フォースやらPEST分析やらAIDMAやらビジネスモデルキャンバスやら)。個人的な感覚として、GDでは、ロジックツリーあたり使いこなせていたら十分とは思います(数日のインターンなら別かもです)。

 課題解決型は、自由討論型に比べより結論の具体性がみられる可能性が高いです。特にコンサルティングで、資料分析が伴う場合はなおさらそれに基づいた結論を出す必要があります。

●ディベート型

 最後にディベート型です。これは、上記二つよりも行われる数は少ないと思います。ただ行った企業が存在したので書きます。


 流れは、「1回目の作戦会議→1回目の議論(主張と批判)→質問の作戦会議→2回目の議論(反駁、全体を踏まえた主張)」となる場合が多いです。

 この手の方は、議論の方で積極的に話していたほうが評価されるのか、作戦会議での振る舞い方が評価されるのかは企業によります(全くディベートのところは見ませんというところもありました)。


 議論においてはクリティカルシンキング(批判的思考)が重要になってくると思います。相手の言うことをうのみにしない姿勢を心掛ける必要があります。これは、ゼミなどの発表の場において、コメントや質問を積極的にすることで身につくと思います。

 ここでは、かなり勝気な人が上からものを言うことも多いが、感情的になることは控えましょう。評価されていることを忘れずにしておいてください。どの型においても主張が強い人がどこかしかいるとは思いますが、ただ感情的になって話したり、何も話さなくなるのだけは控えましょう。


3.GDで必要なこと

 これまでどういう種類のGDがあるのかについて話してきました。ここでは、どういうことをすれば評価されるのかについて話していきます。

 下に記しているものはあくまで個人的な感想です。人事部ではないので確証はないです。ご了承ください。

Q:企業は何を見ていたか?
A:企業によって異なる印象です。求める人物像、募集職種に求められている能力を中心に見ているように感じます。

例えば・・・
SE職…システムを構築するために論理的思考力、チームで作業するために協調性が必要になる。→GDでは、いかに独りよがりになっていないか、建設的な意見が述べられているかなど。

営業職…行動力、積極性→GDに対して積極的な姿勢か、他者を巻き込みながら議論できているかなど。

コンサルティング職…完璧なまでの論理性、説得性。→論理的に意見を言って主導権を握れるか。

ただどの職も共通して下記の順で評価されているように見えます。
評価低  

議論に参加できているか。
↓ 

議論に沿った意見が言えているか。
↓ 

他者の意見にも気を配ることができて話を進められているか。。

 皆が気づいていないところを気付けているか。他の人から頼られているか。

評価高
※これとプラス、役割が与えられているときは、それが全うできているかも入ると感じるます。

 短い時間のGDでは他者の意見を聞きつつ話を進められていたら恐らく大丈夫だと思います。いかに議論を前に進められるような発言をしたかどうかがカギになっていると思います。納得性のアイデアが出せるかどうか、迅速にかつ根拠をもって決断できるか、次に何をしなければならないか指針を示せたか、議論が反れたときに戻せるかなど色々あります。

 こうした議論を自分が前に進めていく貢献をするためにも、テーマの特徴を把握し、全体的な議論の流れを頭の中で構築すること、しっかり口に出すこと、メンバーの雰囲気をつかむことが必要です。メンバーをリードし(ファシリテーターかどうかは問わず)、自分が話しやすい雰囲気を出せるのが一番ですがなかなか難しいです。

 まずは、しっかり流れを予測し、それに応じてしっかり話せるようにしましょう。ファシリテーターにならずとも、○○していきましょうという働きかけ(ファシリテーターに先んじてもしくはファシリテーター言わないとき)や真っ先にアイデアを挙げ布石をうつことで自ずと評価がされていくと思います。各場面で一発目に話すということは勇気が要りますが結構あとあと話すのが楽になると思います。

 議論を前に進めていけるスキルを付けていくためにも、上記の型を理解することと慣れが必要です。GDの練習会や各種会議で訓練しましょう。また、同級生の議論を観察しても良いかもしれません。どのメンバーがどういう発言をしてどういう議論の方向になったか、各メンバーの表情、雰囲気、ホワイトボードへの記入の仕方など事細かく見て分析してみても良いと思います。

4.GDの役割をどう見るか

 ここでは、GDで出てくる主な役割の特徴を話していきます。主にファシリテーター、書記、タイムキーパーの3つです。

●ファシリテーター

 まずは、ファシリテーターです。これはいわゆる司会者的役割を担います。いろんな人に意見を求めたり、人の意見をかみ砕いてつたえたりします。
 

 ファシリテーターは、基本的に、議論を回す立場なので、良くも悪くも目立ちます。論点がずれてないか、みんな話せているかなど俯瞰的な視点が必要です。また、意見が出てこないときには、どうすれば出てくるか考え発言するのも必要です。

 円滑に進め、結論まで持っていければ評価は高くなります。反対に、決断する場において、「とりあえずこうしましょう」や「何となく」など曖昧で投げやりな言動は評価が下がる可能性があります。メンバーの意見を集約する、働きかけるという作業が大きな仕事になります。

 ファシリテーターになれば、自分の持っていきたい流れには持っていける可能性は高いです。そのため自分が話しやすい雰囲気を作り出せると思います。ただし、回し方がまずいと議論が進まなくなるので必ずメンバーの特徴はつかむ必要があります。誰が良くアイデアを出すか、誰が批判的な意見を言っているかなど。

 ファシリテーターを特に決めない場合のGDについては、最初に話した人がファシリテーター的役割になる可能性が高いです。

 前述したように、自分が話しやすい雰囲気を作り出すことがGDでうまく話すために必要だと言いました。ファシリテーターが一番それができる近道ではあると思いますが、リスクもあります。話しやすい雰囲気は、別に役職なしでもできます。

●書記

 次に書記について話します。基本的には、みんなにみえるように議論内容を書くことが役割です。発表前に話の流れを作れているかが重要です。また、議論の穴を埋めていく作業をリードしていくことが評価の高低を分けるかと思います。

 書記をやるメリットとしては、話の流れが分かりやすいので、話においてかれることはないところです。ここで置いてかれるようではおそらく向いていないです…。書きながら議論に参加すること自体慣れが要りますが、出来ると話の整理が速くなり、発言もできるようになると思います。


 デメリットとしては、書くことに注意を向けないといけないことです。マルチタスクが苦手な人は、書くのに必死で意見が言えず印象を残せなくなることが挙げられます。先述しましたが書きながら話すことは慣れが要ります。慣れないうちは、役職なしで臨んでも良いと思います。

●タイムキーパー

 最後にタイムキーパーです。個人的には、ファシリテーターがやればいいと思っています。ただ多くの対策本などにタイムキーパーという役職がでてきており、設置することが標準みたいな認識があるように思います。それにより、やりたいという人が少なからずいます。


 もし、やるのであれば基本的には役職がない人と遜色ないくらい意見をだしつつ、時間も気にするようにしましょう。議論に参加せず、時間ばかり気にして、時間のことしか言わないことになると議論を止めることになる場合があります。また、雰囲気が悪くなることもあります。議論に参加しつつ時間のことを言うようにしましょう。


 ファシリテーターがするかもしれませんが、白熱しているところで時間を言ってみんなを次の議論のステップへ動かせたら評価は高くなると思います。  

 個人的な好みもありますが、あまりタイムキーパーは好きではないです。アイデアを出すといういわゆるプレイヤーという立場をしつつ、タイムキーピングをするというある種その議論の管理者的役割を担うことになるので、どちらの立場にも集中できないかなと思います。また、その2つの役割に関連性がないのでやってて中途半端になるかもしれません。書記であれば書きながら自分の頭の中で整理して発言することができるので両立が高いレベルでできるかなと思います。


 役割自体はやってもやらなくても良いと思います。最初のうちはいろいろ役割をやってみて適性を見ても良いかもしれません。うまく自分のパフォーマンスが出せるかどうかが重要です。無理をして役割をやる必要はないです。役職がなくとも議論の流れを察知し、話すべきこと、穴となっていることなどを的確に、一番に口に出すことができるかにかかっているかと思います。

5.クラッシャーをどう対応か

 最後にクラッシャーへの対策です。クラッシャーがいると議論が進まない、最後結論が何も導き出せなくなってしまいます。

クラッシャー…議論を壊す人、独りよがりな人がいて議論にならない人など

 ひとたび、クラッシャーに巻き込まれるとチーム全員落とされる可能性が高まります。運が悪いと思うしかないかもしれませんが対策も書いていきます。


・ファシリテーターやりたがりの人がいてその人が無能な時は、○○から話していくのはどうですか?などひたすら提案するのが対策案だと思います。しかし、それも聞かない強敵もいるかと思います。その時は、他のメンバーを味方につけるかがカギになると思います。二人だけで延々何を話す話さないの議論をしていてもらちが明かず時間も無くなるので、みんなにどういう方向性が良いか、合意を得る王道が必要になりかと思います。


・ひたすら否定してくる人には、意見を述べさせる時間を与えましょう。その時は怒りの感情は抑えて丁寧めに言いましょう。


・地蔵のように何も意見を言わない人もいますが、そういう人にも発言する機会を与える必要があります。意見を言わなさそうなときは、「この案でいいかな?」というようにYesかNoで答えられる簡単な質問を振った方がいいかもしれません。


・的外れな意見を延々言っている人には、きっぱり今話していることを説明しなおすか、他の人の意見も聞きたいと切らせるかできればOKだと思います。ただし、こういうことがないよう、あらかじめ○○について議論しましょうと釘を刺しておくと的外れなことを指摘しやすくなると思います。

6.まとめ

 ここではGDの型とどう臨めばよいかについて話してきました。最初に、自由討論型、課題解決型、ディベート型の3つがあると言いました。どの型が来ても対応できる力はつけておきたいところです。また、GDでは、状況を読み、勇気を出して口に出すことが評価につながるとも言いました。「最初」「一発目」がカギになってくると思います。いかに議論を進めるために、どういうことを率先してすればよいのか常に意識しておくようにしましょう。

 この後、参考に個人的なGDでの所感を書いておきます。本文と同じことを書いているところもあると思いますが、参考に見ていただければ幸いです。次は、面接について話していきます。

cf.GDの所感

・どのGDでも時間はタイトになると思います。余ることが多いときは、まだ議論が浅い可能性があります。進め方を、GD対策本、ネット、会議の効率術の本などから具体的に情報収集しましょう。


・GDの時間配分を決める際に変に何分かこだわらず、主観で、「発表準備は何分欲しいよね」と最初に言えばよいと思います。時間の無駄遣いしなくて済むとおもいます。時間配分の決める項目は「定義づけ・前提条件、案出し、議論、まとめと発表準備」の4つだけになると思うのでさっさと決めちゃいましょう。タイムキーパーがボーっとしているなら自分から言っていきましょう。


・GDで結論は必ず意地でも出しましょう。出ないのは致命的です。時間がなくても無理やり出しましょう。ないと発表でも最終地点のないまとまりのない発表になる可能性があります。

・役職は普段の行動からやり慣れてるものを選ぶのが賢明です。無理に慣れてもいないファシリテーターをしたりするのはお勧めしないです。ゼミ活動での自分の立ち位置を見直してみましょう。


・横で監督官がいるときもあり、細かくみられることもあるので、必ず発言の意図は明確にしましょう。ダラダラと意見を述べていると簡潔に話せない人と烙印がつく可能性があります。


・議論をやりやすいようにするには、いかに自分の思う流れに持っていけるかどうかです。そのためにも、最初一言目を言えるなら言ってもいいかもしれません(時間配分決めましょうか?とか、まず、○○ついて定義しませんかとか)。


・本選考のGDだと、みんな必死で自分の意見を言おうという人ばかりな印象です。そこで一歩引いて議論を冷静にまとめられたら評価上がるかもしれません。 意見を言いたい時もあるが、時間が短く、議論が拡散しそうなときは押し殺してまとめる役に行くことが賢明かもしれません。


・GDも流れなど王道パターンはあるので、コミュニケーションが苦手という人もそのパターンは頭に入れておいてもいいかもしれません。一言目に、「前提条件決めましょう」など定型文を言えるようになるだけでも緊張は和らぐと思います。

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