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健康未来社会の実現に向けて -地域医療DX共創IP-

みなさん、こんにちは!
新潟大学社会連携課です。

今日は、新潟大学が進めている「共創イノベーションプロジェクト」の
1つ、地域医療DX共創IPについてご紹介します。


地域医療DX共創IPが目指していること

新潟県は、人口あたり医師数が少ないことに加えて、面積が広く中山間地域も多いという地理的環境から、医師の偏在(地域や診療科によって偏り・不足のある状況)も強い県です。県内では、病床再編や、自治体をまたいだ「医療圏」における病院機能再編が進んでいます。
その中で、まずは、地域で地域を見守れる社会作りが重要です。

本プロジェクトでは、地域での身近な見守り・相談役として「地域コミュニティ人材」を置きます。地域コミュニティ人材には、個人の体調不良や健康異変に早期に気づき、かかりつけ医への相談といった適切な医療を受けることを勧めたり、在宅医療やオンライン診療において患者さんに寄り添う、診療補助者としての役割を期待します。この活動は、地方での過疎・高齢化や都市部におけるご近所・周囲の人との関係性の希薄化によって弱まっている地域力を活性化し、地域の健康力を高めることにもつながると考えています。

そして、この地域コミュニティ人材を活かすために、オンライン診療やIoT(*)活用などの社会的基盤の構築、システムの選定・運用体制の構築、教育などの基盤構築を進めたいと思っています。また、患者さんが、状態や容体に合った適切な医療機関を受診する「患者動線」をスムーズにすることで、医療機関も安定して医療が提供できるようになる「医療の平準化」を目指します。

(*)IoT 電化製品や自動車、医療機器など、パソコンやサーバー以外の多種多様な「モノ」がインターネットに接続され、相互に情報をやり取りすること。「Internet of Things」の略。

最初の一歩は、新潟県内の自治体との取組

新潟県内いくつかの自治体と、地域課題に応じた取組を実施します。
現在は、
① 訪問診療・へき地巡回診療などにおいて、オンラインやIoTの活用が
  効果的な地域
② 地域コミュニティ人材の活躍により、スムーズな患者動線と医療の
  平準化への寄与が効果的に推進できる地域
という、課題要素が異なる地域で取組を進めています。

①では、地域の人々の受診機会を担保しつつ、医師の負担も低減させるために、巡回診療・在宅診療において、オンライン診療を活用します。オンライン診療でも診療の質を担保するためのシステムや運用方法など、環境面の評価・確立を、本学が自治体と医療機関を支援することで実施します。
また②では、地域コミュニティ人材の活用モデルや人材の育成方法を検討し、地域での実働に向けた評価を並行して実施する予定です。

大学と地域の共創によってプロジェクトを実現させる

こうした取組を実施・展開するためには、本学だけではなく、自治体、医療関係機関、福祉介護関係機関といった実務プレーヤーの皆さんとの共創が不可欠です。

本学ではいま、地域の実務プレーヤーと一緒に、医療面だけに留めない、その地域が目指す【健康未来社会】の姿を共創設計し、2025年からのプロジェクトを描いています。
先行実施した地域での取組をもとに、結果や効果を検証した上で、取組を「医療圏」に拡充していきます。そして新潟県内全域、いずれは隣県、全国へと展開することを目指します。

また、新しいプロジェクトを実施していくには、それにかかる予算の確保も必要です。
たとえば国が実施する自治体向けの補助事業などへの応募に対し、アカデミアとして本学も協力します。他にも、企業等とともに、医療・健康情報を軸とした地域基盤モデルを基としたコンソーシアムの設立、他の財源の獲得なども並行して進めていきたいと考えています。

健康未来社会の実現へ向けて

顔が見え、困った時に相談できる地域コミュニティ人材の活躍や、オンライン診療の活用による患者と医療機関両者の負担軽減などにより、地域に住んでいる人々に対し、社会的にも医療的にも孤独・孤立させない安心感を与えられ、安心して住み続けられる実感を持てる地域になります。

地域医療DX共創IPでは、地域医療を守ることを通じて、その地域が目指す健康未来社会を実現したいと考えています。単に医療情報のDX化を進めるのではなく、人材の育成なども含め、デジタルと対面のハイブリッドで「予防し、治し、支える」持続可能な次世代ヘルスケアモデルを構築します。

また、健康未来社会には、現行の医療とは異なる健康サービスや関連サービスの充実も不可欠です。たとえばオンデマンド・ライドシェアなどと言ったMaaS(*)を活用すると、地域住民の生活圏の広がりや、関係企業の参入が期待できます。その結果、地域の交流人口や関係人口も向上し、地域が活性化します。

医療を起点として、様々な手段を取り入れながら、地域がますます元気になる地域創生のモデルを展開したいと考えています。

(*)MaaS(マース):次世代の新しい交通サービスの姿。いろいろな種類の交通サービスを、 需要に応じて利用できる一つの移動サービスに統合すること。また、観光や医療等、交通以外のサービスとの連携により、移動の利便性向上や地域の課題解決にもつながる手段のこと。


地域医療DX共創IPが目指す姿を、多くの方に応援していただけると嬉しいです。新しいプロジェクトにぜひご期待ください。


地域医療DX共創IPにご興味・ご関心のある方は、お問い合わせください
お問い合わせ:kyoso@ccr.niigata-u.ac.jp

社会連携推進機構のホームページはこちら


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