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台湾文学未翻訳作品紹介雑誌『翻屋』活動報告並びにサポートのお願い

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 電子版『翻屋』Vol.1「台湾の文学賞特集」の配信をスタートしてから、早いものでもう2ヶ月が過ぎようとしています。その間、ありがたいことに台湾・日本を問わず、沢山の読者の方々から、そして書店さんから応援のお言葉をいただきました。改めて、『翻屋』(ほんや)に興味を持っていただき、そしてダウンロードなどの形でお手にとっていただき、本当にありがとうございます。

 台湾文学未翻訳作品紹介雑誌『翻屋』は、国立台湾大学に在籍する数名の日本人と台湾人学生で制作・運営をしております。この記事では、私たちの活動とともに、サポートの方法、そして頂いたお金の使用方法についてまとめました。

 直接サポート方法を知りたい方は、目次の「活動サポートのお願い」欄よりご確認ください。また、ご意見・ご感想・お問い合わせはこちら(Twitterアカウントはこちら)からご連絡いただくか、ページ下方アンケート用リンクよりご記入ください。

本雑誌のコンセプト、そして活動報告

 本雑誌は「いつか読みたいに出逢える」をコンセプトに、未翻訳の台湾文学を紹介しております。すでに日本で翻訳出版されている「台湾本」ではなく、まだ日本人の誰も読んだことがない未翻訳の名作を、はたまた台湾でもまだ注目を浴びていない未発掘の名作を、日本語で、日本の読者の皆様にお届けしたいと思いながら制作に励んでいます。

 昨年9月にこの企画がスタートし、今年4月末に創刊号であるVol.1「台湾の文学賞特集」の配信をスタートすることができました。メンバー全員が学生、尚且つほとんどが正規留学生のため、学業と両立しながら企画立案・掲載許可申請・リサーチ・読書・執筆・デザイン・校閲・宣伝などの作業を行うことは決して簡単ではありませんでしたが、このようにひとつの雑誌を完成することができ、本当に嬉しい限りです。また、今年6月に2年ぶりに開催された台北国際ブックフェアでは、Vol.1『翻屋』で紹介しました『尋琴者』の作者さんから直接雑誌にサインをいただきました。

(左)台湾大学社会科学図書館にて (右)Vol.1収録の『尋琴者』著者郭強生と

 次号Vol.2では台湾の女性作家張亦絢(ちょう・えきけん)さんの小説・エッセーの特集を予定しており、現在鋭意制作中です。張亦絢さんの小説は、セクシャリティとジェンダーアイデンティティの観点からも台湾では様々な読者層から注目を浴びており、昨年末発売された「台湾文学ブックカフェ」シリーズ<I>女性作家集には、白水紀子さんにより翻訳された短編小説『色魔の娘』(淫人妻女)が収録されております。『翻屋』では、まだ未翻訳の張亦絢作品の魅力をたっぷりお届けしたいと思っております。今後制作状況等をTwitterでもお届けしていきます。

Vol.2の写真撮影の様子、台湾大学総合図書館前広場にて

活動サポートのお願い

 学生の手探りで制作している『翻屋』ですが、現在は制作費・印刷費を全て台湾大学から支給される補助金で賄っております。しかし、依然経費が不足しており、紙版『翻屋』を日本の読者の皆様にお届けするのが困難な状況です。今後も雑誌制作を継続していくため、『翻屋』の主旨・活動に賛同していただける読者の皆様からのご支援を募っております。送金の方法は2種類ございます。お振り込みいただいた後、ぜひこちらまでご一報ください。

①NOTE
本記事下方にあります「気に入ったらサポート」ボタンより、任意の金額で少額から寄付を行なっていただくことができます。
②銀行振り込み
銀行:横浜銀行
支店名:緑園都市支店(支店番号367)
口座種類:普通
口座番号:6003586
名義:中山陽菜(ナカヤマハルナ)

 皆様からいただいた募金は、紙版『翻屋』の印刷代・郵送代として、より多くの読者の方々、書店さんのもとに届くよう、大切に使用させていただきます。ご協力よろしくお願いいたします。

台湾文学への想い

 最後に、少しばかり、『翻屋』誕生までの道のりと、台湾文学への想いをお話ししたいと思います。数年前に遡りますが、私が人生で初めて原文で読み切った海外文学は、林奕含著《房思琪的初戀樂園》(『房思琪の初恋の楽園』・白水社)でした。当時台湾で言語学校に通っていた私に、友人がこの小説を紹介してくれたのです。まだ日常会話すらおぼつかない中、一字一句調べ、文字の横にピンインをふり、そして、心に苦しいほどの痛みを覚えながら、共感しながら、読み終えたのです。性暴力被害者(林奕含の言葉を借りるのなら「加害者を愛してしまった少女」)の、社会に押しつぶされながらそれでも愛に生きようとした心の叫びが、拙い中国語を操ることしかできない私にも届きました。

 それから、少しずつ少しずつ、数ある台湾文学の世界の中から新たな本を手にとって、その中に生きる文字に触れてきました。

 いつも思うのです。台湾文学と私の間には、たくさんの出逢いがあるのだなあ、と。それは、かけがえのない一冊に出逢ったということももちろんですが、台湾で出逢った大切な人たちが、いつも一冊の台湾文学を紹介してくれたからです。「最近◯◯を読んだよ」だとか、「◯◯の小説が好きなの?じゃあこれも好きなはず!」だとか。

 そうやって誰かにおすすめしてもらう過程の中には、本との出逢い・人との出逢い、二重の喜びがあったりします。(もちろん、無数の書籍の海にひとりで立ち向かい、一粒の砂を拾い集める過程にも、大きな大きな喜びがありますよね。)

 まだまだ勉強不足で、台湾文学に関する知識も経験も、何もかもが知ったばかり触れたばかり、生まれたばかりの赤ん坊のような『翻屋』です。しかし、一冊一冊の本との「出逢い」を大切に、じっくり読んで、ゆっくり考えて、お裾分けのような形でおすすめの台湾文学をこれからも紹介していきたいと思います。それが読者にとって、新たな出逢いとなったらいいな、なんて思いながら。ぜひ、見守っていただけたら嬉しいです。

『翻屋』編集長 中山陽菜

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