フルリモートで実践!アイディエーションワークショップ
こんにちは、NTTレゾナントテクノロジー アジャイルデザイン部 の企画・マーケティング担当の上田です。
私たちは普段は、アジャイルやスクラム手法を駆使して、様々なアプリケーションのサービス開発や支援を行っています。アジャイルやスクラム開発といえば、付箋やホワイトボードを使った各種のイベントが有名ですよね。私たちは2月末からリモートワーク推奨となり、実に4ヶ月の間、 Stayhomeで仕事をしています。オンサイトで行っていたイベントワークも実施することが難しくなり、リモートでできる新しいイベントを日々模索、トライアルしながら運用をスタートしています。
そこで今回はそんなイベントのなかでも、私がファシリテーターとして参加した、miroを使った社内ではじめてのアイディエーションのリモートワークショップについて、どんな風に行ったか、ポイントをまじえて紹介します。
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まずやったこと
1.目的を設定する
社内の開発チームからの依頼で、新規アプリ開発アイデアを出すためにワークショップ形式で開催しました。ワークショップは単発ではなく開発プロセスの一部として行います。したがって次のプロセスに繋げる必要があるため、オンサイト同様、事前にワークショップの目的と成果物を確認し、今回は開発者が開発したい最新技術をもとに、アイデアを出し合い、プロトタイプ開発するアイデアをチームで一つ決めるまでをゴールとしました。
2.フレームワークを選ぶ
「Mobius Outcome Delivery」というAgile Practiceをシンプルにしたフレームワークを使い、青の"DISCOVER(発見)"プロセスで、アイデアを沢山だすに適した「Crazy8s」と、アイデアを評価する「意思決定マトリクス」を選びました。「Crazy8s」は本来なら白紙に8つの絵を書くのですが、PCから絵を書くのは難しそうなので、テキストを付箋で無限にだす意気込みを込めて、「Crazy”∞”s」と銘打ってパワーアップしてやることにしました。(Practiceの詳細は Open Practice Libraryのサイトを確認ください)
MOBIUS Loop (via https://www.mobiusloop.com/)
3.オンラインツールを選ぶ
ホワイトボードツール:miro (https://miro.com/)
ビデオ会議ツール: Google Meet (https://meet.google.com/)
オンラインのホワイトボードはmiroを、ビデオ会議は普段チームが使うGoogle Meetを選択しました。miroは、普段から遠隔のメンバーとの作業に利用していましたが、miroのよい点は、広くワークスペースが作れて、付箋を貼ったり情報の整理ができるなど、大人数で共同作業がしやすい点です。リーンキャンバス、ストーリーマップといったフレームワークもテンプレートとして沢山提供されています。miroにもビデオ会議の機能はありますが、今回は使い慣れたGoogle Meetを会議のベースに、miroを画面共有しながら進行をすることにしました。
4. miroに進行ボードを用意する
タイムテーブルを用意します。当日は2時間で6つのアジェンダを予定したため、タイトな進行が予想されました。画面のスイッチングなど、進行作業に時間をかけるのはもったいないと思い、予め当日のアジェンダをmiroのホワイトボードに設定しておきました。付箋ワークの場所も準備しremoのような会場を模したテーブルUIを設置。「Crazy"∞"S Room」と名付け、1枚の模造紙に付箋をおいて、リアルなワークショップを演出してみました。
miroのワークスペース。作業ワーク毎に多数のボードを設置できます(via https://miro.com/features/)
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実際にワークショップをやってみる
いよいよ実地に入ります。ワークショップ内容は以下のとおりです。
1. 主旨・当日のワーク説明(5分)
2. アイスブレイク(チェックイン- 自己紹介)(5分)
3. 宿題発表 - 最新技術の事例紹介(15分)
4. ワーク:Crazy"∞"S(付箋に記入→アイデア発表)(45分)
5. ワーク:アイデア評価・決定(25分)
6. 振り返り (10分)
参加はプロダクトメンバーの開発者、UXデザイナー、プロジェクトオーナー、そしてファシリテーターの計8名。1グループで開催しました。
冒頭は会の主旨や目的を共有し、アイスブレイクに入ります。アイスブレイクは、メンバー間で共通項を見つけやすく、その後のチームワークが話しやすい雰囲気になるのでおすすめです。
Tipsですが、画面共有で資料スライドを展開するときは、miroの「フレーム」を使うと便利です。画面のショートカットや、preziのようなズーム・モーションのきいたプレゼン機能としても活用できます。
miroのプレゼン機能(via https://miro.com/blog/visual-presentation-hacks/)
続けて、宿題の最新技術のマーケット事例を発表し、参加者へのインプットも済んだら、いよいよアイデアを出すワークに入ります。miroの「Crazy"∞"S Room」に移動し、身近な人を思い浮かべながら、その人の課題を解決する、技術を活かしたプロダクトアイデアを思いつく限り、付箋に書いていきます。
アイデアを出したら一人ひとりアイデアを発表します。ファシリテーターの私は並行して、付箋の内容を深堀りチームで議論したり、そこから派生したアイデアをまた付箋に追加し、整理していきます。
最後はアイデアを評価をします。自分が出したアイデアを"インパクト/実行のしやすさ"の2軸に移動させて、付箋を俯瞰しながら、インパクトがあって簡単に実装できるアイデアを絞ります。最後は5段階評価で全員で投票し、最終的に一つのプロダクトアイデアを選定しました。
「インパクト/実装のしやすさ」マトリクスの例。2軸で評価します
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ふりかえり
初めてリモートでファシリテーションを行ったワークショップでしたが、終わった後、参加者に感想を聞くと「プロダクトになるアイデアがたくさん生まれた」「他の人のアイデアがとても参考になった」「ファシリテーションがgood!」と概ね好評でした。このために準備をまる2日かけて頑張ったので、苦労の甲斐あってよかったです...。
以下、振り返りです。
良かった点
■ 目的を設定し、達成のための準備を徹底した : オンラインは、話が長くなる傾向にあると思い、ことアジェンダとゴールの設定・共有は、オンラインの会議では重要と感じています。またタイムテーブルを決め、miro上にすべて準備することで、当日はワークに集中でき、目的達成のための活動に専念できると思います。
■ ファシリテーターを2名体制にした:ファシリテータは会の司会だけでなく、説明スライドの展開、付箋の整理や議論を深ぼるなど場の仕切りも役割としてあります。1名で行うより2名で役割分担し、司会進行と付箋整理・タイプキープをわけると効率的に進められます。
課題と次回トライ
■ アイデアの深堀り・整理に時間がかかった:付箋で出たアイデアは、より深堀り、アイデアの精度を高めていく必要があります。今回は一人ひとりに意図を確認しながら、アイデアの深堀りや整理をしたため、いつもより時間がかかりました。次回は整理のための別のPractice=フレームワークをもう一つ使ってみる、また、事前に参加者には解決したい課題・アイデアを考えてもらう、画面上にタイマーを設置する(miroのCountdown Timerを利用する等)ことをトライしたいと思います。
■ 振り返りのための記録を取り忘れた: 開催後の報告で、Mgrから "当日の状況がわかる写真はないの?" と言われ、ハッと気が付いたのですが、後で活動を振り返るための過程の記録を取り忘れていました。付箋ワーク中のスクリーンショットを撮ったり、ビデオ会議ツールでの録画も(参加者への許諾を得た上で)今後は対応しようと思います。
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最後に
リモートのワークショップのファシリテーションは、設計から準備まで、すべて初めて大変でしたが、miroのワークショップ準備も楽しく、なんならオンサイトでやるより集中してできる!という印象を持ちました。リモートワークで絶賛アジャイル・スクラム開発している私たちですが、オンラインのイベントを体をはって実践して得た知見を、今後もnoteでできる限り紹介していきたいと思います。今回の記事に興味やコメントがありましたら、公式Twitterからぜひ気軽にコンタクトください。